インタビュー

なぜ学校現場でオンライン授業の導入が進まないのか 現役中学教員に聞く「緊急事態宣言を受けた学校の動き」(1/2 ページ)

「休校期間中、学校現場ではどんな仕事をしているのか」「なぜオンライン授業の導入が進まないのか」などを聞きました。

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 2月27日の一斉休校要請に続き、4月7日の緊急事態宣言。これにより、一部の学校では臨時休校期間が約1カ月→約2カ月に延長される形になりました。今回は緊急事態宣言の対象となった都道府県で働く現役中学教員Aさん(匿名)に「休校期間中、学校現場ではどんな仕事をしているのか」「なぜオンライン授業の導入が進まないのか」などをインタビューしました。

続く臨時休校、学校の先生は何をしているのか

―― 緊急事態宣言が出て、学校現場の動きは?

 学校再開日が二転三転しちゃって大変だったよ。ちょっとややこしいんだけど、緊急事態宣言が出るまでの流れから説明させて。

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 まず、全国の小中高校への臨時休校要請が出て(2月28日)、「学校再開は春休み終了後」ということになった。4月に入って各教員の担当する学年・クラスが決まって以降、俺の働いている学校では入学式が行われる4月8日に向けて準備を進めていた。

 その後、うちの自治体では臨時休校期間が延長されて「学校再開は4月13日」になった。

―― 予定されていた学校再開日が変わっちゃったんだ

 で、4月7日に緊急事態宣言が出た影響から「学校再開は5月6日」とさらに変わった。

 学校側も馬鹿ではないから「4月8日スタート」「4月13日スタート」「5月6日スタート」の3パターンを事前に想定して動いていたんだけど、おかげで準備が大変だった。

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 というのも、学校には“年度当初にやらないといけないこと”があって。例えば、教科書は4月15日までに生徒に配布することになっているから「5月6日スタート」だと間に合わない。

 「教科書を配るなんて簡単だろ」と思われるかもしれないけど、全教科合わせると1人10冊くらいになり、それが1クラス分になると数百冊だ。

―― 学校にもよるけど、全校生徒だと数千冊はいきそうだね

 それをどうやって生徒一人ひとりに配るのか。新型コロナ感染拡大防止のための休校しているわけだけど、生徒に学校に来てもらうのか。そうする場合、どうやって3密を避けるのか……。

 “上”からは「5月6日まで休み」という指示があったけど、こういう細かいところは現場任せ。だから、“各学校で考えなければならない問題”がたくさんあった。

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 休校が続いて「先生は暇でしょ」とよく言われるんだけど、保護者、生徒には「教科書は“こうやって”配布します」みたいな連絡がいくだけだから、“どうやって”を考える仕事は見えにくいのかもね。

―― 結局、教科書はどんな風に対応したの?

 うちの学校は臨時休校中だけど登校日を設けて、生徒には「分散登校」してもらった。全校生徒が集まるのは良くないだろうということで、「1年生は月曜日に登校、2年生は火曜日に、3年生は……」みたいな感じだね。

 さっきも話した通り、各学校がそれぞれに対応したからやり方はマチマチで、別の学校は「1組は月曜日、2組は火曜日……」とクラスで分けていたり、また別の学校は「そもそも分散登校をしない」という判断をしたり。

 「○○区はこうします」という方針も地域によって出ていたり出ていなかったりで、臨時休校期間の対応は学校の数ほど……とは言わないけど、本当にバラバラだよ。

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 こんな状況だからこそ、“上”がリーダーシップを取って「こうしてください」と言ってくれると楽なんだけどね。細かいところは現場任せという姿勢だと結局、「なぜこのような対応を取ったのか」という保護者への説明責任まで現場に丸投げになってしまうから。

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