NASA、2019年のオゾン層破壊は劇的に抑制されたと発表 「原因は成層圏が例年より温暖であったため」
例年より小さいオゾンホール。
アメリカ航空宇宙局NASAとアメリカ海洋大気庁NOAAの研究者は、9月と10月における南極のオゾンホールが観測史上最小だったと発表しました。
宇宙から降り注ぐ紫外線は人間に皮膚がんや白内障のリスクを与え、植物にもダメージを与えるとされています。NASAゴダード宇宙飛行センターに所属するポール・ニューマン氏は、オゾン層には紫外線をカットする"日焼け止め"のような役割があると説明。今回発表されたオゾン層の状況について「南半球の人にとっては素晴らしい報告でしょう」とコメントしています。
ただし、「オゾン層が急激に回復の兆候を示したわけではない点に注意が必要である」とも。今回のオゾンホール縮小は、成層圏の温度が高いことに起因するものと考えられています。9月の高度20km地点での気温が通常より16℃ほど高く、オゾンホールの縮小に影響を与えたようです。
NASAの発表によれば、オゾンホールは9月8日に年次最大となる1640万平方kmを記録。その後は縮小し、10月には1000万平方km以下だったとされています。例年では、9月下旬から10月上旬にかけてのオゾンホールは約2000万平方km程度の大きさです。実際、NASAが公開している平均オゾンホールサイズの記録によると、2018年は2290万平方km、2017年は1740万平方km、と続いており、2019年の930万平方kmが極端に低い数値であることが分かります。
オゾンホールはその名の通り、オゾン層が破壊された様子が穴の空いた状態に見えることが呼び名の由来。オゾンホールは北極と南極で観測される現象で、北半球よりも南半球の方が大きいことが確認されています。オゾン層を破壊する有害物質の製造や消費は、1989年に発効されたモントリオール議定書により規制されてきました。こうした対策により、南極のオゾン層は2070年ごろには1980年代の水準まで回復すると予想されています。
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