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町工場のおやじがレーザーで金属板に刻んだ「NEVER GIVE UP」 技術力とメッセージが感動を呼ぶ

投稿主は金属加工を手がける会社の代表取締役。制作の経緯を聞きました。

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 「今、困難を乗り切ろうと頑張っている全ての人へ」――ある町工場がTwitterにて、金属加工技術を用いたメッセージ動画を発信しました。工業用レーザーが金属板(ステンレス)を掘って世界の復興を願うイメージを描き、「NEVER GIVE UP」と刻んで勇気づけます。

レーザーマーキングで刻まれた願い

 話題を呼んでいる動画は、金属加工を手掛ける協立工業社および星野金型社の代表取締役・森下一(@kyoritsu_1962)さんが投稿した作品。レーザーがパチパチと光り、地球がウイルスに侵されるイメージを描き出すところから始まります。

閃光が走るたびに、戯画化されたウイルスが出現
地球のピンチが描かれる

 しかしこの陰鬱な様子は、さらなる照射で一変。一面がじわじわと光り、ウイルスが塗りつぶされていきます。

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上下左右へ光が走り、まっさらな状態に

 まっさらになった板に、再びレーザーの光が射しこみ、再びイラストが描画されていきます。出来上がったのは、回復した地球を包み込む大きな手、そして「NEVER GIVE UP」のメッセージでした。

緻密な線が復興のイメージを描画
メッセージはバチバチと光を放ちながら深く刻まれる

 現状の困難と、願われる復興を描いた動画は広く拡散され、「勇気が湧く!」「金属だけど温かい」と好評。大勢に「町工場のおやじすごい!」と賞された森下さんに、編集部は詳しい話を聞きました。

暗い、つらいニュースの間に、ほんの少しだけホッとできるものを

――動画制作の経緯を教えてください。

森下 毎日コロナウイルスで大変な、先が見えないニュースばかり目にしていたところ、スポーツ選手や著名人が、少し気の紛れるような応援動画をアップし始めたのを拝見しました。そのとき私には何ができるだろうと考え、いつも作っているファイバーレーザーの加工動画で、暗い、つらいニュースの間に、ほんの少しだけホッとできるようなものを作りたいと思ったのがきっかけです。

森下さんは不定期に、「技術の無駄遣い」と称し、レーザーマーキング動画を披露しています

――一度描かれた絵が消える場面が不思議でした。どういう仕組みなのでしょうか。

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森下 最初はステンレスの板に、薄く絵を彫っています。次に、1番最初の絵よりも深く、細かいピッチで板全体を彫ることで、最初の絵を消してしまいます。そして、手の絵はさらに出力を上げて深く彫り、最後のメッセージは出力をMAXにして深く、強く彫る事で焼き色を出しています。

――動画では一瞬で絵ができていくように見えますが、編集を加えていますか?

森下 Twitterには投稿できる動画の長さに制限があるので、ところどころ早送りをしています。ちなみに、私の動画は全て、映像作家をしている弟が編集してくれています。

――新型コロナウイルスについて、本業に影響はありましたか?

森下 弊社は自動車や鉄道、医療、業務用厨房、建築関連の金属部品、金型を製造する、全体で従業員約50人の工場ですが、社員の衛生環境を整えるため、さまざまな工夫が必要になったり、打ち合わせや出張ができなくなったりと、徐々に影響が出始めています。新しい案件も随分と少なくなっていますし、流れてしまうものもあります。幸い、現時点では、経営が傾くような大きな影響はまだ出ていません。

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 ただ、本当の意味で業績に影響が出始めるのは最終メーカーのお客さまが製造ラインを止めたあと――時間差でわれわれ零細企業に大きな大きな影響が出始めると思います。先日から自動車メーカー様のライン停止が報道されていますが、われわれに影響が出始めるのも時間の問題であると考えています。

動画提供:森下一(@kyoritsu_1962)さん


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