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【いま見たいドラマ】「薄っぺらい人間」と言われたモデルの“生まれ変わり”ストーリー 「私はラブ・リーガル」に勇気づけられる

「美しさ」ってなんだろう?

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 2009年に放送がスタートしたドラマ「私はラブ・リーガル(Drop Dead Diva)」。「細さ=美しさ」といった考え方が一般的だった当時、さまざまな人を勇気づけた作品です。

 おうち時間が増えている今、見ると元気になる作品を紹介する企画。海外ドラマやショー番組を紹介する本『ハピドラ! マンガで紹介 気分ぶちアゲ海外ドラマ』の著者momomosparkleさんに「私はラブ・リーガル」の魅力を聞きました。

momomosparkle

イラストレーター&デザイナー&漫画家。カリフォルニアのカレッジで2年間アートを学んだ後、美大を卒業、現在はフリーランスとして活動中。かわいいものや楽しいことが大好き。著書に『ハピドラ! マンガで紹介 気分ぶちアゲ海外ドラマ』(柏書房)。

転生したら弁護士になった!?

 がんばるオトナたちのための、ハッピーでポップなリーガルドラマ「私はラブ・リーガル」。自分に似合うメイクの研究に寝る前のパック、もちろん歯のホワイトニングだって欠かさない!――外見を磨くあなたはとっても素敵。だけど……。

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 ストイックにモデルを目指していたデビーは、スタイル意地にもメイクにも余念がなく、外見を磨くことにすべてを賭けていた。恋人のグレイソンともラブラブで、順風満帆の日々。しかしモデルのオーディション会場へ向かう途中、よそ見運転が原因でトラックに衝突してしまう。

 気がつくと、そこはもう天国の門。そこでは天国の門番である天使たちがコンピュータに向かい、死者たちの生前の行いのデータに基づいて、天国ゆきか地獄ゆきかをジャッジしていた。デビーの担当天使フレッドは、彼女の生前のデータをみて驚く。「良い行い」も「悪い行い」もデータにない、超レアなケースだったのだ。「つまり君って、超うすっぺら人間なんだね!」そんなフレッドの言葉にムカついたデビーは、彼の隙をついて人間の世界に逆戻りできる「リターンキー」をたたく。

 一方敏腕弁護士のジェーンは、同じくストイックに仕事仕事の毎日。オシャレには目もくれず、友達との会話もおろそかになるほど。そんなある日、彼女の働くオフィスに拳銃をもった男が乱入してくる。運悪くつまずいて男に近づいたジェーンは撃たれてしまう。運良く一命をとりとめ、病院で目覚めたジェーン……と思いきや、中身はリターンキーを押して人間界に戻ってきたデビーの魂だった!

 そう、このお話は、自分とは全く違う女性として生き返ってしまうことになるストーリー。デビーは、現実も新しい外見も受け入れられず、自分のお葬式に参列する。そこで、元モデル仲間たちが「自己中だった」などと自分の悪口を言っているのを聞いてしまう。自分自身と心優しく才気に満ちたジェーンの性格を比べ、「私って本当にうすっぺら人間だったのかも……」と反省する。

 そうして心機一転、デビーは生まれ変わった”ジェーン”として生きることを決意。仕事に対しても人に対しても真剣に向き合い始める――。

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 デビーは「からっぽ」と評されながらも、友達想いで明るく前向き。言われたことを素直にうけとめ、よりよい自分になろうと努力する彼女をついつい応援したくなってしまう(ちなみにジェーンの魂は別の女性のカラダの中にはいることになるんだけど……気になる人はシーズン5をチェックしてみてね!)。

 ジェーンの知性にデビーの大胆さが加わり、次々と裁判で結果を残してゆく様子は、爽快感MAX。あっというまに全シーズン完走してしまうはず。

ふたりの共通点

 180度違うようなデビーとジェーンだけど、意外にも大きな共通点がある。

 エステに通ったり、雑誌で流行色をチェックしたり――内面よりも外見の美しさを重視していたデビー。ブランドもののバッグが本物かどうかは見極められるし、ダイエットや肌のお手入れにも手を抜かなかった。けれどそれに忙しすぎて、気がついたら内面磨きがおろそかになってしまっていた。

 一方デビーが中に入るまえのジェーンは、とても真面目で賢い女性で、依頼人からの信頼もあつかったし、慈善活動にも取り組んでいた。でもやっぱり忙しすぎて、友達とのちょっとした会話を楽しむ余裕もなく、自分にも自信がなかった……。

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 何かに必死になるあまり、ほかの大切なことをおろそかにしてしまう。そんな2人に共感して、ちょっぴり胸がチュンと切なくなる人も多いはず。けれど、何かにストイックになれるって、かなりの強みだ。デビーはからっぽなんかじゃなかったし、ジェーンもダサくなんてなかった。ただ大事なことを忘れちゃってただけ。新たなジェーンとして生まれ変わってからのデビーが、自分の力でいろいろなものを手に入れようと奮闘するその姿勢は、ジェーンとデビーのどちらかからではなく、2人から受け継いだものだ。

友達はたからもの

 デビーが高校生のときからの親友、ステイシーは、明るくキュートな人気キャラ。明るくて、優しくて、前向きで、子供みたいに天真爛漫で、何をしていてもすっごく楽しそう。親友のデビーの写真をリビングに飾るような友達おもいなところも愛おしい。デビーがジェーンとして生まれ変わったとき、すぐに知らせたのがステイシーだ。

 ステイシーといるときは、ジェーンのデビーっぽさが強く出てくる。(当たり前かもしれないけれど)弁護士モードのときよりもくつろいでいて、良い意味で感情的。いくつになっても、高校生のときの友達に会うと、そのときの自分にもどっちゃうような、あの感じだ。

 ふたりは高校のチア部のときからの親友で、共通の秘密や思い出もたくさんある。信頼関係があるからこそ、別人の体に魂だけ入り込んでしまった……なんて信じられないことを「話そう」「信じよう」と思える。

 私にも、大人になって新しくできた友達や仲間はたくさんいるし、みんな心から大好き。だけどやっぱり、悲しいことや嬉しいことがあったとき、何か大きな決断をするとき、一番に報告するのは「今の私」も「あのころの私」も知っている、昔からの親友だったりする。

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 親友たちの話に癒されたり刺激をうけたり、昔を思い出して「最近ちょっと頑固になってたなあ」とか、逆に「私あの頃と比べてちょっと成長したなあ」とか、今の自分を再発見したりできる。良い友達は、どんな宝石や辞書よりも人生を豊かにしてくれるのだ。

「細いことは美しいこと」という思い込みの時代

 このドラマの放送がスタートした2009年は、「細いことは美しいこと!」と人々が強く思い込んでいた時代だ。多様な美が認められつつある今、少し違和感があるほどに。そんな時代に「異議あり!」と、正面から切り込むこのドラマは、間違いなく多くの女性を勇気づけてきた。

 デビーもジェーンも、生まれ変わる前「美しいとはこういうこと」と決めつけてしまっていた。けれどデビーが生前、人からよくみられるために保っていた「細くてピチピチのキレイなカラダ」は、結局のところそんなに重要じゃなかった。

 「あの子好き、だって痩せてるから」なんて、思ったことないでしょ? 人に惹かれる理由はさまざまだ。笑顔が素敵、話していて楽しい、優しい、考え方に憧れる……などなど。人の魅力はひとつじゃないし、体型や年齢と「美しさ」は、イコールじゃない。ジェーン自身もそれに少しずつ気がついてゆく。

 生まれ変わったジェーンはどんどん魅力的になっていく。彼女を輝かせるのは、笑顔やキュートな仕草や溌剌とした声。そして、彼女のもつ優しさや誠実さといった内面的な部分。

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 それらを引き出すのは、デビーがジェーンとして生まれ変わって初めて得た、「自信」だ。大切なのは、自分のもつポテンシャルをみつけること、そしてそれを活かそうと努力することなんだって、「ラブ・リーガル」は全力で伝えてきてくれる。

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