インタビュー

好物を聞くとイメージが変わるマリー・アントワネット 彼女が愛した素朴な郷土料理「クグロフ」とは(3/3 ページ)

パンがなければケーキを食べれば……なんて言ってないらしい。

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“貴族の宴”をやりたくて歴史料理の再現を始めた

――ところで遠藤さんは、歴史料理を再現するプロジェクト「音食紀行」をどうして始めたんですか?

 10年くらい前ですが、ひょんなことから世界の料理を作るようになりました。あるとき、インド旅行に行く予定だったのが中止になってしまって、急に2週間くらい暇になってしまったんです。そのとき、スペイン人が作る簡単パエリアという記事を見つけて、気になって作ってみたんです。そしたら、すごくおいしくて。それから、毎週、各国の料理を作るようになりました。

 1年間続けて50カ国近くの料理を作りましたが、2年目で方向性を変えたくなりました。私は大学では音楽学が専攻で、中世・ルネサンス時代の音楽を勉強していました。ですので、その時代の料理を作れば、“貴族の宴”ができると思ったんです。貴族が食事をしながら、傍らで楽士(演奏家)が演奏をするという宴ですね。これが、音食紀行の始まりです

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――すてきな企画ですね。中世・ルネサンス時代から始まった再現が、古代メソポタミアまで広がってしまったキッカケは?

 当初は、友人や友人の知人を呼んでの食事会程度でしたが、次第にイベント化していきました。回数を積み重ねたところで、「どんな時代の料理を食べたいですか?」とアンケートを採ってみました。そしたら「古代メソポタミア料理を食べたいです」のような回答がありまして。希望に添って文献を調べて、料理を作ってとやっていたら、いつの間にか手広くなってしまいました。過去には、室町時代の料理や、江戸時代の七夕に食べた料理など、いろいろテーマを決めて作っています。イベントは、もう7年くらいやっています。

――遠藤さんの歴史料理はガチガチに再現するというよりは、手軽に家庭で調理できるレシピになっていますよね

 私は「世界の歴史料理をおいしく作る」をテーマにしています。レシピが見つかった料理は、まずレシピの通り作ってみますが、細かくは書いていないことが多々あります。例えば「肉にミントと塩をすり込み、鍋に投げ入れる」というふうに書いてあります。何分煮るとか、何分漬け込むとか書いてないんです。書いていないところは「30分くらい漬け込めばいいかな」とか想像力でおぎないながら、おいしく作ろうとしています。プロの料理人でも歴史学者でもない私にとっての理想は「現代人が食べておいしい再現料理」なんです。


 この記事で紹介した料理のレシピは遠藤さんの著書に掲載されています。「クグロフ」は『英雄たちの食卓』に、「牛とキャベツのトマト煮込み」は『歴メシ! 世界の歴史料理をおいしく食べる』に、「イチゴのシャーベット」は『宮廷楽長サリエーリのお菓子な食卓』で読むことができます。

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高橋ホイコ

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