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ダメなわけないだろ……! とあるインドカレー屋の「ほっこり」書き置きに「癒やされる」の声 背景には知られざる店主の苦労が

実際にお店を訪れてみました。

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 とあるインドカレー屋に貼られた「店主の書き置き」がほっこりすると注目を集めています。書き置きの内容は「1月15日から2月14日まで電話予約ができません。いいですか?」(要約)というものなのですが、その理由や、つたない日本語で一生懸命書かれたメッセージに「癒やされる」「何だか心がほっこりした」といった声が次々と寄せられています。

 実はこのツイート、筆者(@kimjonteran)がたまたま投稿したものだったのですが、せっかくバズったので、お店を再訪しつつ「書き置き」の背景などを調べてみました。

 書き置きはA4の紙にマジックで書かれており、文面は「お客様へ いつもありがとうございます。スミマセーン ごめんなさい」というあいさつから始まり、「私は1ケ月、くにに帰ります。(インド)」「弟は日本語あまり上手じゃないです。だから電話予約できません」といったもの。最後は「イイデスカ? 大丈夫ですか? OKですか? ナマステ」と結ばれています。そんな聞き方されたらOKに決まってるだろ!

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 手書きの文字や文章からは、店主の一生懸命さがにじみ出ているようで、筆者も思わず「OKだろ」とツイート。リプライでも「大丈夫だよ」「ダメって言う人いる?」など、肯定的な意見が多く寄せられました。

 このお店は島根県浜田市にある「ナマステカレー」。実は店主のシンさんは、過去(2018年)にも同じように「貼り紙」で話題になったことがありました。

 そのときの貼り紙は、要約すると「昨年から休まず営業していましたが、休むタイミングが分からなくなってしまいました。でも休みたいので、3月からは火曜日を定休日にしたいと思います。大丈夫ですか?」といった内容。味のある文字や文体はそのままで、投稿者が「なんかもうプラス要素しかない・・・」とTwitterに投稿したところ、11万回以上リツイートされ大きな話題になりました。店主が天然の愛されキャラすぎる……。

このときの貼り紙は額に入れて飾られていました

 店主と親交が深いという地元の常連客に聞いたところ、シンさんはインド北部出身で、年齢は30代後半。10年ほど前に来日し、地方のインド料理店で修行をつんだのち、2017年12月に浜田市内のパブの軒先を借りて念願の独立開業に至ったといいます。

 しかし、開業から3カ月間、たった1人で1日も休まずカレーを作り続けたところ、さすがにヘトヘトになってしまい、それで上記の「火曜日を定休日にしたい」というお知らせを張り出したそうです。貼り紙が話題になった後は「働き方改革を訴えるインドカレー屋」と地元メディアでも記事になり、一時は行列ができるほどの人気店に。図らずもお店が活況となったことで、シンさんは故郷から弟を呼び寄せ、より駅に近い、現在の店舗を移転オープンしたとのこと。

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現在のお店

 常連客によると、シンさんは妻子を故郷に残しての単身赴任中。店が軌道に乗ったことでようやく一時帰国の夢がかないましたが、その間に常連客が離れてしまっては元も子もありません。それでいつもは調理補助を担当している弟に留守を任せる決断をし、冒頭の「置き手紙」を書いた――というわけです。

 果たして弟さん1人でお店は大丈夫なのか? 実際にお店を訪れてみると、弟さんはAI通訳機「ポケトーク」を使うことで、ちょっとした会話にも何とか対応できていました。

 筆者が「もうかっているの?」と聞くと、「ア・リトル(ちょっと)」と弟さん。ポケトークを通じ、置き手紙が話題になっていたことを伝えると「知らなかった」と答えてくれました。基本、注文は客がオーダー用紙に書くシステムで、兄のシンさんがいなくても切り盛りはできている様子でした。

 イートインのテーブルにふと目をやると、年季の入った「旅の指さし会話帳 ヒンディー語」が置かれており、表紙にはサインペンで「どうぞ つかって!!」とのメッセージが。どうやらツイートを見た誰かが弟さんのために持ってきたもののようです。貼り紙だけでなく、見た人を思わずほっこりさせる日本とインドの交流がここにもあったのでした。

誰かが持ってきたと思われる「旅の指さし会話帳 ヒンディー語」
持ち帰りのカレーもおいしかったです

(文と写真:金初太郎

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