高畑充希「同期のサクラ」第2章の幕が開いた6話 仲間を救って来たサクラが仲間に救われる展開へ!(1/2 ページ)
心の通じ合ったすみれ先輩に思わず「お母さん!」と言ってしまうサクラ。
11月13日に放送された「同期のサクラ」(日本テレビ系)第6話は、間違いなくこのドラマの転換回。第2章の幕開けであった。
「自分の生き方を貫き通しなさい」
2019年、北野サクラ(高畑充希)の病室に訪れた火野すみれ(相武紗季)は、中学生になった娘・つくし(粟野咲莉)の写真を手に、眠るサクラに感謝の気持ちを伝えていた。「あのとき助けてもらわなかったら、娘と一緒にいることができなかったかもしれない」。
2014年10月、サクラは花村建設の子会社に飛ばされたまま社会人6年目を迎えていた。一方、シングルマザーとして子育てをしながら人事課で働くすみれは、有名評論家・椿美栄子(筒井真理子)を招いての女性研修セミナーの仕切りを黒川森雄(椎名桔平)から丸投げされた。
事前に椿は「講演後の質問は受け付けない」と、理不尽なことを会社に要求していた。サクラはその要望に正論で異を唱え、椿のマネージャー・米田(宍戸美和公)を怒らせてしまう。サクラは社長(西岡徳馬)の指示でこのプロジェクトから外されることとなった。
講演会が近づくにつれ、すみれは米田からの講演とは直接関係ない細かい要望に追われて頭を抱える。さらに、つくしが同級生を殴ったと学校からも呼び出されてしまった。「私はやりたいようにやりたいだけ」と言うつくしに、「人はいつまでも自分の好きなように生きられない」と諭すすみれ。仕方なくつくしを連れて仕事に戻ったすみれだが、米田と椿の前でペコペコする母の姿を見たつくしは「お母さんの仕事って謝ることなの? すっごいカッコ悪いんですけど」と発言。思わず、すみれはつくしの頬を叩き、つくしは「お父さんのところに行く」と出ていった。
セミナー当日、椿は講演をたった数分で終わらせ、いきなり自分の新刊の宣伝をし始める。「本の宣伝のためにこのセミナーにいらしたんですか!?」と椿に食って掛かるすみれ。その姿を見ていたつくしは「カッコよかったよ」とすみれに抱きついた。すみれはつくしに「これからも、あんたの好きなように生きなさい」と言った。
後日、勤務中のサクラと遭遇したすみれは「自分の生き方を貫き通しなさい」と伝えた。
6話は第2章の幕開け
今回は、このドラマの第2章の幕開けだったように思う。
オープニングから異変はそこかしこに表れていた。サクラの朝食のごはんは大盛りではなく普通盛りだった。理にかなわないことがあると即座に意見していたのに、子会社へ出向した今は言いたいことを我慢するようになったサクラ。注文するのは連日、コロッケ定食だ。サクラのSOSのサイン「じいちゃんのコロッケが食べてえ」と思う日が続いているということ。今まで正論を言う側だったサクラが、「うるさくて子どもが眠れない」と初めて隣人からクレームを付けられた。何より、この回のサクラは「私には夢があります」と言わなかった。第6話は、サクラの信念が揺らぎ始めた回である。
サクラが立て看板を持とうとした瞬間、出勤途中のすみれが通りがかった。
「あなたは私みたいになっては絶対にダメ。あなたは10年後も、その先も、ずっとそのままでいなさい。私はもうあなたみたいに生きられないから、あなたのことを応援する。これからも仕事でつらいことがたくさんある。女だから、結婚して出産するかもしれない。私みたいに仕事と家族の間で悩むこともあるかもしれない。そんなときは私を頼りなさい。どんなことでも相談に乗るから。その代わり、何があってもくじけないで。自分の生き方を貫き通しなさい」
サクラはもう、十分辛い目にあっている。ブレなかった彼女は、現実を目の当たりにして弱っていった。そんなサクラに「これからもつらいことはたくさんある」と告げ、さらに「私を頼りなさい」とすみれは言った。そんな上司にサクラは思わず「お母さん」と言ってしまう。撮った写真をサクラが見せようとしても、いつも「いいから」と断っていたすみれが今日は見てくれた。2人の心はようやく通い合った。
見ている我々もすみれと同じ心境。社会人の大半はサクラのような生き方を送れない。だからこそ、せめて応援をして支えてあげたい。講演会でサクラが声を発する直前、すみれは椿に物申した。あそこですみれが立ち上がらず、サクラが口出しをしていたら、サクラは間違いなくクビになっていたと思う。
前回まで、このドラマには勧善懲悪の空気があった。サクラが手を差し伸べ、そして同期が救われる。代償を払うのはサクラだ。今回、サクラは自分らしさを失っていた。そんな彼女をすみれは「変わってはダメ」と励ました。第2章は、サクラに救われた者たちがサクラに力を与えるフェイズに入る気がする。6話は転換の回だった。
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