すい星のごとく現れた覇権バトロワゲー「Fall Guys」はなぜここまで流行したのか?
ポイントは「分かりやすさ」と「勝てそう感」。
8月4日にリリースされた、「Fall Guys: Ultimate Knockout」(PS4/Steam)が連日あちこちで話題になっています。リリース以降、Twitter上ではファンアートやプレイ動画などが毎日のように拡散されており、よく知らない人は「一体何が起こっているんだ」と不思議に思ったかもしれません。
果たして「Fall Guys」とは一体どんなゲームなのか。ゲームライターのオピオンさん(@ophion_kakuhito)に、遊んでいない人にも分かるよう、人気の理由や面白さを解説してもらいました。
アクションの基本で作られた遊びやすさ
ゲームは面白ければ流行る! とはいえませんが、流行るためには面白さが必須でしょう。逆に言えば「Fall Guys」が流行っている以上、多くの人が継続して遊ぶ面白さを持っているということです。
実際プレイしてみると、確かに面白い。そして、それ以上に遊びやすく、人に勧めやすいゲームだという印象を受けました。「Fall Guys」は、2.5頭身のなんだかよく分からないキャラクターを操作して、さまざまなミニゲームに挑戦していくアクションゲーム。行えるアクションは“キャラクターの移動”“カメラ操作”“ジャンプ”、ヘッドスライディング風の“ダイブ”、そして“つかみ”とこれだけです。
さらに“ダイブ”は役に立つ状況が少なく、“つかみ”は一部のミニゲーム以外では頻繁に使うものではありません。つまり、“移動”“カメラ操作”“ジャンプ”だけ覚えれば、多くのミニゲームを不自由なく遊べるというわけです。
カメラ操作をしつつ、主人公を動かして、必要に応じてジャンプをする。この一連の流れはアクションゲームやTPS、RPGなどさまざまなゲームで触れる、ゲームほぼ全般の操作と言っても過言ではないもの。そのため「Fall Guys」は満足に遊ぶためのハードルが非常に低いゲームになっています。
勝ち残る方法がはっきりしている分かりやすさ
また、バトルロイヤルと言えばFPSやTPSが流行しているなか、あえてアクションゲームとしてリリースされたのも「Fall Guys」の強みでしょう。というのは、TPSやFPSと比べて「Fall Guys」のほうが勝ち残るための道筋が分かりやすいからです。
FPSやTPSのバトルロイヤルでは、ほかのプレイヤーを倒しても、見つからずに隠れていても勝ち残る可能性が高まります。タイトルによっては序盤にアイテムを集めることが終盤の勝利につながるものもありますよね。ただ、戦うか逃げるか、そして集めるかという選択はプレイヤー任せ。何がベストかを判断するのには、ある程度の経験が必要です。
一方で「Fall Guys」の場合は、ミニゲームの目的自体がプレイヤーの取るべきベストな選択肢。ゴールを目指すミニゲームならなるべく早くゴールに着くのがベスト。落ちないようにするミニゲームなら落ちにくい足場を渡り歩くのがベストです。
一応、ほかのプレイヤーの邪魔をすることもできますが個人戦のミニゲームの場合、これは60人の障害物競争で誰かが誰かの袖を引っ張るようなもの。邪魔をした結果、得をするのは自分と邪魔をした相手以外のプレイヤーになります。
チーム戦形式の一部のミニゲームでは自分のチームの大玉をゴールに運ぶべきか、ほかのチームの大玉がゴールするのを邪魔するべきかというシーンはありますが、「Fall Guys」全体のなかでこういった選択を迫られることは少なめ。勝つための遊び方がゲーム側から示されている点も「Fall Guys」が多くの人に遊ばれている要因でしょう。
ハプニングが生む“勝てそう感”
このように遊びやすく、分かりやすく作られている「Fall Guys」ですが、どれだけ遊んでもハプニングからは逃れられません。
「Fall Guys」には、ほかのプレイヤーとジャンプのタイミングがかみ合ってぶつかったり、回転するバーに弾き飛ばされたほかのプレイヤーと衝突したりと、勝敗に直結するハプニングが満載。しかも、これらは経験やテクニックでどうにかなる話ではなく、ハプニングに会うかどうかは運しだいと言ってもよいでしょう。さらに一部のミニゲームはゲーム自体に運の要素が強く、少し運が悪いだけでトップから下位層へあっさり落ちていきます。本来なら勝てる腕前の人がハプニングで落ちていき、少し腕前の足りない人が勝ち上がるのが日常。
そこにシンプルな操作による遊びやすさが加わっているおかげで、ほかのバトルロイヤルゲームと比べて常に“今回は勝てるかもしれない”“次はもう少し勝ち残れるかもしれない”という気持ちがわきやすい印象です。個人競技に比べてチーム戦のミニゲームは腕前の差が出やすいのですが、うまい人と同じチームに入れるかもまた運。
腕前で補える要素が少なく、運次第で簡単に順位がひっくり返る。そこから来る“勝てそう感”もまた「Fall Guys」が多くの人を引き付ける理由の一つですね。
フリープレイを利用した流行作り
そして「Fall Guys」がここまで流行った理由には、PS4版がリリースと同時に、PS Plus加入者特典の「フリープレイタイトル(期間中にダウンロードすれば、PS Plusに加入している限りいつでも無料で遊べる)」になったこともあるでしょう。PS4版「Fall Guys」の定価は2090円ですが、PS Plus加入者なら最初から無料で遊べてしまうのです。
PS PlusはPS4でオンラインプレイをする際にほぼ必須の定額サービスなので、多くのPS4ユーザーが加入しています。また、フリープレイになるタイトルは発売から年単位で時間がたったものがほとんど。最新のゲームがフリープレイになるのは非常にまれなことです。そんな下地があるなかで、最新のタイトルがフリープレイに登場したことは、PS4ユーザーが「Fall Guys」に飛びついた大きな理由になっているでしょう。
無料で遊べるということは、間違いなくメリット。もちろんPS4には無料で遊べるタイトルが多々ありますが、もともと無料のタイトルよりも「本来は2090円する最新のゲームを無料で遊べる」方がお得感が強いのは分かりますよね。そしてPS4版を多くの人がプレイすることで、口コミや動画などで「Fall Guys」自体の情報が拡散されやすくなり、新たなユーザーを生み出したのだと思われます。
こういったさまざまな要因が積み重なって、大流行している「Fall Guys」。ここまで書いてきた通りハードルが低くハプニングが多いため、初プレイでもいい感じに勝ち残れる可能性は十分にあります。特にPS4版は2020年8月31日までフリープレイの対象とあって、続々と新規プレイヤーが増えているはず。
プレイを重ねることでキャラクターが強くなる要素も特にないので、既存のプレイヤーが持つアドバンテージはミニゲームのルールや定石くらい。今からプレイを始めても決して遅くはありませんよ。
関連記事
無名のSwitch新作「ファイナルソード」があまりにクソゲ……愉快な出来栄えでトレンド入り 「すっ飛んでいく床」「防御スペルで攻撃力が上がる」
権利周りの怪しさがネック→【17:30追記】配信を停止したようです。どうかしているゲームの世界:わざとシンジのテンションを下げて壁をぶん殴らせまくるゲーム「新世紀エヴァンゲリオン2 造られしセカイ」でシリーズ完結に備えよう
珠玉の「どうかしているゲーム」を気まぐれに紹介していく不定期連載。久々更新の第6回は、エヴァンゲリオンイヤーにちなんで、実は庵野秀明公認の由緒正しい正統ナンバリング作品「新世紀エヴァンゲリオン2 造られしセカイ -another cases-」を紹介します。少女の身体の未成熟さへのこだわり 台湾生まれの“ロリダークソウル”「Little Witch Nobeta」オタク文化への執念と愛情
身長が小さくてレバーに届かない女の子、ノベタ。「Switch在庫あるが店頭に出せない」「万策尽きた」“転売ヤー”に苦しむ販売店員の悲鳴が話題に 投稿者に現場の実情聞いた
ツイートを投稿した販売店員にお話をうかがいました。ファミコンなのにヌルヌル回転縮小、とある自作ゲームに「意味わからない」「すげぇ」と称賛の声
「古いハードは触っていて楽しい」との思いからファミコンで作ったそうです。最もツイートされたゲームは「あつ森」! Twitterが2020年上半期のゲーム関連ツイート動向を発表
ニコニコネット超会議もPS5のイベントに次ぐ話題に。
関連リンク
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.