レビュー

劇場版コナン「瞳の中の暗殺者」ファン投票1位で今夜金ロー放送! ファンが語る“褪せない魅力”とは?(1/2 ページ)

ファンが早口で魅力を語ります。

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 2月7日、劇場版アニメ「名探偵コナン 瞳の中の暗殺者」が「金曜ロードSHOW!」(日本テレビ系)で放送されます。視聴者の投票で放送作品が決まるという投票企画で、51万票以上が投じられた中で1位に選ばれたのがこの「瞳の中の暗殺者」です。

 「瞳の中の暗殺者」はシリーズ第4作、2000年公開の作品です。公開から20年たってもファンの心をつかむ魅力はどこにあるのか。「名探偵コナン」シリーズの大ファンのミステリマニア・赤いシャムネコさんに魅力を語ってもらいました。前半はネタバレなし、後半はややネタバレあり(※犯人の名前は書きません)でお届けします。

「初めてコナン映画を見るならどれ?」の答えが「瞳の中の暗殺者」

 「瞳の中の暗殺者」が投票で1位を取り、金ローで放送される――そのニュースを見たとき、僕の心に浮かんだのは「コナンファン、よくやってくれたな」という思いでした。

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 今回の投票は、直近3年間に金ローで放送された作品を除く15作品が対象。この企画を聞いたとき、2020年のコナン映画は「緋色の弾丸」……赤井秀一をメインにした作品ですので、同じく赤井をメインにした仕掛けのある映画「異次元の狙撃手(スナイパー)」一択になるだろうな、と予想をしました。

 ところが1位になったのは「瞳の中の暗殺者」。実はこの作品、コナンファン同士で劇場版コナンの話をしているとき、必ず挙がるタイトルなのです。作品の“実力”を反映した投票結果で、昔からのファンの情熱を感じて喜ばしかったです。


総得票数51万票の中から1位に選ばれた「瞳の中の暗殺者」金曜ロードSHOW!公式Twitterより

 僕はコナンファンを公言しているので、よく「コナン映画はどこから見ればいいですか?」と聞かれます。そのときに答えるようにしている作品が2つ。「天国へのカウントダウン」か、この「瞳の中の暗殺者」なんです。

 最近の劇場作品は、安室透をフィーチャーした「ゼロの執行人」や、京極誠を初めてメインに据えた「紺青の拳(フィスト)」など、ゲストキャラを立てるように作られていることが多く、人間関係の前提条件が多少必要だったりします。しかし初期作品であるこの2作は、誰もが「コナンの登場人物」として思い浮かべるメインキャラクターしか登場しません。コナンをほとんど見ていなかったり、最近の話を追いかけていなかったりしても楽しめる作品です。

「瞳の中の暗殺者」のミステリ的な魅力

 「瞳の中の暗殺者」は、コナンの全23作の映画史上、トップ3に入るほどミステリとしての出来がいい。雰囲気まで含めて、本格推理度ナンバーワンといっても過言ではありません。

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 扱われるのは“連続刑事射殺事件”。物語は、1人の刑事が電話ボックス内で何者かに射殺されるのを少年探偵団たちが目撃するところから始まります。次々に殺されていく警視庁の人間。目暮警部や白鳥刑事といったおなじみの警察の面々も、いつもとは違う深刻な雰囲気で、コナンや小五郎に事件の詳細を明らかにはしてくれません。

 殺された刑事たちは皆、何かのメッセージのごとく、警察手帳を握って死んでいた。もしかして犯人は警察の内部にいるのか? この事件の裏には警視庁の隠された闇があるのか? 謎と疑いが深まる中、ついに犯人の魔の手は佐藤刑事に及びます。暗闇の中、佐藤刑事が狙撃され意識不明の重体になり、しかもその銃撃事件を目撃した蘭が全ての記憶を失ってしまう事態に……。

 唯一の目撃者となった蘭は、犯人から命を狙われる立場に。蘭を守りつつ、コナンは連続刑事殺害事件の犯人を見つけ出させるのか――?

 ……もう、「ザ・ミステリ」って感じですよね! コナン映画の中でも、全体のトーンがかなり重く暗いです。身近な人物が容赦なく狙われるというストーリーの緊迫感はもちろんですが、事件の背景にある過去の物語がまたつらく、容疑者が抱えているドラマが重い。雨や夜のシーンが多いので視覚的にも暗く、音楽も重厚感があり、シリアスさが目立つ映画になっています。

 それだけだと「見ていて疲れるんじゃないかな」と思うところですが、そこはさすがコナン。事件の背景を段階的に明かしていく手際がうまく、次から次へと構図が変わっていくので、つい見入ってしまうこと間違いなしです。ふんだんにアクションや犯人との対決といった派手なシーンが盛り込まれている上に、コナンと蘭のラブロマンスの要素も純度の高い形で入っていて、見ていて疲れることはありません。

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 ファンの中での評価は今回1位を取ったことでもわかるように、メチャクチャ高いです。高いというよりも、「これがコナン映画の“スタンダード”だよね」という感覚でしょうか。殺人事件や爆破があって、アクションがあって、推理があって、犯人との対決があって、そしてコナンと蘭の物語が中心を貫いている。

 自分にとっては、「瞳の中の暗殺者」が“ザ・王道コナン映画”であり、他の作品はこの形からどう外しているかという視点で見ています。初期コナンほど「身近な仲間を狙う犯人とコナンの直接対決」を守っているのですが、その観点で構図が近いのが「14番目の標的(ターゲット)」や「迷宮の十字路(クロスロード)」で、どちらもファンからの熱い支持を受けています。一方、「天国へのカウントダウン」「銀翼の奇術師(マジシャン)」といった作品では、犯人との対決とパニック映画要素が分離し始めるのですが、それは本作があるからこその流れだと思います。

2ページ目からはネタバレありで魅力を詳しく話していきます(※犯人の名前などは明かしません)。

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