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「ホントに時が止まっている……」 大都会大阪の昭和すぎる秘境線「南海汐見橋線」に乗ってきた【写真15枚】(2/2 ページ)

あぁ静かです……。大都市大阪にある、まるで昭和時代のまま運行しているかのような愛すべきローカル線。

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かつての栄光を感じられる駅「木津川駅」

 汐見橋駅を出発して3分、木津川駅に到着です。南海電鉄の資料によると、同駅の2018年度1日平均乗降客数は125人。ホームのひび割れたコンクリのすき間からは草が生えていました。


木津川駅ホーム。ここは本当に大阪市内? と思えてしまうくらい、どこかののどかな駅のような雰囲気。左の電車は復路の汐見橋行き

 しかし駅構内は思ったよりも広く、見渡すと何本か線路の跡を確認できます。かつて木津川駅は高野山方面から材木を運んだ貨物列車が着き、貨物ターミナルのような役割を果たした重要拠点だったそうです。そんな賑わっていた時代の栄光の残像が、草だらけの線路跡に見えた気がしました。


木津川駅構内は思ったよりも広い。そして草の生えた線路跡。かつて賑わっていただなんて信じられないほどシーンと静かである

 駅舎は丸型でなんとも可愛らしいです。ところどころサビが浮き出ていたりして、老朽化は相応に進んでいますが、これも味。なお、駅前に店舗の類いはまったくありません。

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かわいらしい木津川駅の駅舎。駅前にはホントに何もない

 一応、近くには阪神高速17号西大阪線が走っています。ちょっと遠くに高さ300メートルの名物超高層ビル「あべのハルカス」も見えます。しかし周囲はこの静けさ。周りの環境とのギャップがたまらなくいいですね。


近くに通る高速道路の現代感/都会感とのギャップがいい

ドラマや映画にも使えそうな雰囲気の駅「西天下茶屋駅」

 続いて岸里玉出駅のとなり駅「西天下茶屋(にしてんがちゃや)駅」に途中下車。“天下茶屋"とある鉄道の駅名・停留所名は意外に多いですよね。関西圏ではここ以外に南海電車/Osaka Metroの「天下茶屋駅」、阪堺電気軌道の「北天下茶屋電停」「東天下茶屋電停」があります。


「NISHI-TENGACHAYA」という英字文字が窮屈そうな西天下茶屋駅の駅名板

 西天下茶屋駅の魅力はホームの長椅子。ずっとつながっていて長い! ドラマや映画のワンシーンが撮れそうです。運行が30分間隔ということも相まって、駅構内も本当にのんびりした雰囲気です。

 西天下茶屋駅は駅舎もレトロ。三角屋根と窓の形状、街灯、そこから電線が走る様子も含めて、雰囲気たっぷりです。時代がめまぐるしく移り変わる中で、ここは時間が止まっています……。西天下茶屋駅の駅舎は今後、貴重な存在となるでしょう。


ベンチが長い! 都会ではあまり見られなくなった光景で、雰囲気ありすぎ

西天下茶屋駅の駅舎。フォトジェニックである。三角屋根と四分円の窓がたまらなくいい

人によっては懐かしい、人によっては新しいタイムスリップを!

 汐見橋線は一部時間帯を除き30分間隔で運行する路線。運賃は汐見橋~岸里玉出間で片道210円、同区間の所要時間は約9分です。大阪市内であり、30分に1本は来るとはいえ、途中下車も含めて「乗り」をするならば相応の時間的余裕を持っておくとよいでしょう。なお周辺に店舗がない駅もあるので、前もって食料や水分などを準備しておくこともお勧めします。

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西天下茶屋駅を発車した汐見橋行き汐見橋線

 大阪市内近郊ですぐ行ける、古き良き昭和のあの時代へ……! 汐見橋線で懐かしいタイムスリップの鉄旅、いかがでしょうか。

新田浩之(にったひろし)

1987年神戸市生まれ。関西大学文学部卒、神戸大学大学院国際文化学研究科修了。主に鉄道と中欧、東欧、ロシアの旅行に関する記事を執筆。2018年からチェコ政府観光局公認の「チェコ親善アンバサダー2018」を務める。


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