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「そこは蒸気機関士の意地なんです」 「SL銀河」で感じた鉄道マンのカッコ良さ月刊乗り鉄話題(2019年8月版)(3/4 ページ)

JR東日本もスゴいけど、現場の意地もスゴかった話。4時間乗り続けても飽きませんでした。てへ。【写真30枚】

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東北にSLを──JR東日本の意地がカッコいい

 なぜ、JR東日本はそこまでして釜石線にSL列車を走らせたかったのでしょうか。その理由は、三陸地域の復興を観光で応援するという強い意思があったからです。

 2011年の東日本大震災で三陸地域をはじめ、東北地方に大きな被害がありました。その経済復興のため、東北に、三陸に、観光客を呼び込みたい。そして東北地方の人々にも、力強く走る蒸気機関車の姿を見て元気になってほしい。そんな願いを込めて、SL銀河計画は始まります。

 釜石線では過去に、高崎で復活運用していたD51形蒸気機関車を使ったSL列車を走らせていました。釜石線の前身の岩手軽便鉄道に宮澤賢治の親戚も出資しており、銀河鉄道の夜のモチーフになったとも言われていたからです。しかし当時も蒸気機関車では力不足で、ディーゼル機関車を連結していたそうです。東日本大震災のあと、2012年に1度だけこの方法でSL列車を復活させたところ、観光誘客としても、地域を応援する意味でも大成功となりました。

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こちらはSL銀河のコンセプト画

岩手県の名産品紹介コーナー

図書コーナーもあった。4時間半の乗車を飽きさせない工夫だ

 しかし、毎週高崎からD51形を借りるわけにはいきません。定期的にSL列車を走らせるための蒸気機関車がありません。そこで、岩手県盛岡市の公園に保存されていた蒸気機関車「C58形239号機」に白羽の矢が立ちました。大宮工場で1年間に渡って復元工事を実施します。そして客車は前述の通り、JR北海道からディーゼルカーを購入し、内装を大改造しました。蒸気機関車の復旧費用と合わせて、総額20億円のプロジェクトでした。


公園で保存されていた蒸気機関車とディーゼルカーを客車に改造してSL銀河が誕生した

 JR東日本は東北復興のため、気仙沼線と大船渡線の一部をBRT(バス高速輸送システム)に転換し、山田線の沿岸区間は三陸鉄道に譲り渡します。本業である鉄道を手放す一方で、大船渡線鉄道区間には「ポケモントレイン気仙沼号」(関連記事)、八戸線にはレストラン列車「TOHOKU EMOTION」(関連記事)、そして東北地方全体を巡る「TRAIN SUITE 四季島」(関連記事)を生み出しました。

 SL銀河もこうした「東北を盛り上げよう」という企画の1つ。何としてでも釜石線にSL列車を走らせようという、JR東日本の鉄道屋としてのこだわりを感じます。意地、または誇りかもしれません。カッコいいなあ。

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