ドラクエあるある「勇者が民家のタンスをあさる」 “マジでやったら何分でアイテムが見つかるのか”検証してみた
衣類の中から「○○のたね」「小さなメダル」って見つけられるんです?
勇者になって剣や魔法でモンスターを倒し、世界を股にかける冒険を繰り広げる。――― こういったRPG作品の定番といえば「ドラゴンクエスト」。同シリーズをプレイした人なら誰もが、“あの印象的なシーン”に興奮した経験があるのではないでしょうか。
そう、「民家に入って、勝手にタンスをあさる」シーンです。
モンスターによって苦しい生活を強いられている街の人々は、よく貴重なアイテムをタンスの中に隠しており、新しい街にたどり着き次第、民家に侵入、アチコチをあさっていくのが定石。勇者となったプレイヤーたちによって、いともたやすく行われるえげつない行為なのです。
ツッコミどころはいろいろありますが、今回はプレイヤーなら必ず疑問に思うであろう「本当にタンスにアイテムが隠されていたら、見つけるのにどれくらい時間がかかるのか」を調査してみました。
ドラクエでおなじみ“民家のタンスに隠されているアイテム”、見つけるのにかかる時間は?
というわけで、雰囲気を出すために勇者のコスプレをして、住宅街を散策。よーし、知らない人だらけのこの街の、知らない人の民家からレアアイテムをゲットしちゃうぞー!
……といった具合にゲーム通りに行動すると、お城の地下のガイコツが放置されている場所(比ゆ表現)に連行されかねないので、今回は事前に許可を得た一般的な独身男性(29歳)のお部屋にお邪魔して、検証を行います。
ルール
- タンス(プラスチック製・合計7段)に2つのアイテムを隠す
- 「ちからのたね」代わりのナッツ、「ちいさなメダル」代わりの500円玉
- 勇者(というか筆者)は何分で見つけられるのか
「あ、タンスだ!」と発見した勇者。まずは下から順に全ての段を開けていくと、乱雑に詰め込まれた衣類でギュウギュウ。アイテムは全く見つかりません。タンスをあさっているわけですから、これは想定の範囲内。すぐさま「タンスの中身を全て出し、衣類を1つ1つチェックする」という作戦に切り替えます。
Tシャツだろうと下着だろうと、お構いなしにホイホイ床に放り出していきます。世界を救うためなら仕方がありません。ガンガンいこうぜ。
スライムとすら戦ったことのない勇者(というか筆者)には意外と良い運動。汗ばんできたので、頭に付けた王冠のような装備を外します。防御力は下がりますが、たぶん大丈夫。ここでおおなめくじあたりに襲われたらアカンことになりそうですが、特殊なイベントが発生しない限り、街の中にモンスターが入ってこないのはRPGのお約束。
5分経過したころには、タンスの中身を全て確認するサイクルが終了。ゲームだったら「ちからのたねをみつけた!」「からっぽだ」という風に、アイテムの有無が一瞬でテキスト表示されるのですが……僕、勇者なんでお伺いしたいんですけど、お宅のタンスには本当にアイテムが隠してあるんですよねえ!?
仕方がないので、タンスチェックをもう1周。あまり荒らすとどの衣類を調べたか分からなくなってしまうので、勇者的にもメリットがありません。「全ての衣類をたたんで、整理しながらアイテムを探す」作戦に切り替えます。
1枚1枚たたんでいくと、気分は勇者というよりお母さん。ああ、もう男の一人暮らしだからって、片付けがいい加減なんだから。パンツはパンツ、タオルはタオルってちゃんとしまう段を決めておきなさいよ。その方があとで探しやすいんだから……。
あれっ、ズボンのポケットに何か入ってるじゃない! もしかして、アイテムかしら!?
100円ライターでした。普通に出し忘れてるだけじゃないですか! 洗濯する前に、子どもが脱いだ服のポケットを1つ1つ確認するお母さんの気持ちが少し分かりました。ポケットティッシュ入れたまま洗っちゃうと大変ですからね。
1段開けては衣類を取り出し、たたんでいく。取り出しては、たたんでいく。もともと乱雑に詰め込まれていましたこともあり、タンスの中身は勇者が来たときよりもキレイになっていきました。
そして、開始から13分。肌着からコロン……と落ちたものに目をやると「ちからのたね」。やったー!
整理整頓されていく衣類、おかげでスムーズに引き出せるようになったタンス、そして、貴重なアイテムのゲット。この達成感を前にして、「モンスターを倒してレベル上げしたほうが、効率的にステータスが上がるのでは?」という疑念など湧きません。
考えてみてください。悪の魔王を倒すことだけが、人類の生活を守る術ではないのです。家事に小さな手間を惜しまず、ていねいに暮らすこと。日々の暮らしが少しでも快適に、心豊かに送れるように努めること。われわれが生きる世界には、そういった生命の営みもまた欠かせないものなのです。
全ての衣類をたたみおえたころには、20分が経過。大切なことを学んだ筆者は足取り軽く、民家を後にしました。
結局「ちいさなメダル」が見つからなかったこと、企画に協力した男性から「変な格好の人が突然家に上がり込んできて、20分間もタンスをあさっていくなんて不快に決まってるでしょ。最終的にたためばいいという問題じゃありません」と言われたことは、また別の物語(アナザーストーリー)……。
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