東村アキコ原作「偽装不倫」杏×宮沢氷魚で今夜スタート 「結婚にとりつかれた寂しいアラサー女性」の類型を超えて行けるか(1/2 ページ)
原作は「東京タラレバ娘」「海月姫」の東村アキコ。
杏主演のドラマ「偽装不倫」(日本テレビ系)が、7月10日(水)よる10時からスタートする。原作は、「東京タラレバ娘」(日本テレビ系)や「海月姫」(フジテレビ系)の東村アキコによる同名漫画で、現在LINEマンガで連載中だ。
主人公・鐘子(しょうこ)は、婚活に疲れた30歳の派遣社員。ひとりラーメン、ひとりカラオケ、ひとり焼肉、ひとり旅行もできてしまうほど、「おひとり様」の自分に慣れ切っている。
派遣先との契約期間が終わったタイミングで出掛けたひとり韓国旅行で、鐘子はジョバンヒという韓国人男性と出会う。落とした指輪を拾ってくれたジョバンヒに、鐘子は思わず指輪は「左」につける、つまり既婚者であるとウソを吐いてしまう。
こうして、鐘子とジョバンヒの「偽装不倫」がはじまっていく。
鐘子は「さみしいアラサー独身女性」のステレオタイプなのか
「昼顔~平日午後3時の恋人たち~」(フジテレビ系)、「あなたのことはそれほど」、「あなたには帰る家がある」(ともにTBS系)、「黒い十人の女」(日本テレビ系)など、不倫を題材にした面白いドラマは数多く挙げられる。わざわざ偽装にしたからどうなのだろうと思って漫画『偽装不倫』を読んだ。これがひきこまれる。
「婚活3年がんばってみたけど もうやめたい」
「私はいらないかな 指輪も 秘密の恋も」
物語は、鐘子のモノローグから始まる。姉の葉子は、良い大学を出て商社マンの夫・賢治を捕まえたキャリアウーマン。対して、鐘子は30代の派遣社員、恋もキャリアも諦めている。葉子に「本腰入れて婚活しなさいよ!」と尻を叩かれるが、どうしてもやる気になれない。
結婚できない自分を気にしすぎる女性が主人公だと、つい「ステレオタイプだなあ」と思ってしまう。いまの30代女性は、みんながみんな、そこまで結婚のことばかり考えているわけではない。それに、恋人がいないからといって毎日焦っているわけでもないからだ。
しかし、ジョバンヒと出会って顔を赤らめ、彼で頭がいっぱいになったり、偽装した不倫に悩み続けたりする鐘子を見てハッとした。
確かに、結婚できない・しない女性は結婚のことばかり考えている、という描写はステレオタイプだ。だけど、周りに指摘されたり、自分の加齢に気づいたり、結婚や妊娠関連のニュースを見たりする中で、我々はやはりうっすらと「結婚」について思いをめぐらせたり、わざと考えないようにしたり、悩んだりしている。
そして、その遠くにある薄い霧のように視界をさえぎる悩みや不安を取り払ってくれるのが、恋やときめき、他の悩みなどの「没頭できる何か」なのだろう。鐘子にとってそれは、ジョバンヒでありウソをつくことだった。没頭しているときの鐘子は、どこかイキイキとしはじめている。
自分を「既婚者」だと偽ってその「役」になってみることで、鐘子は自分にかかった霧のようにうっすらとした悩みや不安をよけ、本当にほしいものに気がついていく。
舞台は韓国から福岡へ。仲間由紀恵、谷原章介ら絶妙キャストにも期待
ドラマでは、主人公の鐘子を杏が演じる。原作には、「私はお姉ちゃんと違って 気楽で寂しい独身なの!」、「私は絶望的に男にモテない!!」という、東村アキコ作品らしいものの、実写で聞いたらちょっとしらける不安を感じる台詞もある。しかし、「デート~恋とはどんなものかしら~」(フジテレビ系)で、融通が利かなさすぎる不器用な女性をコミカルに演じ切っていた杏なら、鐘子もチャーミングに表現してくれるに違いない。
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