インタビュー

“どこにでもいる普通の先生”が過労死ラインを突破する根本原因とは 現役教師が語る「ブラック職場としての学校」(1/3 ページ)

教員の部活動の負担を減らす動きが進んでいますが、「根本的な問題はそこじゃないだろ」。

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 子どもの成長を支える場でありながら、ブラック労働環境が問題視されている学校現場。ニュースなどでも盛んに取り上げられているテーマではありますが、実際に働いている教員は、どのような思いを抱いているのでしょうか。

 本記事は、公立校の中学教員であるAさん(仮名)に「1人の一般教員として感じている“学校の労働環境の問題点”」を語ってもらう連載企画となります。

教科の担当教員を2人→3人にするだけで、働き方がこれだけ変わる

―― 普通の時期で、残業時間が100時間以上。どうしてそんなに長時間労働になってるの?

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 Aさん(以下略):例えば、「中学校で国語を教えていて、担任を持っている教員」がいたとするでしょ。要は“どの学校にでもいる普通の先生”だよね。

 うちの学校は3学年それぞれ4クラスずつあって、国語の教員は2人。国語の授業は1クラスあたり週4コマ(3年生は3コマ)。学校全体で週に44コマ、国語の授業が行われてることになる。これを2人の教員で半分ずつ受け持つと、教員1人あたり22コマ。

 担任を持っていると道徳の授業を受け持ったりなんだりで、もろもろ合わせて、週27コマを授業や会議に費やすことになる。

 で、ここが大事なところ。生徒が受けている授業数は29コマなんだよね。

―― ほとんど変わらないじゃない。

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 そう、1週間で空いてる時間は2コマ分だけ。この時間で全ての授業準備が終わるわけがないよね。だから、毎日残業することになる。これは決して極端な例ではなくて、よくある話。

 最近、「部活の負担を減らそう」という動きが進んでるんだけど、実際には「部活で生徒の成長を見るのが生きがい」という人もいるし、俺は「根本的な問題はそこじゃないだろ」と思ってる。そもそも教員が全然足りてないんだよ。

 もしも国語の教員をもう1人追加して3人にできれば、1週間の空き時間が10コマ分。2人だと“週に”2コマだった空き時間が、3人だと“1日”に2コマになる。

―― その時間が翌日の授業準備に使える、と。

 そういうこと。まあ、「校務分掌」といって、教員は「生徒指導」「教育相談(不登校になりそうな子の指導など)」などの仕事も分担してやってるから、残業がゼロになるとは言わないよ。

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 でも、「教員を増やすだけで仕事が楽になる、長時間労働が改善される」というのは間違いない。校務分掌だって人手が足りてなくて、1人でいくつも担当してたりするんだから。

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