コラム

「ザ・昔の駅」「この佇まいが本当にいい」 日本最古の現存駅舎・旧長浜駅舎で「あの時代の活気」を感じた【写真32枚】(1/3 ページ)

もうすぐ138歳!! 鉄道誕生初期の時代にほんわかタイムスリップ。

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 もうすぐ138歳。日本に残る最も古い駅舎が滋賀県長浜市にあります。それが「旧長浜駅舎」です。


日本に現存する最古の駅舎「旧長浜駅舎」。日本の鉄道文化を伝える施設「長浜鉄道スクエア」で公開されている

 旧長浜駅舎は1882年(明治15年)3月10日に開業しました。今回は明治、大正、昭和、激動の時代に活躍して138歳(2020年)を迎えるこの駅舎で、あの時代の鉄道の雰囲気をじんわりと味わってきました。

明治時代にタイムスリップ 昔の駅ってどんな感じだったの?

 中に入って目に入ってくるのが「出札口」。つまり、きっぷの販売窓口です。

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出札口。当時の乗客の方が立っていました

 出札口の前に当時の乗客の様子を再現した人(人形)がいます。かなり大きな荷物のおじさんと男の子の親子。よーく見ると、窓口に駅員さんもいます。なかなかリアルなので、見学者の中には「わっ、びっくりした!」と声を上げる人もいました。出札口の隣には二階に続く階段がありますが、残念ながらこの先は立入禁止です。

 出札口前には当時の暖房器具であった火鉢も置かれていました。火鉢の「工」は当時の鉄道省のマーク。鉄道省の前身である「工部省鉄道局」にちなんでいます。


「工」マーク入りの鉄道省制式火鉢

 出札口の奥が改札口です。昔の人は、きっぷを買ってこの扉をくぐり、鉄道の旅に出たのですね。

 2020年現在、改札口の先は線路ではなく「長浜鉄道文化館」と「北陸線電化記念館」があります。そちらには後で行くとして、先に駅舎内を見て回っておきましょう。出札口の手前に「1・2等待合室」があります。


「改札口」の札がかかるアーチ型の窓がおしゃれ

出札口の手前に待合室がある

汽車が来るのを待っている、かなりいい身なりの先客がいた

 1・2等待合室で待っていた家族は、先ほど出札口にいた親子に比べると着ているものが上等です。お父さんは洋装に革靴姿のハイカラな姿。室内もビロード張りのソファや暖炉があります。ここなら冬も温かく列車を待てそうです。

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 1・2等待合室の奥には「休憩室」がありました。これから列車に積み込まれるであろう荷物が置かれています。当時の様子が伺えて面白いですね。


しっかりしたトランクもあれば、柳行李みたいな荷物もあった

 「駅長室」には初代駅長の高橋善一さんがいました。こんにちは。説明には、高橋駅長は長浜駅の駅長を務めたあと、「東京駅」の初代駅長を務めたとあります。

 ……ん? 初代東京駅長? 東京駅の開業は1914年12月20日。つまり、長浜駅は東京駅よりも古いんですよね。ふと疑問に思ってその場で確認してしまったほどでした。

 説明板によると、開業当時、高橋駅長は7つもの駅の駅長を兼ねていて、さらに列車に乗り込んで車内できっぷを販売していました。当時の貨幣は天保年間(1831年~1845年)に作られた楕円形の天保銭(てんぽうせん)、幕末の1863年に作られた文久銭(ぶんきゅうせん)、明治になって作られた一厘銭などが混在していて、運賃の集計が大変だったそうです。


凛々しいお姿の初代駅長高橋善一さん。仕事は激務だったようです
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