芥川龍之介『羅生門』を魔改造した増田文学「クソデカ羅生門」が読者の精神を蝕む 「めちゃくちゃ面白い」「なぜこれを書こうと思ったのか」
森羅万象なんでもクソデカ。
芥川龍之介の小説『羅生門』を何でもクソデカに誇張した「クソデカ羅生門」がはてな匿名ダイアリーに投稿され、「クソデカ純文学」「終始ワクワクして読めた」などと話題になっています。
『羅生門』は平安時代の京都・羅生門を舞台に、雨宿りをしていた下人と、死体から髪の毛を抜く老婆のやりとりを描いた作品。教科書にもしばしば採用されており、授業で読んだことがある人も多いのではないでしょうか。
一方、この「クソデカ羅生門」では、あらすじこそ『羅生門』を忠実になぞっているものの、とにかくあらゆる要素がめちゃくちゃに誇張されています。例えば冒頭の1文を比較すると――。
『羅生門』
ある日の暮方の事である。一人の下人が、羅生門の下で雨やみを待っていた。
「クソデカ羅生門」
ある日の超暮方(ほぼ夜)の事である。一人の下人が、クソデカい羅生門の完全な真下で雨やみを気持ち悪いほどずっと待ちまくっていた。
時刻は暮方から「超暮方(ほぼ夜)」になり、羅生門は「クソデカい羅生門」へといきなり巨大化。どんだけクソデカいんだ羅生門。
こんな調子で、他の文章もあらゆる要素がとにかくクソデカに改変されています。例えば「大きな円柱に、蟋蟀が一匹とまっている」という一文は、「信じられないほど大きな円柱に、象くらいある蟋蟀が一匹とまっている」と、もはやパニック映画の1シーンのような光景に。また下人の面相についての説明も、原文では「短い鬚の中に、赤く膿を持った面皰(にきび)のある頬」だったのが、「えげつなく短い鬚の中に、とんでもなく赤く膿を持った巨大な面皰の大量にある頬」と、無駄にいろんな要素がクソデカ化しており、まったく内容が頭に入ってきません。
その後も「超巨大門の超巨大屋根が、斜につき出した超巨大甍」「意味わからんくらいクソ大きな嚔」「バカ長い髪の毛を一〇〇〇〇本ずつ抜きはじめた」など、読む者の精神をむしばむクソデカ表現が続出。最終的に、天下無双の無敵下人は、死体から髪を抜いて巨大鬘を作ろうとしていた老婆を蹴飛ばし、マジでまたたく間に死ぬほど急な梯子を夜のドン底へかけ下りていったのでした。
ネット上では突然現れたこのクソデカ文学に対し、「漫画化してほしい」「感度3000倍文学だ」「なぜこれを書こうと思ったのか」などさまざまな反響が。さらに原文との差分を比較考察する人や、いい声で朗読しはじめる人、「象くらいある蟋蟀」のイラストを描いて投稿する人なども現れ混沌を極めています。
原作の『羅生門』は既に著作権が切れており、「青空文庫」で誰でも読むことが可能。「クソデカ羅生門」を読んだあとで原作を読み、物足りなさに頭を抱えてみるのも一興です。
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