インタビュー

Withコロナ時代でも学校の仕事はつらいよ 現役中学教員に聞く“生徒のために働けない歯がゆさ”(1/2 ページ)

再開した学校での働き方についてインタビューしました。

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 新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の感染拡大防止に努めながらも、運営再開の動きを見せている学校現場。通常のペースを取り戻しつつある公立中学校ではどんなことが起こっているのでしょうか。今回は現役教員として働くAさん(匿名)に「Withコロナの学校運営における教員のツラさ」を伺いました。

新型コロナの影響で、教員の仕事はどう変わった?

―― 新型コロナの影響で、教員の仕事は増えた? 減った?

 俺が働いている学校は分散登校ではなくて生徒全員が毎日登校するようになっていて、部活も始まってる。すでにフルに動いてる感じだね。

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 新型コロナの影響で教室内の消毒のように増えた仕事もあるし、出張中止のように減った仕事もある。ただ、負担感は確実に大きくなってる印象だなあ。学校行事なんて予定が全部組み直しだし、ゼロから考えないといけない。

 例えば、実際にありうる話なんだけど「今年度の2学期に修学旅行が予定されている学校があったとする。実施すべきか否か」。君ならどう判断する? 俺にはどうしたらいいか分からないんだけど。

―― そうねえ……。2学期というと、だいたい9月~12月くらいか。そのころには新型コロナ収まってるのかな。それとも冷え込んできて、今より感染者数が増えてるのかな。どうなんだろう。

 ホント、どうなんだろうね。

―― 学校としては新型コロナ対策をしないわけにはいかないだろうし、修学旅行はさすがに……。あ、でも、8月から政府が「Go Toトラベルキャンペーン(※)」始めるんだっけ? そういう状況ならアリなのかなあ。どうなんだろう。

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※Go Toトラベルキャンペーン:観光業の需要喚起を目的とした事業。各種報道によれば、政府は8月開始をめざす方針

 ホント、どうなんだろうね。ちなみに、修学旅行にも割引が適用できるっぽいよ。

―― あ、そうなんだ。若い人は重症になりにくいって言うし、行ってもいいのかなあ。……いや、祖父母と一緒に暮らしてる生徒もいるのか。家庭によって異なる事情があるなかで、学校行事として旅行するのはどうなんだろう。

 ホント、どうなんだろうねえ……とまあ、そんな感じで「そもそも実施するかどうか」というレベルから考えざるを得ない状況なんだよね。

 実施することが決まったら、今度は「どうしたら、その学校行事と新型コロナ対策を両立できるか」と考えなきゃいけない。体育祭であれば「どの競技をどう行うか」「応援席でのソーシャルディスタンスはどう確保するか」とかね。

―― 例年は考えなくてよかった問題を1つ1つクリアしていかないといけないのか。去年度までの動きを踏襲することもできないし。

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 そうなんだよね。

 うちの学校では、合唱コンクールがかなり難しい状況になってるかなあ。いつもコンクール当日は、ホールを借りてたんだけど、今年度は貸し出してもらえなくなってしまった。

―― 体育館じゃダメなの? 僕が通ってた中学はそうだったけど。

 その代替案も考えた。ただ、各クラスの合唱を聞くために全校生徒が集まるとなると、体育館は狭すぎるんだよね。ソーシャルディスタンスが保てない。

 さらに言うと、そもそも「生徒に合唱の練習をさせていいものか」という疑問もある。

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 一例だけど、今ってカラオケに行くのもはばかられるような雰囲気でしょ? 担任の先生が一方では「よし、皆で合唱の練習するぞ」と意気込み、もう一方では「感染予防のために、カラオケに行くのは控えましょう」と言うような状況になっちゃったら、もはやギャグでしょ。

―― 授業面ではどう?

 マスク着用がしんどい。今は梅雨だからまだマシなんだけど、これから暑くなるでしょ。教壇に1時間立ちっぱなしでしゃべるって、けっこう体力を使うことなんだよね。

 長期休校などによる授業の遅れを取り戻そうとしていて、今はとにかく教科書に追われてる感じ。本当は良くないんだけど、生徒の様子を見ながら1つ、2つ雑談を挟んで……という余裕もない。1~6時間目まで息をつくヒマもなくて、生徒も大変かもしれないね。

―― 授業の遅れは以前から懸念されていた問題だったね。何とかなりそう?

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 うちの学校に関しては、行事を減らしたり、夏・冬・春の長期休暇を削ったりして、まあ何とか。

 ただ、今後の状況によっては「授業時間を確保するために、土曜日に授業を入れる」みたいな手を打つ可能性もある。他校だとすでにやってたりするんだよね。他にも「通常はない7時間目の授業を作る」とか。

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