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吉本、岡本社長異例の5時間半会見、現地記者はどう見たか 記者席からは「最初の話と違う!」と怒号も(2/2 ページ)

会見会場ではなにが起きていたのか。

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ねとらぼ編集部の質問に「それ聞いちゃうんだ」の声

 終始うまく回答できず言葉に詰まってしまう岡本社長の会見に、カメラマンからは「何時までかかるかなこれ……」の声。司会の笠井広報室長から事前に「質問が終わるまで会見を続ける」旨の説明があったこともあり、近くにいたカメラマンは「(“長時間会見”といえば、)日本マクドナルドによる異物混入問題の会見」を思い出すと話し、「3時間強だった」と苦笑いしていました。一方宮迫さんと亮さんの会見が約2時間半だったこともあり、「5時には終わるだろう」という話も聞かれました。

質問のため挙手する報道陣

 そんな中、会見冒頭と終盤にはねとらぼ編集部が質問の機会を得ました。質問したのは大きく分けて2つで、「吉本興業と反社会的勢力の関わり」「雇用契約」についてです。

 まず「吉本興業が主催するイベントに『CARISERA』(表向きはエステサロン、実態は反社会的勢力のフロント企業と報じられている)がスポンサードしたというのは本当か」と尋ねると、背後にいた芸能リポーターたちからは「それ聞いちゃうんだ~」という声。岡本社長は「事実ではありません」ときっぱり否定したうえで、質疑応答で唯一、事前に用意された資料の読み上げが行われたほか、吉本側が作成したパネルが登場するなど、異様な展開となりました。

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会見にパネルが登場

 岡本社長の説明によると、「当該イベントは吉本興業のイベント制作ではなく、都内のイベント会社が主催したもの。吉本はイベント会社の依頼を受け、タレントを派遣しました。このイベント会社のスポンサーの1つが今回問題となっている特殊詐欺集団のフロント企業だったということです」とのことで、吉本としては全ての取引先の反社チェックを行っていたためイベント会社が反社ではないということは確認していたものの、その先に反社がいたというのは見抜けなかったと語り、「この判断が甘かったという面は否めないと思っております」と回答。またこの件については、調査が続いており、警察と全国暴力追放運動推進センターにも報告、相談はしているとのことでした。

吉本が示したパネル

 また宮迫さん、亮さんらが出席してしまった「CARISERA」社長(特殊詐欺の主犯格として後に逮捕)の誕生日パーティーについて、「吉本の社員が出席したという事実はあるか」について尋ねると、これについては「(同席)していません」と否定したほか、「調査結果を公にするか」という質問には「調査中のため、今いまにということは考えておりません」としました。

 なお、質疑応答含め、会見中で吉本側がパネルを使って説明を行ったのはここだけでした。通常、こうしたパネルを準備していたのであれば、冒頭の岡本社長の会見部分で使用するのが一般的に思えますが、「記者側から質問があってようやくパネルが出てきた」という点にやや違和感を覚えました。うがった見方かもしれませんが「聞かれなければそのまま済ませたかったのでは」とも考えてしまい、回答内容とは別にモヤモヤが残ったのも事実です。

 終盤に質問した雇用契約の関係については、大崎洋会長が「吉本の場合は口頭で契約する。民法上も口頭で成立する」とメディアに語っていることや、ハリセンボンの近藤春菜さんが7月15日放送の「スッキリ」で、「(どんな契約をしているか)私は口頭でも聞いた覚えはない」と発言していることを踏まえ、「吉本に所属する場合、タレントにどんなことを伝えているのか。注意事項などを具体的に教えてほしい」と尋ねたところ、「NSCを卒業した生徒には、コンプライアンス順守の書類として誓約書を書いてもらい、うちの仕事をやっていただいている。“基本は契約書無しで人間関係で”ということがベースだが、所属タレントは多岐にわたるため、今回のことを踏まえ、どういう形が模索できるか探る」と回答しました。

 また契約書がない状態で所属タレントが問題や事故などを起こしてしまった場合、「根拠がないためタレント自身に損害賠償することが難しいのでは」と尋ねたところ、これについては、「タレントが事件や事故を起こし、クライアントさんに損害を与えた場合も、一度も(タレント側に)請求をしたことはありません」と回答しました。

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同じ質問を繰り返すマスコミにうんざりのカメラマンたち

 会見が長時間に渡ったことから3時間を過ぎたころに一度休憩をはさんだものの、多くの報道陣から質問の手が上がりますが、中盤以降は同じ質問のループ状態に。一部の報道陣からは「『(番組名)の○○と申します』のところを、自分の名前でやりたいだけだろ」「インタビューじゃなくて記者会見なんだから、何度も同じことを聞くんじゃないよ」といら立ちの声が上がり始め、司会の笠井陽介広報室長からも「質問はあと3つ」という話がでましたが、これには朝日新聞の記者から「最初の話と違うじゃないですか! 手が上がるまで全部って!」と怒号が飛び、その後1時間半、計5時間半、記者会見が続きました。この状況に一部の記者が個人Twitterで「あまりにも回答の歯切れが悪いので、質問する気持ちがそがれてしまった……。」とツイートしたり、カメラマンがスマホゲームをし始める、カメラマン同士が飴を配りあうなど、記者会見ではなかなか見られない異様な光景が広がりました。

会見を終えて

 今回の会見を通して感じたのは、良くも悪くも「吉本は関西の会社だな」という印象です。あまりにも空気が読めない発言として注目された「テープ録ってるんちゃうの」が「(空気を変えるための)冗談だった」という説明は、一部関西人が聞けば「アホちゃう。おもんないねん」「しょーもないこと言うて。そんなん通るわけないやん」という感想を抱くかもしれませんが、今回この重要な局面でその言葉を放ってしまったということは、多くの人々に不信感を与える結果となってしまいました。

 また「もうクビや!」という主旨の発言についても、パワハラととらえかねられない、許されない発言であることは言うまでもないことですが、岡本社長の答弁や藤原副社長、中村東京マネジメントセンター長のフォローを聞いていると、ワンマン経営の関西系社長がいかにも言葉に出してしまいやすいフレーズだったのかもしれないと感じ、宮迫さん、亮さんの会見を見た直後の吉本に対する印象とは少し変わってきた部分もあります。

司会として5時間半立ち続けた笠井陽介広報室長

 つまり、筆者の抱いた印象を端的に言えば、岡本社長は「大阪のおっちゃん」なのです。22日の会見がだらだらと5時間半続いてしまったのも、“誠意を示そうとしたものの結果的に「やたらと話の長い大阪のおっちゃん」”が出てしまったのかもしれません。

 しかし岡本社長は現実には所属タレント6000人を抱える日本最大級の芸能事務所の社長であり、事の重大さを考えれば今回の会見をめぐる対応に厳しい声が未だにやまない状況というのも致し方なく感じます(もちろんおっちゃんだからと言って対応のまずさが許されるわけではありませんが)。

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 一方で、編集部が質問した際には「記者がどこにいるのか」を岡本社長自身が確認し、「よろしくお願いします」とあいさつしたり、しっかりと目を見て回答していたり、藤原副社長も時折うなずいて申し訳なさそうな表情を浮かべたりと、「全く誠意が感じられない」という訳でもありませんでした。

 また全体的に質問と回答がかみ合っていない場面が多かったのは否めませんが、マスコミ側も「感情論」に焦点を当てるなど、一部ふわっとした質問を投げかけていたこと、全く同じ質問を繰り返すなど、反省すべき点があるようにも感じられました。ネット上では会見が生中継されていたこともあり、吉本に対する批判の声のほか、マスコミの質問の質の低さについてのコメントも目立ったので、個人的にはこうした会見での姿勢について深く考えさせられました。

 いまだ先行き不透明な本問題。今後もねとらぼでは進展があり次第、情報をお伝えしていきます。

時系列まとめ

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