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SF(すこし・ふしぎ)映画の最高峰「ドロステのはてで僕ら」をきみは見たか? 大絶賛の5つの理由を全力で解説(1/3 ページ)

映画「ドロステのはてで僕ら」は、全編ほぼワンカット・リアルタイム進行の映画の最高傑作であり、この世で一番面白い70分間だった。

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 現在、「ドロステのはてで僕ら」という日本映画が小規模で公開されている。初めに断言しておこう、本作は全編ほぼワンカット・リアルタイム進行の映画の最高傑作であり、小さな範囲のSF映画の最高傑作であり、この世で一番面白い70分間(上映時間)であったと!

(C)ヨーロッパ企画/トリウッド2020
予告編

 しかも本作は、ともすれば難しくなりがちなSFギミックを扱っていながら、子どもから大人まで見る人を選ばない、「誰が見ても超面白い!」と思える内容でもあった。事実、7月現在、本作はFilmarksでは5点満点中4.1点映画.comでは5点満点中4.3点といった高評価をマークしている。

 タイトルにあるドロステとは、「同じイメージが再帰的に繰り返される視覚効果」を意味している。どのようにそのドロステの効果があらわれるのか……は劇中で丁寧な解説もされるのでぜひ見ていただきたい。詳しくは後述するが、それを含めたアイデアを実現する作り手の努力にも、「これを撮るのは大変なんてもんじゃなかったに違いない!」と驚愕すると共に、「この人たちすごすぎるだろ!」と称賛したくなるはずだ。

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 そして、本作はなるべく予備知識がないまま見たほうがいい。劇中ではサプライズに次ぐサプライズの嵐、そのアイデアの豊かさとフレッシュさにも、大きな感動がある映画だったからだ。ぜひネタバレを踏む前に劇場へ駆け付けてほしい。

 以下からは、より深く作品の魅力を記していこう。もちろんネタバレのない範囲で書いたつもりであるが、前述した通り本作はなるべく予備知識がないまま見たほうがいい内容である。にじみ出てくる程度の軽微なネタバレは含まれることを、ご容赦いただきたい。

1:全編ほぼワンカット・リアルタイム進行の意義

 本作の物語は、カフェオーナーの男のカトウが、モニターから“2分後の自分”が話しかけくる様を目の当たりにすることから始まる。どうやら、カトウのいる雑居ビルの2階の部屋と、1階のカフェが、2分の時差でつながっているらしいのだ。そこからは、カフェの女性店員や常連客を巻き込んで、この“タイムテレビ”を有効活用していく方法を考えていくことになる。

(C)ヨーロッパ企画/トリウッド2020

 驚愕すべきは、その長回しの撮影だ。序盤で1回だけ暗転するシーンがあるのだが、それ以外は“切れ目”のないシームレスな映像が続いていく。つまり、全編がほぼワンカットの映像となっている。実際は撮影時にいくつかカットをかけ、編集で切れ目のないように見せている“疑似ワンカット”なのだが、本編を見れば丸々1時間以上をずっとカットなしで撮っているようにしか見えない。

 その全編ほぼワンカットという手法は、物語およびギミックとも密接に絡んでいる。2分後を映すタイムテレビの映像と全く同じことが、劇中の時間における2分後に、ピッタリと時間が重なるように“再現”されるのだから。この奇妙な感覚、面白さは、カットを割ってしまっては得られないものだ。

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 1階のカフェと2階の部屋を行き来する、浮遊感のある映像はそれだけでも見ていて面白い。カメラマンも兼任した山口淳太監督は、同じくほぼ全編疑似ワンカットの映画「バードマン あるいは(無知がもたらす予期せぬ奇跡)」のような“没入感”のあるカメラワークも意識していたのだそうだ。観客は登場人物たちと一緒に、この不可思議な現象を“体験”している感覚も覚えるだろう。

2:本気ですごい“秒単位のつじつま合わせ”

 前述した疑似ワンカットの映像は、もちろん簡単にできることではない。少しでもトラブルがあれば(実際はいくつかのカットでの区切りがあるとはいえ)最初から撮り直しになる、というのはもちろんだが、本作では加えて“2分後の未来”へのつじつま合わせをしないといけないという、とんでもなく高いハードルを乗り越えなければならないのだ。

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