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「欅共和国2019」、全披露楽曲の見所を1万5000字でレポート! 前年比5倍の水量に船長平手友梨奈が立ち向かう(3/3 ページ)

今年も素晴らしいライブをありがとー!(2017)

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Student Dance:これぞ欅坂46の真骨頂、“床水槽”の四天王ダンスでノックアウト

 MVさながらの世界観で始まった「Student Dance」では、“常に誰かに見られている世界”を見事に表現。メインステージではMVと同様にイスを使ったパフォーマンスが展開されたほか、マリオネットダンスも健在で、信頼しあった者同士にしか作れない間合いで表現されるダンスに欅坂46の歩みを感じるような気がします。

 また楽曲の中盤イントロで展開される四天王ダンス(齋藤さん、石森さん、鈴本さん、小林さん)に平手さんを加えたパフォーマンスは床に水を貯めた“床水槽”で披露されました。

四天王ダンスにしびれたファンも多かったはず(撮影:上山陽介)

 狭い空間で鋭いスライディング交差をしながら水しぶきを上げるパフォーマンスは圧巻だった他、足をあげるたびに大きく飛び散る水粒が照明にキラキラと反射して非常に幻想的な雰囲気を演出していました。

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 さらに終盤にはメンバー全員が床水槽に入って、ずぶぬれになりながらの水しぶきダンスを披露。欅坂46ならでは攻撃的でひりつくようなパフォーマンスに息をのむファンも多かったのではないでしょうか。個人的には「MTV VMAJ 2018 -THE LIVE」で披露された「Student Dance」の印象が強かったのですが、今回の欅共和国2019のパフォーマンスがベストパフォーマンスに躍り出たと感じました。

これが見たかった(撮影:上山陽介)

避雷針:楽曲にシンクロするかのような強い雨。そしてそれに立ち向かう欅坂46

 「Student Dance」のパフォーマンスに続いて流れたのは、VTR。大海原を進む欅共和国一行にひと時の平穏が訪れますが、それも長くは続かず、嵐に近づく船上には危機が迫ります。雷鳴が響く中始まったのはファン人気が高い楽曲「避雷針」。

イントロで一気に観客席が沸き立ったのが印象的でした(撮影:上山陽介)

 イントロに合わせてハーネス衣装で登場したメンバーは、1期生がおなじみの緑。2期生が青と衣装の色が異なるのが特徴です。

 序盤から世界観に入り込んだパフォーマンスが展開される中、中盤、平手さんがメンバーの間を駆け出し、理佐さんに抱きつくシーンでは理佐さんが安定のキャッチを見せ、会場を沸かせました。

 また雷のSEが入るごとに会場周辺の雨脚も強くなるなど、楽曲の世界観にシンクロした状況となる中、最後まで見事な陣形をキープしたまま観客側に向かってくるフォーメーションを披露して締めくくるところは、さすが欅坂46だと感じさせました。

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AM1:27:頭に銃口を向ける“マズルダンス”に撃ち抜かれるファン続出

 続いて披露されたのは、小林さん、鈴本さん、平手さんによるユニット曲「AM1:27」。センター中央のステージで披露されたパフォーマンスで抜群のキレを見せていたのは鈴本さん。平手さん、小林さんに比べるとやや小柄な鈴本さんですが、鬼気迫るダンスとキレのある動きで会場中の視線を集めます。

かっこいい以外の言葉が見当たらないこのかっこよさ(撮影:上山陽介)

 またこの3日間ハーフアップというかわいらしいヘアスタイルで臨んでいた小林さんもこの楽曲では、キュートなゆいぽんを封印。ニヒルな表情を浮かべながら鈴本さん、平手さんと抜群のコンビネーションダンスを披露しました。

新しいヘアスタイルがかわいすぎるゆいぽん。めちゃくちゃ似合ってます(撮影:上山陽介)

 ダンススキルや表現力の高いことで知られる平手さんも、歌詞の世界観に合わせてけだるげな表情を浮かべながらも、ダンスはキレキレの状態。特に「理解をされたいわけじゃないんだ」の部分からはギアが入ったかのようにキレが倍増。雨が降りしきる中、スポットライトを浴びて踊る姿は非常に美しく、頭に銃口を向ける“マズルダンス”に心を撃ち抜かれたファンも多かったことと思います。

 また「このファミレスがすべてでいいよ」のパートからはメンバーが合流。全員で最後の「WOW WOW WOW…」の腕上げダンスをビシッと決めました。

I’m out :ふーちゃんのしなやかさと強さを併せ持ったダンス

 クールな楽曲が続く中、披露されたのは「I'm out」。1番ではセンターを務める齋藤さんを中心に“生きる”ことについて問いかけていきます。

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 齋藤さんについてはこれまでにも、基礎がしっかりしていて、ダンススキルがかなり高いという印象があったのですが、今回あらためて「I'm out」のパフォーマンスを見てみると、齋藤さんのダンスにはしなやかさと強さ、そして元来の優しさや思いやりが込められているような、“胸を打つ力”があるような気がしました。またそうした魅力に気付くことができるのは、他のメンバーが齋藤さんのダンスを支えているからということなのでしょう。ソロはもちろんのこと、集団での繊細なバランスをとることに長けた欅坂46ならではの魅力にあらためて気付かされる1曲となりました。

キミガイナイ:孤独を描くウォータースクリーン演出に涙

 「I’m out」の曲終わりにはウォーターショットが放出され、再びVTRが流れます。攻撃を受けて損傷するなど、アクシデントが続いていた欅共和国の船が海の底深くへと沈んでいってしまうのです。

 そこで披露される楽曲は「キミガイナイ」。梨加さんをメンバーで担ぎながら入場してくると、メインステージにはウォータースクリーンが出現したほか、左・中・右の全てのモニターを使って1頭の青いクジラが出現。孤独感を表現する楽曲と幻想的な演出に、先ほどまで楽しくストンプしていた船員たちが海の底に沈んで行ってしまうのかと思うとなんだか胸が締め付けられるようで苦しくなります。そんな中、曲明けには再びVTRが。なんと先ほど登場したクジラ=主=が欅共和国の船を海面へと押し上げたのです。よかった(涙)。

語るなら未来を…:ひかるちゃんの存在感と夏鈴ちゃんの感情爆発ダンスが圧巻

 VTR明けで始まったのは、激しいダンスチューン「語るなら未来を…」。力を取り戻したかのような欅坂46メンバーのシルエットが映し出されると、会場からは大きなコールが沸き起こります。特に印象深かったのがフロントに入った森田さんの存在感で、普段のかわいらしい表情を封印し、クールに徹しながらも“見せるところは魅せる”というスタイルが非常にギャップを感じさせて良かったです。また激しいダンスで周囲を驚かせたのは藤吉さん。感情を爆発させるような鬼気迫るダンスはこれからの成長を期待させました。

風に吹かれても:“神風”にメンバーも笑顔

 続いて披露されたのは、「風に吹かれても」。これまでセンターの平手さんが眼鏡をかけてパフォーマンスするというのが恒例でしたが、今回は眼鏡なしでの披露となりました。小林さんが「ラスト、一緒にもりあがりましょ~!」と声を掛けた後、平手さんが葉っぱをフッと吹いて楽曲がスタートすると客席からは「That's the way!」「トゥトゥルトゥルトゥル」とコールがあがり、メンバーたちはノリノリの状態。

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 曲の終盤には偶然“神風”が吹いてメンバーの前髪がアップになり、それを見たメンバー同士が笑いあう場面やジャンプする場面ではメンバー同士で手をつなぐシーンもあるなど、終始笑顔の絶えないパフォーマンスとなりました。

サイレントマジョリティー:最高のパフォーマンスをやり遂げた欅坂46

 最後の曲を前にセンターのメインステージではウォータースクリーンに「ポセイドン」が出現。降り注ぐ水にプロジェクションマッピングで投影されたポセイドンが手をやると水が大量に放水されるという状況の中、欅共和国一行は“最後の戦い”=「サイレントマジョリティー」=に挑みます。

プロジェクションマッピングで投影されたポセイドン(撮影:上山陽介)

 オープニング同様、船員服と船長ルックで登場した欅坂46は、欅共和国2019を締めくくる最後のパフォーマンスも一糸乱れぬフォーメーションで披露。会場中が緑のペンライトで染まる中、最高のパフォーマンスをクライマックスまでやり遂げました。

欅坂46と言えばやっぱりサイマジョ(撮影:上山陽介)
一糸乱れず花道を進む様子が“欅坂46”だった(撮影:上山陽介)

エンディング:

 「サイレントマジョリティー」の披露後はセンター中央ステージから、メインステージへと移動。船長・平手さんの指示で尾関さんらがイカリをあげ、旅の終わりを観客たちに知らせた後は、全員で力強くダンスし、最後は観客の頭上に大輪の花火を打ちあげてフィナーレを迎えました。

フィナーレに打ちあがった花火(撮影:上山陽介)

1つのストーリーとして完結できる曲構成

 今回印象的だったのが、ライブが1つのストーリーとして完結していたこと。大海原に出航した欅共和国の一行が、嵐に行く手を阻まれたり、海に住む主=くじら=の手を借りて急浮上したりという一連のストーリーが「僕たちの戦争」「避雷針」「キミガイナイ」といったファンに人気が高い楽曲を中心に構成されていたことは、非常に素晴らしかったという他ありません。

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 この他にも、ユニット曲を欅坂46全員で初披露した「バスルームトラベル」などのうれしいサプライズも用意されており、常に“観客を驚かせよう、楽しませよう”という気持ちで構成されている点がファンにとってはうれしかったのではないでしょうか。

 また今回の公演では初日から千秋楽まで一貫して「アンコールはない」ということが事前告知されていました。これは千秋楽にサプライズを用意する傾向の多かった欅坂46としては異例のこととも言えますが、個人的にはライブ本編に全力注ぐという姿勢は非常に評価できることではないかと感じました。また初日から千秋楽までどの日程に入国しても同じように楽しめる構成となっていることも好感が持てました。

見張り台とフロートでどの席でもメンバーが間近に

 2019年の欅共和国では、ステージ全体を巨大な船に見立てたセット、十字に伸びる花道、フロート、そして見張り台(やぐら)といったこれまでにない構成のセットが組まれていました。今回は例年よりも客席が横広になったため、1日あたりの観客者数は1万6000人。3日間で4万8000人もの人が入国したことになりますが、7台の見張り台がさまざまな場所に設置されていたことで、どの席にいても「メンバーが近く来た!」と感じられる趣向が凝らされていたところは非常に好評だったと思います。

 また前年から引き継いだテーマ「びしょびしょ・ぐちゃぐちゃ!」も大幅にパワーアップにしていました。欅共和国2018から導入された日本最大級の放水マシン「ウォーターショット」で高さ70メートルまで水柱を上げた他、バブルマシンやメンバーが投げまくる水風船やウォーターガン、ステージ前に設置されたウォータースクリーンとまさに水攻めの状態となっており、使用された水の量は欅共和国2018のなんと5倍にあたる、延べ210トンにも及んだそうです。

新たな旅へ

 欅共和国の一行はイカリを上げ、新たな旅へと出航していきました。欅共和国2019には初日と最終日の2日間行かせていただきましたが、これだけパワフルなライブを3日間連続で、それも雨の中で見事にやり切った彼女たちに、そしてこのステージを作り上げたスタッフの皆さんにまず、全力で拍手を送りたいです。

 何度ライブを見ても、何度パフォーマンスを見ても、新たな魅力に気付けたり、驚きがあるアーティストというのはそうそういないと思います。そして、その驚きが生まれているのは、彼女たちや周囲の人たちの努力の結晶なのだと思います。

 レポートを書き終えた今、時刻は7月8日の6時を指しています。欅坂46は次にどんな景色を見せてくれるのか。8月からスタートする全国アリーナツアーを前に彼女たちはどんな航路へ進むのか。本当に楽しみで仕方ありません。また最高の空間で彼女たちの姿を見られること、そして8月14日発売の「欅共和国2018」を鑑賞できる日を楽しみにしています。

欅坂46の皆さん、いつもすてきな写真を提供して下さる上山さん、そして全スタッフの皆さん本当にお疲れさまでした。今年も素晴らしいライブでした。また来年もぜひ欅共和国で……!(撮影:上山陽介)

「欅共和国2019」

日程:2019年7月5日、6日、7日開場16:00 開演17:30

会場:富士急ハイランド・コニファーフォレスト

セットリスト

オープニング

Overture

1:世界には愛しかない

2:手を繋いで帰ろうか

3:青空が違う

4:太陽は見上げる人を選ばない

5:アンビバレント

6:バレエと少年

7:制服と太陽

8:バスルームトラベル

9:結局、じゃあねしか言えない

10:Nobody

11:危なっかしい計画

12:僕たちの戦争

13:Student Dance

14:避雷針

15:AM1:27

16:I’m out

17:キミガイナイ

18:語るなら未来を・・・

19:風に吹かれても

20:サイレントマジョリティー

「欅共和国2018」DVD/Blu-ray

8月14日(水)発売 欅坂46

  • DVD初回生産限定盤 7800円

 2枚組三方背仕様

 ポストカードセット封入(6枚組 ※全46種のうち6枚1セット封入)

  • DVD通常盤 5000円
  • Blu-ray初回生産限定盤 9800円

 2枚組三方背仕様

 ポストカードセット封入(6枚組 ※全46種のうち6枚1セット封入)

  • Blu-ray通常盤 7000円
※初回生産限定盤に封入されるポストカードのサイズ・絵柄は共通です。
※価格は税込みです。

(Kikka)

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