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ロングシートなんて大嫌い? 乗り鉄がこだわる「座席」のお話月刊乗り鉄話題(2020年7月版)(1/4 ページ)

ほんとはこだわりたいんです。でもロングシートもいいものです。回転クロスシートも褒め称えたいんです。

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 乗り鉄の話題や実際の旅の体験を書いていて、実は不安になることがあります。それは用語。乗り鉄が使う用語は、どこまで一般用語として認知されましょうか。


普通列車でクロスシートに乗れるとうれしい(吾妻線115系電車)

 例えば、山手線と同じ形式で、グリーン車以外は「オールロングシート」になった横須賀線の新車「E235系」の話題。いやぁ、残念ですな。一部で良いから「セミクロスシート」を残してほしかったなぁ。とか。……この残念感が伝わりますか。

 東海道新幹線の初代車両って「回転クロスシート」だと思ったら「転換クロスシート」だったのか。意外だなあ。とか。

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 さすがに「転クロ」なんて略したら多くは分からないと思いますから「転換クロスシート」と書きますけれどね。車両よりも旅の話に主題を置くときは、どちらも「クロスシート」と書いちゃいます。それぞれきちんと説明しだすと話が長くなりますし。

 でも、ほんとはこだわりたい。回転クロスシートを褒め称えたい。

 ところで、「クロスシートは快適」と書くと、クロス(布張り)のシート(座席)だと誤解しちゃいませんか……? 書き手としてそんなところも不安です。そこで今回は、乗り鉄&書き鉄が本当はこだわりたい「座席(シート)」の話をします。

キホンのキホン「ロングシート」と「クロスシート」の違い


ロングシートは通勤電車の定番(小田急5000形)

 「ロングシート」は名前からイメージしやすいですよね? 長いシートです。窓を背にして、乗降扉と乗降扉の間がベンチみたいになっています。通勤電車のほとんどはこの座席です。

 ほとんどの乗り鉄は好まないタイプの座席です。車窓を眺めようとすると首を真横にしなくちゃいけないし、窓に向いて正座したいけどそんなの幼児しか許されません。駅弁も食べづらい。何より、通勤電車みたいな空間では旅の気分が台無しです。

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 昭和時代後期の紀行作家、宮脇俊三もロングシートはお好みでなかった様子。『旅の終わりは個室寝台車』で、“四人向かい合わせの席でなら、ただの酒飲みですむが、ロングシートで飲むと住所不定のアル中の趣を呈してくる”と書いています。

 「クロスシート」は進行方向に向いた座席、あるいは進行方向に背を向けた座席です。よく「観光バスのような2人掛け」と説明します。それか「ジェットコースターみたいな並び」が間違いないと思いますが皆さんいかがでしょう。ロングシートのジェットコースターなんてありませんよね。あったら怖い。新しいスリル体験になりそう。イヤだけど。


クロスシートは特急列車の定番(新幹線E7系)

 このクロスは「交差」という意味です。何と交差しているかというと「進行方向」「レールの方向」「車体の長さ」など諸説あります。並びがこれらと交差していればクロスシートです。

 新幹線の座席もクロスシートです。前述の宮脇俊三が表現した「四人向かい合わせの席」もクロスシートです。クロスシートはかなり大ざっぱな分類です。

 湘南新宿ライン、上野東京ラインの普通列車はロングシートが主です。しかし、編成の端っこに「一部がクロスシート」という車両があります。このように、同じ車両にロングシートとクロスシートが混じっている状態を「セミクロスシート」といいます。

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 セミって何でしょう。ラテン語で「半分」とか「準じる」という意味です。ヘアスタイルの「セミロング」のセミ。準決勝「セミファイナル」などでも使います。

 鉄道車両にセミクロスシートはあります。しかし「セミロングシート」はありません。つまり「クロスシート」が主で、「本来の座席の在り方」といえそうです。


セミクロスシートはドアや車端部などがロングシート(常磐線531系電車)
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