レビュー

「凪のお暇」“メンヘラ製造機”ゴン(中村倫也)の残酷さ 4話の慎二の涙は空気を読む凪を変えるのか?(1/2 ページ)

「慎二、もしかして泣いてるの?」慎二は毎週泣いてる。

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 8月9日放送「凪のお暇」(TBS系)第4話のオープニングはどストレートだった。「めっちゃくちゃ気持ちよかった!」と凪が感激するほどのゴンとのセックス。振り向くと、横で寝ているゴンは凪に背を向けソシャゲに励んでいた。最中は熱く感じたゴンの背中が、今はめちゃくちゃ冷たい。ゴンのイベント仲間・エリィ(水谷果穂)はゴンについて「あいつは目の前にいる人に誠実で、目の前にいない人には不誠実」と評した。ゴンの周りでは、こんな風にメンヘラが生まれていくのか。

安良城ゴン(中村倫也)に翻弄されて、メンヘラ一直線な凪(黒木華) イラスト/まつもとりえこ

遂に凪の目の前で涙を流す慎二

 大島凪(黒木華)は隣人の安良城ゴン(中村倫也)の部屋で一晩を一緒に過ごし、完全にゴンに堕ちてしまっていた。彼女は自分たちが付き合っているのかはっきりさせたいが、空気を読む性格のせいで確認できずにいる。

 ゴンのことで頭がいっぱいになり、凪の部屋は散らかり気味に。ハローワークに1週間も顔を出さない凪を心配に思った坂本龍子(市川実日子)から連絡を受け、凪は「今日は行きます」と返答する。しかし、ゴンからバイクのドライブに誘われ、凪は約束をすっぽかした。龍子から「ゴンにだまされているのではないか」と指摘された凪は「坂本さんに何がわかるんですか?」と猛反発する。

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 一方、我聞慎二(高橋一生)はメンヘラ製造機というゴンの噂が気になり、凪の自宅を訪れた。しかし、自堕落な生活を送る凪は出てこず、なぜかゴンの部屋で凪の帰りを待つことに。すると、ゴンの部屋にある凪が書いた置き手紙を慎二は見つけた。「ロールレタスが冷蔵庫にあります」と書いてあったが、ゴンが口をつけた様子はない。慎二がゴンの部屋を出ると、コンビニにいる凪を発見。逃げる凪を追い掛け、「お前以外に何人も女がいるような男でいいのか!?」と問う慎二。「全然いいよ」と返答する凪。その答えを聞いた慎二は涙を流した。

目の前にいない凪へゴンの残酷さ

 「私……ゴンさんのことが好きです」

 ゴン「うん。俺も凪ちゃん大好き」

 ゴンが凪に掛けた「大好き」の言い方が軽過ぎる。凪の「好き」とゴンの「好き」は意味が違って聞こえる

 慎二を家に上げたゴンは「我聞君が心配するような仲じゃないから。安心して」と一言。凪と「好き」と言い合っていたはずなのに……。セックスはゴンにとって日常の行為で特別なものではないということ? それとも目の前にいる慎二に優しさを向け、言ってほしい言葉を投げただけなのだろうか?

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 慎二「俺ら、もう一切そういうんじゃないんで」

 ゴン「我聞君って可愛いね」

 「凪ちゃん、可愛い」と「我聞君、可愛い」のトーンが全く一緒である。慎二とマリオカートで勝負した際、ゴンがホット茶ミルクを入れたハート型のマグカップは明らかにゴンのセレクトじゃなかった。

 凪は「ゴンから合鍵を受け取った」という事実を拠り所にしていた。

 「私たちって……そういう仲ってことでいいんですよね?」(凪)

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 いや、ゴンは誰にでも鍵を渡す。数度しか会ったことのない慎二を家に上げるだけでなく、鍵を渡して外出したゴン。凪との仲は否定するし、慎二が凪と会っても気にならない。

 「凪ちゃん帰ってくるまでさ、ここでゆっくりしてて」(ゴン)

 目の前にいない者への無関心が過ぎ、残酷にさえ思えてくる。

 凪との約束をすっぽかし、ロールレタスの置き手紙を見たゴンは「あっ」と反応した。でも、それだけ。食べないし、メモは置きっぱなし。手紙を見つけた慎二は矢も盾もたまらず冷蔵庫を開けた。鍋のフタを開けると、豆苗があった。凪の影響を受け、家で豆苗を育てている慎二。しなびたロールレタスを見て、凪の愛がないがしろにされていることを察した。外で雷鳴が鳴り響いている。慎二の中で何かが弾けた。

重要人物相関図 イラスト/まつもとりえこ
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