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人間の情念が花開く“夜の鳳学園” ミュージカル「少女革命ウテナ~深く綻ぶ黒薔薇の~」ゲネプロレポート

深く…もっと深く…。

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 多くのファンに惜しまれながら最終回を迎えたアニメ「さらざんまい」。同作を手がけた幾原邦彦監督が1997年に制作したアニメ「少女革命ウテナ」を原作としたミュージカル「少女革命ウテナ~深く綻ぶ黒薔薇の~」が、6月29日より後楽園・シアターGロッソで開幕しました。


開幕した「ウテミュ」ゲネプロをレポート!

 1年ぶりの上演となる今回の「ウテミュ」は、アニメ版第2クールにあたる「黒薔薇編」が題材。生徒会メンバーたちとの決闘に勝ち、“薔薇の花嫁”であるアンシーと共に平和な日常を過ごしている天上ウテナ。しかし彼女に、今度は黒薔薇を身につけた一般生徒たちが襲いかかります。穏やかに学園で暮らしていたはずの彼らが豹変してしまった裏側には、鳳学園きっての天才である御影草時と、彼がいわくつきの建物・根室記念館で主催している「御影ゼミ」が関わっているようで……。

 生徒会編からの続投メンバーのほか、御影草時をはじめとする新キャストも多数登場する本作。ゲネプロ前の囲み取材では、天上ウテナ役の能條愛未さんが「今作から加わったキャラクターたちの個性がすごく強く、いい感じで物語をかきまわしてくれるので、さらに濃厚な世界になったと思います」と、自信を見せました。

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“永遠”を求める御影草時

御影のそばに従う謎の少年・馬宮

 アニメ黒薔薇編について「製作前に、ホラー映画をたくさん見た。第1クールと違ったゴシックな装いで、人間の情念によるホラーを作ってみたかった」と、公式パンフレットで語っている幾原監督。ミュージカルでもその雰囲気は生かされ、爆音とともに「燃える…燃える…燃える…」の合唱が始まると、シアターGロッソは一気に“夜の鳳学園”に。

 永遠を手に入れたい御影草時(徳山秀典)が暴く、一般生徒たちの内面はどこまでもドロドロ。愛し憎んでいる相手から剣を奪って、ウテナに仕掛けてきます。キャラクターたちの“主人公”になれない苦しみを描き、視聴者を戦慄させたアニメ黒薔薇編。それを演劇という形で生身の役者が行うことで、一層メタフィクショナルな残酷さと面白さが加わり、初演とは全く違う味わいの2時間15分となっています。

 決闘シーンは、彼女たちの情念によってさらにパワーアップ。単に決闘者とウテナが剣を交えるのではなく、そこに過去の決闘がオーバーラップする演出となっており、殺陣の迫力が2倍! ウテナ役・能條さんの身のこなしも、初演以上に闘志にあふれたものとなっています。キャスト総出で歌い踊る決闘曲「絶対運命黙示録」も、迫力と重みが断然UP。これは何度でも劇場に足を運びたい中毒性……!


ウテナ役・能條さん

アンシー役・山内さん

ウテナVS御影

 ふんだんに盛り込まれた歌唱・ダンスによりストーリーが展開する一方で、各キャラクター同士の関係性も丁寧に描かれています。双子の兄である薫幹(樋口裕太)に反発しながらも依存している薫梢(田上真里奈)、有栖川樹璃(立道梨緒奈)の想い人だが樹璃に激しい劣等感を抱き打ち勝ちたい高槻枝織(朝倉ふゆな)、そして前作で学園から追われた西園寺莢一をこっそり自室に匿っている篠原若葉(竹内夢)……。


アンシーに心を寄せる薫幹

「みんな消えてなくなれ。私と幹以外は、すべて醜いんだから!」――薫兄妹

ウテナの親友・若葉

彼女は西園寺を匿うことで、“特別”になることができました

「お前には分からない! わかる資格などない!」

 個人的に心奪われたのは、枝織役・朝倉さんの熱演。たおやかな見た目とひときわ甘かわいいボイスからの、樹璃の秘密を知っての豹変ぶりには、樹璃やウテナどころかステージ全体、いや観客までを“食う”ような貫禄があり、すっかり見入ってしまいました。早く、アニメ版枝織と見比べたい! 一方で、アンサンブルにまじって歌い踊るときの「無表情だけどバキバキの歌唱力&ダンス」なさまも素晴らしく、気付けばずっと舞台上で朝倉さんを探しているような事態に。バックダンサー枝織を目に焼き付けるべく、もう一回見に行きたいです。

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おさななじみの樹璃に対し、複雑な感情を抱く枝織

黒薔薇のデュエリストになったときの迫力よ……

 「いろいろな人の心の闇や背負っているものを利用して、決闘が起きていく。その闇はたぶん、見てくださる人のなかにもあるもの。自分は誰に共感できるだろう? とキャラクターに思いを寄せながら見てほしい」とアンシー役・山内優花さんも語った黒薔薇編。アニメ版第3クール「鳳暁生編」につながりそうな伏線もちらほらあり、理事長代理として学園を支配するアンシーの兄・鳳暁生(吉岡佑)がそこかしこに介入。不穏な気配をまきちらしていました。どう考えても、リアル舞台でスポーツカーのボンネットに身を投げる暁生が見たいでしょ! と、鳳暁生編の舞台化への期待も一気に高まってしまいました。


絶対にボンネットに乗ってほしい鳳暁生

 「一度じゃステージを見渡せなかった!」という方には、リピーターチケットも用意されています。ぜひ7月7日までに、後楽園まで足を運んでみてください。

◆公演情報

ミュージカル「少女革命ウテナ~深く綻ぶ黒薔薇の~」

2019年6月29日(土)~7月7日(日) 東京・シアターGロッソ

【原作】ビーパパス

【スーパーバイザー】幾原邦彦

【脚本・演出】吉谷光太郎

【出演】

天上ウテナ:能條愛未

姫宮アンシー:山内優花

西園寺莢一:吉澤翼

有栖川樹璃:立道梨緒奈

薫幹:樋口裕太

桐生七実:鈴木亜里紗

篠原若葉:竹内夢

高槻枝織:朝倉ふゆな

薫梢:田上真里奈

千唾馬宮:こんどうようぢ

影絵少女:熊田愛里

鳳暁生:吉岡佑

御影草時:徳山秀典

<アンサンブルキャスト>

仲田祥司、多田滉、後藤光葵、吉田瑞貴

【公式HP】http://musical-utena.com/

【公式Twitter】@musical_utena

(C)ビーパパス・さいとうちほ/小学館・少革委員会・テレビ東京 (C)ミュージカル「少女革命ウテナ」製作委員会


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