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東海道新幹線がパワーアップ 「のぞみ12本ダイヤ」「全列車285km/h化」……って何がすごいの?月刊乗り鉄話題(2020年3月版)(1/2 ページ)

シンカンセンスゴイ。東海道新幹線がなぜこんな過密ダイヤを達成できるのかを解説します。【追記】2020年8月7日、「のぞみ12本ダイヤ」初設定。

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 2020年3月14日、JR東海は東海道新幹線のダイヤ改正で、「全列車をN700Aに統一」した「のぞみ12本ダイヤ」を開始しました。のぞみ12本ダイヤとは「1時間あたり、のぞみ号を12本設定できるダイヤ」です。前日までは「のぞみ10本ダイヤ」でした。


「のぞみ12本ダイヤ」と「全列車最高速度285km/h」の開始を記念して、東京駅で出発式を開催。記念式典であいさつするJR東海の金子慎社長

 ただし、いつも12本とは限りません。臨時列車を含めて12本です。のぞみのうち、毎日走る列車は1時間あたり4本だけです。しかし、このほかに臨時列車の運行時刻をあらかじめ設定し、曜日や時間帯など、乗客の動向に合わせて走らせています。観光客が多い日は週末に、単身赴任の方が多そうな月曜朝や金曜夜に、という感じです。

 年末年始やお盆休み、学校の長期休みの時期は全ての臨時列車がフル稼働します。その上限が1時間あたり片道2本増えました。上下で4本増えますね。6時台から21時台まで、片道32本、往復64本の増加が可能。計算すると、N700系電車1編成の座席数1323人×64本だから、1日あたり8万4672人も増えます。実際の繁忙期は立ち客もいるのでもっと増えます。

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駅長の合図で1番列車が出発。東海道新幹線の新時代が始まる(写真:JR東海)

 このほかの東海道新幹線の2020年春ダイヤ改正項目は以下の通りです。

  • 東京~新大阪間の所要時間を最大7分短縮し、全ての「のぞみ」を2時間30分以内で運転
  • 山陽新幹線に直通する臨時「のぞみ」を1時間あたり1~2本増発
  • 東京発下り6時台・21時台の新大阪行き臨時「のぞみ」を増発
  • 三島発東京行きの「こだま」を朝ラッシュ時に1本増発
  • 「こだま」の指定席号車・自由席号車を変更。7号車を指定席、16号車を自由席に
  • 朝夕時間帯に運転している普通車全車自由席の「こだま」に、指定席を1両新設

 なお、JR東海は3月13日に「春休み期間の3月19日~31日において計画した大幅な増発を一部取りやめる」と発表しました。新型コロナウイルス感染症関連の乗客減を見込んでいます。のぞみ12本ダイヤの本領発揮はしばらく先になりそうです。

 一部では「のぞみ12本ダイヤ延期」と報じられていますが、「のぞみ12本ダイヤとするダイヤ改正」は予定通り実施されています。実際の「1時間あたりのぞみ12本運行」が延期となったということです。

【追記 2020年8月7日】8月7日、初の「のぞみ12本ダイヤ」が設定。

開業時は「1時間あたり片道2本」だった 「のぞみ12本ダイヤ」までの歴史

 1964年に東海道新幹線が開業したときは、1時間あたり「ひかり」「こだま」が片道1本ずつでした。翌年には倍増、翌々年には3倍になります。1972年に片道4本ずつ、1975年に5本ずつ。1985年に「ひかり」片道6本、「こだま」片道4本へ、バランスが調整されました。ここまでが国鉄時代です。JR東海はこのダイヤを引き継ぎました。1989年と1992年に「ひかり」を1本ずつ増発し、1993年に「ひかり」のうち1本が「のぞみ」になりました。

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 その後も順調に「のぞみ」の増発を続けて、2012年に1部の時間帯で「のぞみ10本ダイヤ」となり、2014年にはほとんどの時間帯で「のぞみ10本ダイヤ」となります。東京発基準で1時間あたり、のぞみ10本、ひかり2本、こだま2本です。平日18時台、19時台と土日の17時台はこだま3本になります。

 今回2020年3月14日のダイヤ改正では、のぞみ12本、ひかり2本、こだま2本となります。のぞみが2本増えて、ひかり、こだまの本数は変わりません。

 なお東京駅を発車する列車は、このほかに「大井車両基地などへの回送列車」も1時間あたり最大4本が設定されています。平日18時台、19時台と土日の17時台はこだまが1本増えるので、回送が3本になります。つまり、東京駅では「1時間あたり最大20本」が発車します。単純に計算すると3分間隔。これは山手線の朝のラッシュアワーとほぼ同じです。長距離列車、しかも最高時速285キロの列車が通勤電車並みの3分間隔とは、すごいと思いませんか。


東海道新幹線「のぞみ12本ダイヤ」が開始(画像:JR東海Webサイト)
【訂正 2020年3月17日15時】初出時、こだまの本数に一部誤記がありました。修正いたします
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