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「クーデター」と「革命」は何が違うのか?

そもそも「クーデター」って何?

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 今年(2019年)4月30日、南米の国・ベネズエラでクーデター未遂事件がありました。「暫定大統領」を名乗るグアイド国会議長が、マドゥーロ大統領を中心とする現政権に抵抗するよう軍に呼びかけたのです。

 ベネズエラでは今も政情不安が続き、400万人を超える国外脱出者が発生しています。

 そんな「クーデター」という言葉の意味、ニュースや社会の授業で耳にする機会も多いですし、何となく「武力で政権を倒す」くらいのイメージはあるかと思います。

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 しかし、「革命」と何が違うの? と聞かれると、言葉に詰まってしまいます。では、クーデターとは、どんな出来事を指すのでしょうか。

クーデターはトップが交代するだけ、革命は政権の担い手が変わる

 クーデターと革命の最大の違いは、「社会・政治のシステムが変わるかどうか」にあります。

<クーデター:トップの交代を望む>

 クーデターとは、同じ支配階級の中のある勢力が、政権の奪取を狙って非合法的な行動を起こすこと。交代するのはあくまで指導者や政治の中心勢力であって、国の体制が根本から変わるわけではありません。

 先日のベネズエラの事件では、主導者がグアイド氏という、大統領と同じ政治家の立場であったことからクーデターと見なされます。「未遂」と報じられたのは、軍部の少数しかクーデターに加担せず、マドゥーロ氏を大統領の座から降ろすには至らなかったためです。

<革命:政治・社会のあり方を変えることを望む>

 一方の革命は、一般の大衆が原動力となり、現行の支配階級を征服しようとするものです。例えば、独裁政治から民主政へ転換するようなもので、政治・社会のあり方がそれまでとは一変するわけです。

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 多くの方が「革命」と聞いてイメージするであろう、18世紀末のフランス革命もまさにこの例。ブルボン朝による絶対王政を打倒し、第三身分(聖職者・貴族を除く平民)の人々が政権を掌握しました。

日本のクーデター

 現代でこそ軍事紛争とは無縁に思える日本ですが、実は歴史上クーデターは少なからず勃発しています。

 近代であれば、1936年の二・二六事件が代表格に挙げられます。天皇による直接政治を理想とする陸軍の青年将校たちが、時の首相・岡田啓介ら政府の高官を襲撃した事件です。


二・二六事件の後、岡田首相の生存が報道された

 有名な大化の改新(政権のトップが「天皇家・蘇我氏」から「天皇家・藤原氏」に移行)や本能寺の変(織田信長→明智光秀)も、急激な統治システムの変化を伴わない政変という意味でクーデターの一例といえます。

おわりに

 「クーデター」はフランス語で「国家への一撃」といった意味を持つ言葉です。英語では単に“coup”といったりします。

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 今回取り上げたような政治用語に限らず、普段見聞きする言葉には意外な意味や由来が潜んでいるものです。気になったものを一度調べてみると、とっておきの知識が手に入るかもしれませんね。

参考文献

エドワード・ルトワック著、奥山真司訳(2018)『ルトワックの“クーデター入門”』芙蓉書房出版

制作協力

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