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【全22問】「1日60分までの根拠は」「なぜ議事録がないのか」―― 香川県「ネット・ゲーム依存症対策条例(仮称)」、議会事務局との一問一答

「ネット・ゲーム依存症」の定義や、根拠としている研究はあるか、県外の事業者も条例の対象になるのかなどについても聞きました。

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 18歳未満のゲーム利用を制限する内容などで話題となっている、香川県の「ネット・ゲーム依存症対策条例(仮称)」。編集部では修正素案が公開された1月20日以降、香川県議会事務局に対し条例についての疑問点や、検討されるに至った背景など、22項目にわたる質問を送っていましたが、このたび回答が得られたため以下、質問と回答をQ&A形式で掲載します(回答は香川県議会事務局によるもの)。

※香川県のサイトでは本日(2月6日)まで同条例案についてのパブリックコメントを募集しています

特に物議を醸している、第18条「子どものスマートフォン使用等の制限」(条例素案より)

これまでの「ネット・ゲーム依存症対策条例(仮称)」関連記事

素案作成までの経緯について

Q:今回の条例について「議員提案により」とありましたが、提案した(主導した)議員は誰でしょうか。

A:条例案を検討する条例検討委員会には、本県議会の全ての会派から委員が参加しています。

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Q:これまでに何回くらい検討会を行ってきましたか。検討会はどのように行われ、誰が参加していましたか。

A:条例検討委員会は、これまで6回開催されました。委員会においては、ネット・ゲーム依存の現状と対策、医療専門家との意見交換、条例骨子案の検討などが行われ、委員のほか、依存症対策の専門家の精神科医や学校関係者や、県執行部職員などが参加しました。

Q:素案の作成にあたり、専門家に意見を聞いたりはしましたか。聞いたとしたら誰でしょうか。

A:第4回委員会までの議論を踏まえて検討されたものです。

Q:検討会について、非公開(傍聴不可)としたのはなぜですか。また議事録を作成しなかったのはなぜですか。今後検討会を一般公開したり、議事録を作成したりする予定はありますか。

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A:条例検討委員会は、第6回委員会を除いては報道に公開する形で開催しました。また、議事録については、作成することが規定されているものではありません。

素案の内容について

Q:「ネット・ゲーム依存症」という言葉を使っていますが、これは香川県の独自基準でしょうか。ICD-11(国際疾病分類 第11版)やDSM5(精神疾患診断・統計マニュアル第5版)などに基づいたものですか。

A:ICD-11などに基づくものではなく、香川県ネット・ゲーム依存症対策条例(仮称)素案の第2条により、ネット・ゲーム依存症を、ネット・ゲームにのめり込むことにより、日常生活又は社会生活に支障が乗じている状態と定義したものです。

Q:「コンピュータゲーム」の定義は。例えば将棋や囲碁のゲーム、学習アプリなどもここに含まれるのでしょうか。条例が成立した場合「コンピュータゲーム」については誰がどのように定義し、判断するのでしょうか。

A:コンピュータを使ったゲーム全般を指していると考えます。

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Q:第18条「子どものスマートフォン使用等の制限」について、60分、90分、午後9時、午後10時といった数字に具体的根拠はありますか。

A:使用時間は、平成30年度香川県学習状況調査において、スマートフォンなどの使用時間が1時間を超えると平均正答率が低下している点や、国立病院機構久里浜医療センターが昨年(2019年)11月に公表した全国調査結果などを参考とされたものです。

 使用をやめる時間は、子どもが睡眠時間を確保し、規則正しい生活習慣を身に付けられるよう県において、小・中学生を対象に夜9時までには使用を止めることなどを基本とする自主ルールづくりに取り組んでおり、この点を参考にされています。

Q:罰則はないとしていますが、現実的にはどのように運用するのでしょうか。例えば保護者や事業者がこれに従わなかった場合、摘発されたり、注意や指導を受けたりする場合もあるのでしょうか。

A:パブリックコメント実施中であり、さまざまな意見を踏まえ検討されると考えます。

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Q:罰則がないとしても、「不法行為」であることを理由に、個人や企業などが罰せられる可能性はありませんか(例えば公務員の場合、規定で「法令順守」が義務付けられており、罰則はなくとも規定違反になる可能性が指摘されています)。

A:パブリックコメント実施中であり、さまざまな意見を踏まえ検討されると考えます。

Q:これは文面の確認ですが、第18条2項に「子どものネット・ゲーム依存症につながるようなコンピュータゲーム」という記載がありますが、これは「依存症につながらないものについてはその限りではない」という意味ですか。それとも「コンピュータゲームはネット・ゲーム依存症につながるものである」という意味でしょうか。

A:前者であると考えています。

Q:第11条「事業者の役割」について、他県のゲーム会社、インターネット事業者なども適用範囲内となるのでしょうか。

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A:他県の事業者についても、インターネットを利用して 情報を閲覧に供する事業又はコンピュータゲームのソフトウェアの開発、製造、提供などの事業を行う者は、該当すると考えています。

Q:事業者の対策・協力義務について、具体的にはどのような対策を想定していますか。香川県からのアクセス遮断なども含まれますか。

A:事業者に自主的な取り組みを呼びかけるものと考えています。

Q:香川県も公式サイトなどを運営していますが、条例が成立した場合どのような対策を行いますか。

A:県は、条例の基本理念にのっとり、ネット・ゲーム依存症対策を総合的に推進する責務を有します。また、県がインターネットを利用して情報を閲覧に供する際には、県民のネット・ゲーム依存症の予防などに配慮する必要があると考えます。

Q:序文に「インターネットやコンピュータゲームの過剰な利用は、子どもの学力や体力の低下のみならずひきこもりや睡眠障害、視力障害などの身体的な問題まで引き起こすことなどが指摘されており」「大人よりも理性をつかさどる脳の働きが弱い子どもが依存状態になると、大人の薬物依存と同様に抜け出すことが困難になる」などの記載がありますが、根拠としている研究結果などはありますか。

A:専門家などの意見を踏まえたものです。

Q:11条に「著しく性的感情を刺激し、甚だしく粗暴性を助長し、又は射幸性が高いオンラインゲームの課金システム等により依存症を進行させる等」とありますが、これらの要素が依存症を進行させるという具体的根拠はありますか。

A:こうした要素でネット・ゲームにのめり込むことにより、日常生活又は社会生活に支障が生じることがあると考えています。

Q:20条(実態調査)について、具体的にどのような調査を行う予定でしょうか。ゲーム時間との相関関係だけでなく、因果関係についての調査を行う予定はありますか。「ゲームプレイ時間」以外にも「ゲーム内容(システム、表現、コミュニティーなど)」を含めた依存との関係について調査する予定はありますか。

A:具体的な調査の内容については、条例の成立後に県などにより検討が開始されるものと認識しています。

その他、パブリックコメント募集についてなど

Q:当初の素案から「スマートフォンの利用」を除外したのはなぜですか。

A:「スマートフォンの利用自体が60分まで」と報道され、素案の本旨が伝わらなかったため、1日当たりの利用時間については、「子どものネット・ゲーム依存症につながるようなコンピュータゲームの利用」と分かりやすい形に修正したものです。

Q:四国新聞の記事では「依存症につながるようなオンラインゲームなどの過度な利用から子どもを守るのが趣旨」と説明されていましたが、オンラインゲームだけでなく「(オフラインゲームも含む)コンピュータゲーム」全般を対象としたのはなぜですか。

A:WHOで認定されたゲーム障害にオフラインゲームも含まれているからです。

Q:パブリックコメント募集に際し「香川県内に住所を有する方」という条件を設けたのはなぜですか。また、現在実施中の他のパブコメに比べて今回だけ募集期間が短いのはなぜですか。

A:本県では、パブリックコメントは、従来、香川県民を対象に実施しています。募集期間につきましては、いただいたご意見の整理に要する時間と2月定例会日程を考慮した結果、15日間と定めたものです。

Q:パブコメ含め、これまでに何件くらいの意見や問い合わせがありましたか。賛成、反対の割合はどれくらいでしたか。

A:パブリックコメントでいただいた意見などの概要とこれに対する県議会の考え方については、2月下旬ごろに発表します。

Q:香川県で行われるeスポーツイベントや、「Global Game Jam」などの教育イベントへの影響は想定していますか。

A:時間制限については、家庭でのルールづくりの基準としていただくものであって、家庭で決めたルールを保護者が子どもに順守させるよう努めなければならない旨が規定されているものです。

Q:「ヤドン県」などゲームとコラボした観光施策については今後どのようにされる予定でしょうか。

A:本条例素案は、インターネットやゲームそのものを否定するものではなく、本県の子どもたちをはじめ、県民をネット・ゲーム依存症から守るための対策を総合的に推進するためのものです。

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