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泉佐野市、ふるさと納税からの除外取り消しを求めて国を訴える 「過去にさかのぼって法的規制しているのと同じ」

制度設計が甘かったという総務省のミスを自治体に転嫁している、という主張です。

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 大阪府泉佐野市は11月1日、総務省がふるさと納税制度から同市を除外したのは違法だとして、高市早苗総務相を相手取り、除外の取り消しを求める訴訟を大阪高裁に起こしました。


泉佐野市は旧制度の5月31日まで“駆け込み”キャンペーンを実施した

 同市の除外については、第三者機関の「国地方係争処理委員会」が9月、違法の恐れがあるとして除外を再検討するよう総務省に勧告したものの、総務省が除外を継続したため、泉佐野市は提訴に踏み切りました。

 泉佐野市の千代松大耕市長は「国の省庁が中立・公平な第三者機関から違法性を指摘されておきながら、そのような状況を維持するということは、自らのメンツだけを守ろうとする身勝手な考え方であり、社会的にも教育的にも悪影響が大きく、地方自治の存続を危ぶませる」とコメントしています。

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 改正地方税法に基づく6月からのふるさと納税新制度では、返礼品は「調達額が寄付金の3割以下の地場産品」に限定し、「返礼品を含む経費の比率を寄付額の50%以下にする」などと定めました。その上で、自治体からの事前の参加申請を受けた総務省が審査し、対象自治体を指定する形になりました。

 この結果、これまで高額な返礼品で寄付を集めてきた泉佐野市など4市町について、総務省は新制度の対象から除外を決定していました。


泉佐野市など4市町が新制度から除外された(総務省のニュースリリース)

 旧制度でも総務省は返礼率などについて通知を出して自治体に守るよう促していましたが、泉佐野市は「地方自治法上、通知は「技術的助言」であり、法的拘束力はなく、従うか否かは自治体の任意だった」と主張。旧制度では返礼品について法的規制はなく、除外決定は過去にさかのぼって法的規制を適用しているのと同じであり、国は裁量権を逸脱しているとも主張しています。

 訴状で、泉佐野市は阿部泰隆 神戸大学名誉教授(行政法)のコメントを引用しています。阿部名誉教授は、

もともと制度設計の時に、良識ある行動に期待するなどと言っていないで、このような事態を想定してあらかじめきちんとした競争ルール(違反の場合の資格はく奪・復権のルールも)を定めておくべきであったのである。

そして、国と地方の関係も2000年の分権改革により法治国家となった以上は、総務省は、この事態が望ましくない、地方財政法に違反すると思うのであれば、何度も助言などしていないで、早急に立法化すべきであった。仮に最初はこうした事態を想定できなかったとしても、その兆候が現れたら、何年も技術的助言をしていないで、直ちに法制度を構築して、事後の進展を防止すべきであった。

ふるさと納税の競争激化は、これまでの法制度では許されていたのであり、総務省が、それを傍観せざるを得なかったのは、先を読まず、まっとうな法制度設計をしなかったためである。それなのに、総務省は、禁止できなかった過去の行動について、今回、事後に、これからも指定しないという理由としているのである。これは総務省の立法作業の不備を、その当時の法制度の中で許された行動をした地方公共団体に不利となるように転嫁したものである。それは一種の禁反言の法理にも触れるものである。

──と述べています。

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