科学の力でおばけは見られるのか　「ばけたん」開発者に聞く“おばけ探知機の仕組みと進化”：NMR ねとらぼミステリー調査班（2/2 ページ）

12年ぶりのばけたん……リニューアル発売の理由とその進化

――　ばけたんから、ばけたん霊石の発売までには12年もの間があります。古いガジェットを今になってリニューアルし、発売しようと思った理由を教えてください。

河原　まずは、ゴーストレーダーと初代ばけたんにプレミアが付き、高値で取り引きされていたことですね。単純にこれはいかんな、と。もうひとつは、何度か初代ばけたんを蔵出し再販させていただいたところ、すぐに売り切れてしまったことです。

　それらを受けて「今の時代に『おばけ探知機』が受け入れられている、求められているのだな」と。それなら全面リニューアルして新しい機能も追加しちゃおうと。そして2018年に「ばけたん霊石」を発売しました。

　おかげさまで「ばけたん霊石」は発売1年で1万2000個以上売れまして。現在発売中の最新バージョン、第4世代となる「ばけたん霊石　改」は、金型もプログラムも完全なゼロから新設計で作っています。こちらもありがたいことに売れ行きは好調です。

――　ばけたん霊石　改で、進化したポイントは何ですか？

河原　ボタンを押すと、基盤のアンテナ……「霊界アンテナ」と呼んでいるのですが。これが外のノイズを拾ってトリガーとした後、擬似乱数発生プログラムが走るように作っています。

　このノイズとは周りの環境……電磁波や静電気、音圧変化などアンテナが探知できるものすべてが対象です。霊石は2個だったのですが、改には4個搭載し感度を上げています。これは発生させる疑似乱数を、できるだけ完全乱数に近づけるための工夫です。

　またばけたん霊石　改には、初代ゴーストレーダーでしかできなかった、一定時間継続しておばけを探知する「継続サーチモード」が搭載されています。これによって心霊スポットでのおばけ調査や、移動しながらのサーチが簡単に行えます。

　他にも電池を大きなものに変更する、最新LEDの導入など、以前の機能はそのままに、便利に分かりやすく使いやすくなるようさまざまに手を加えました。まさに「改」なんですよ。

ばけたんシリーズの秘密

――　ばけたんシリーズは乱数の発生の仕方に応じて、光る色が変わります。乱数と色はどのように対応していますか？

河原　「0」「1」をそれぞれ1/2の確率で出しているとして、それを100回繰り返せば0と1が50回ずつ出るはずですよね。これが統計上の誤差以上の偏り……1がやたら多かったとか、1しか出なかったとかですね、そういうときに黄色や赤（おばけ反応）が出ます。

　統計上の誤差以上の偏りがなければ、緑（正常）。青緑や青（良い反応）はちょっと特殊で、例えが変わりますが、サイコロを振って「123456」みたいに、なんらかの秩序がある結果のとき。

　本当に不思議なんですが、心霊スポットでは乱数が偏る傾向が、パワースポットでは乱数が整う傾向があって……各種スポットの解析データにそう出ているんですよ。

――　おばけを追い払うという「バリアモード」はどういう仕組みになっているのですか？

河原　バリアモードを発動すると、緑色となる数字を強制的に一定時間吐き出し続けます。これは「乱数がおかしい＝おばけがいて、乱数に干渉している」のだから、「乱数を正常にする＝おばけがいなくなる、乱数に干渉できなくなる」という発想です。

――　他にも何かあれば教えてください。

河原　そうですね……これは今でこそ言える話なんですけど、ゴーストレーダーって、大手企業3社と弊社のコラボレーション商品なんですよ。

――　（会社の名前を聞いて）すごい！　誰でも知っている超大手企業ばかりじゃないですか。

河原　私はサンディスクから独立して会社を立ち上げたので、さまざまな企業の方とのお付き合いがあったんですよ。それで「おばけ探知機を作るんだ」と言ったら、各企業の皆さんが協力してくれたんです。

　基盤や回路を作ってくれて、マーケティングしてくれて、ほかにもいろいろと……大企業の知識と技術が集結しちゃったんです、おばけ探知機に（笑）。最終的に、ゴーストレーダーを大々的に売り出してくれたのがヨドバシカメラさんです。

河原さんとばけたんが目指すもの

――　現在開発中のガジェットなどはありますか？

河原　この「まもりだま（仮）」ですね。ばけたんはアクティブにおばけを探すものですが、まもりだまは名前の通り「お守り」なんです。お守りのように巾着へ入れて持ち歩いてもらったり、環境を良くするため部屋の中に置いてもらう、という運用を想定しています。

――　どのような機能があるのでしょうか。

河原　「場の浄化」です。ばけたんのサーチモードが搭載されていて、強い反応が出ると自動的に「青を増幅して、赤は打ち消す」ようになっています。違うのは赤の跳ね返し方で、赤の乱数の偏りを打ち消す乱数を発生させて平坦にする……そうですね、ノイズキャンセラーイヤホンと同じ原理です。

　他にも「瞑想モード」が搭載されています。「シューマン共振波」というものがありまして……流すと空間が浄化される、リラックスできるとされる、地球の自然な波動があるんですよ。それが出ると同時に、ゆっくり光が点滅します。それに合わせて呼吸をすると、雑音のない環境で深い瞑想ができます。疲れた人へのヒーリングに役立てればと思います。

――　ばけたんシリーズに関してはいかがでしょうか。

河原　ばけたん霊石　改をさらに改良した「ばけたん霊石　伝」を構想しています。これは試作版なのですが、スマートフォンとばけたんを連動させて「どこで何色に光ったかを記録する」という仕組みになっています。

　ゴーストレーダーのときに、どこで反応が出たかを自由に書き込めるWebサイトと掲示板を用意して「全国おばけマップ」を作ろうと試みたのですが……報告があまり多くなく、計画は立ち消えになってしまいました。

　でも今ならスマートフォンアプリで、簡単におばけ情報を共有できます。この仕組みが完成しておばけ探知機が全国に出回って、かつ大量のデータを蓄積できたら……もっと科学的に、統計学や確率論などの方面から「おばけとは何か」に迫れるはずです。

　他にも初代ゴーストレーダーを復活、パワーアップさせた「ゴーストレーダー　リバイバル」もやりたいですね。

スプーン曲げをすると、ばけたんが赤く光る？

――　「自宅でばけたんを使って遊ぶ方法」があれば教えてください。

河原　スプーン曲げで有名な清田益章（きよた ますあき）さんという方に以前、ばけたんを差し上げたことがあるんですが、しばらくしたら電話があって。どうしたんですか、と聞いたら「スプーン曲げをすると、ばけたんが赤く光る」って言うんです。私が設計したから分かるんですが、あるタイミングで意図的に反応を出すとか、意図的にこの色に光らせる、ってのは絶対に無理なんですよ。

　ただ先ほどお話した通り、人間の意識が乱数に偏りを発生させるのでは、という説があります。もしかしたら、色を自在に操れる人がいるかもしれない。なので、どの色に光らせたいか強く念じてみる、ばけたんに向かって「光れ」と意識を集中してみる、なんて遊び方はどうでしょうか。

　他にも「自動サーチモードでどんなときに光ったか」を記録してみるのもいいと思います。面白い結果が出たら、ぜひTwitterの「ばけたん心霊探索部（@baketan2018）」までご報告ください。

この後、ばけたんで実験をします

――　実はこの後、ばけたんを使って「普通の物件と事故物件を見分けられるか」という実験を行うんです（別記事にて公開予定）。

河原　すごいですね（笑）。できると思いますよ。

――　どうやったら見分けやすいかなど、効果的な使い方を教えていただければ。

河原　複数台で同時に測定するのがいいかもしれません。普通にやって赤や青の反応が2連続で出る確率は、大体1年に1回あるかないかぐらいなんですよ。

　それが鈴ヶ森刑場跡（10万人以上が処刑されたという、東京都品川区の有名な心霊スポット）で、10人10個でばけたんを使ったら7個が赤の反応を出した、ということがありまして。複数のばけたんを使って強い反応が同時に出るか否か、というのは参考になるかもしれません。

　それから、これは経験則なんですが……使う人によって感度が変化する、というのもあります。霊能力には相乗効果の傾向が見られるので、霊感の強い方がいれば同行してもらうのがよいかと思います。

読者プレゼント：抽選で「ばけたん霊石　改」

　Twitterキャンペーンとして、本記事内で取り上げているばけたん霊石　改を、抽選で5個プレゼント。応募方法などの詳細は下記にて。

たけしな竜美（@t23_tksn）