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「センター問い合わせ」の文字にドキドキ! ガラケーの全盛期を支えたiモードの文化を振り返る連載「わが青春のインターネット」

iモードを中心に「着メロ」「デコメール」といったガラケー文化を振り返ってみましょう。

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 「センター問い合わせ」の文字に胸が躍ったあのころ――iモードは生活の一部でした。しかし、時代の移り変わりによってスマホが急速に発達。2019年に9月30日にはiモードの新規受付終了が予定されています。サービス終了を前に、iモードの懐かし機能や「着メロ」「デコメール」「ケータイ小説」といったガラケー文化を振り返ってみましょう。

懐かしい画面(社員私物)

iモードとは

 世界初の携帯電話IP接続サービス「iモード」は、NTTドコモの対応携帯(フィーチャーフォン)でiモードメールの送受信やウェブサイトの閲覧などができるというサービスで、1999年2月にサービスを開始しました。天気やニュースのチェック、ブラウザ機能などさまざまなサービスがある中で人気を博していたのが、メール機能である「iモードメール」です。iモードユーザー同士であれば「iモード絵文字」を使えるなど、大人たちだけでなく、学生世代にも携帯メール文化が広まるきっかけの一つとなりました。

「iモード」で使える機能(NTTドコモの公式サイトより)

センター問い合わせにドキドキ

 iモードに関する思い出を複数の人に尋ねてみたところ、まず全員が口にしたのが「センター問い合わせ」という機能です。携帯メール黎明期、「メールの送受信には少し時間が掛かる」ということは常識でした。また地下鉄など電波が届きにくい場所へ行くと、電話が鳴らなかったり、メールが届かなかったりということも割とありました。そんなとき使う機能が「センター問い合わせ」です。新着メールの問い合わせ画面をしばらく眺めていると「メール:1件」というような形で着信が滞っていたメールが届いて心躍らせたほか、「新着メールなし」といった画面にがっかりした人も少なくはないでしょう。

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ガラケー全盛期に使っていた携帯電話2台と今使っているiPhone(筆者私物)
超小型mova端末「premini」はかなりのお気に入りだった1台。重量は69gで複数台持ちをする際に重宝された

 このセンター問い合わせについては「しまくっていた」「ドキドキした」という意見が多数。筆者も学校を出た瞬間に携帯の電源をオンにしてセンター問い合わせをかける瞬間が1日でもっともドキドキしていた時間だったことを思い出しました(ただし、たいていは迷惑メールか、チェーンメール、親からのメール)。

 ところでこの「センター問い合わせ」の「センター」とは一体どこなのでしょうか。NTTドコモの広報担当者に聞いてみたところ、「iモードメール専用サーバー」のことだそうで、コールセンターのようなところに待機したNTTドコモのスタッフが「●●さんから問い合わせだ。滞っていたメールを送ろう」と人力で対応しているわけではないそうです。

一部の機種では「iモード」のボタンが割り振られていた

絵文字からデコ文字、顔文字まで、メールの彩り方変遷

 またメールについては、「絵文字を使いまくっていたが、他キャリアとのやり取りの場合は表示されない絵文字が多くて「〓」のような図柄で化けていた」「学校ではやっていたギャル文字(デコ絵文字)を使っている時期があった。父親にギャル文字でメールしていたが全然理解していなかった」「返信を繰り返すと件名に『Re:』が追加されていき、最終的にはタイトルが『Re:』で埋め尽くされていた」というエピソードが聞かれました。

 中でも興味深かったのが、「絵文字」「デコ絵文字」「顔文字」についての変遷。1999年にiモードコンテンツの1つとして開発された「iモード絵文字」は、表情・ピクトグラムなどを中心にデザインされたカラフルな外字文字セット271文字で、味気なくなりがちなメールの本文に彩りを与えるという文化の先駆けになりました。またその後登場した「デコ絵文字」では「絵文字が動く」という新たな楽しみをユーザーに提供。一部ではプリクラで書かれていたようなギャル文字を絵文字風に再現した「デコ絵文字」も開発・発売され、人気を博しました。

社員の実家にあったガラケーたち。ドコモダケが良い味を出している(社員私物)
なつかしさ爆発(社員私物)

 そんな中今回の取材に協力してくれた20代の女性からは「絵文字やデコ絵文字を使うのは邪道だと思っていたので、私は顔文字派でした」という意見も。当時ネット掲示板などで流行していた顔文字を多用しつつ、メールに華を添えていたと語りました。

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着メロから着うたへ

 また、メール文化が発達するにつれて「用途によって着信メロディー(着メロ)を変える」という人も増えていきました。電話とメールで着メロを変えるのはもちろん、仕事先からならこの音、恋人からならこの音と細かく着信音を変えている人も少なくありませんでした。当初は携帯電話に内蔵されていたメロディーを使用する人が多かったものの、次第に「流行の曲を着メロにしていることがかっこいい」というブームに発展。1998年には自分で着メロを作ることができる本『ケータイ着メロ ドレミBOOK』が発売されました。

 そんな着メロですが、2002年にiモード公式サイト上で「着メロ取り放題¥100」が開設されるなどするまでは、1曲105円などの課金制が基本でした。特に同じ楽曲でも販売サイトによって曲開始のタイミングが異なったり、曲の再現度に違いがあるといったことはかなり多く、何度も繰り返し試聴してから購入ボタンを押すのが常でした。

 さらに2002年からはKDDI/沖縄セルラー電話連合が「着うた」サービスを開始。2003年からはNTTドコモなども同様のサービスを開始し、多くの人に親しまれました。

 この着うたについては、2007年から2010年ごろまでが全盛期と言われ、このころには1曲当たりのダウンロード数が100万件を超える楽曲も出てきました。一方海外ではこのサービスはあまり受け入れられず、2008年にiPhone 3Gが登場したことをきっかけに低迷。2016年には着うたの商標を持つソニーの子会社であった「レコチョク」が「大好きな音楽を聴けば、いつだって僕らはDream Fighterになれます。サラバ、愛しき悲しみたちよ。次は、いつ、どこから、どんなかたちで、みなさまを驚かせることができるのか。愛詞(あいことば)『音楽は、夢を見る。』。どうぞ、レコチョクにご期待ください」と着うた全盛期を支えた楽曲の歌詞をちりばめてサービスの終了を発表しています。

 ちなみに2002年から2016年までの15年間で最もダウンロードされた楽曲はGReeeeNの「キセキ」で、青山テルマ feat.SoulJaの「そばにいるね」が2位、GReeeeNの「愛唄」が3位で、世界初の着うたソングはauの携帯電話に内蔵されたCHEMISTRY「My Gift to You」と言われています。

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「Music PORTER」(D253iWM)。FMラジオチューナーを内蔵するなど、「携帯で音楽を聴くこと」に特化しており当時流行していたMDに似たデザインなのが特徴。正方形のデザインが気に入っていた

定額制ゲームにSNSの先駆け「ヤプース」

 またガラケー時代の思い出についても聞いてみると、「無料ゲームでよく遊んだ」「ドラマのサイトで無料で遊べるゲームがあって、それのハイスコアを出そうと頑張っていた」「定額制のゲームよく登録していた。狂ったようにテトリスで遊んだ」「『ぼくのぱんつ』というパンツをひたすら干すiアプリをひたすらやっていた」「ケータイ小説を読みまくっていた」「ナビアプリではナビタイム1強状態だったので常に有料登録していた」など使い方はそれぞれでしたが、共通するのは「携帯電話に暇つぶしを求めていた」という点です。

簡単なゲームであっても何時間でも遊べたあのころ(社員私物)

 その中でもユニークだったのが「ヤプース!」を使っていたという声でした。「ヤプース!」とは、eメールを送るだけで画像付きの日記が更新できるというサイト。利用していた人は「今でいうTwitterやInstagramみたいなサービスがあって、楽しかった。(自分が利用していたのは)2004年前後だったのでわりと時代を先取りしてた感じがあった」と振り返りました。「ヤプース!」は2001年から運用が開始された後、ブログ機能に特化した「ヤプログ!」(2020年1月31日終了予定)へと発展。「ヤプース!」自体は2007年に惜しまれつつ全サービスを終了させたと言いますが、無料ゲームであったり、SNSの先駆けであったり、現在のスマホ市場の発展につながるような様々なサービスが模索されていたことがうかがえます。

9月30日にはiモードの新規受付終了

 そんなiモードですが、2019年9月30日に新規受付を終了することが発表されています。既存ユーザーについては10月以降も利用は可能ですが、2020年代半ばごろに3Gサービスが終了する関係で、それまでにiモード機能が使用できなくなることも明かされており、ネット上では「長い間お疲れさまでした」「ありがとうiモード」と感謝の声があがっているほか、「また1つの時代が終わろうとしている」と惜しむ声も上がっています。

「iモードのサービス終了」を知らせる告知(NTTドコモの公式サイトより)

 ガラケー時代を支え続けたiモード。あなたにはどんな思い出がありますか。

連載「わが青春のインターネット」

この記事は、ねとらぼとYahoo!ニュースの共同企画による連載記事です。平成時代とともにに生まれ、育ってきたインターネット。これまで約30年、さまざまなWebサービスや出来事、有名人が生まれては消えていきました。かつて一世を風靡した「あのサービス」を振り返り、同時に今のネットの問題点を考えることでWebの栄枯盛衰や怖さを伝えつつ、失われることのないネットの楽しさの本質に迫っていきます。そして、令和時代のインターネットの将来について考えていきます。

(Kikka)

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