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「お客様を選ぶ勇気持たないと」 モラハラな取引先に悩まされていた営業時代、先輩の言葉に励まされた漫画

「モラハラは誰も得しない」――ほんとそれ。

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 モラハラな言動を繰り返す取引先に苦労していたら、先輩が毅然(きぜん)と対応し状況を改善してくれた――。漫画家のえりた(@erita_enikki)さんが広告代理店の勤務経験を描いた、「モラハラめいたお客様がいた話」がためになると好評です。

取引先の担当者は、高圧的な物言いで周囲を萎縮させてばかりいます。対応が難しい……

 当時のえりたさんは、求人誌の広告営業担当。担当していた取引先の女性を振り返り「今思えばモラハラだったのかも」と漫画にしています。

 彼女はいつも怒っていて、否定的な言葉を淡々と繰り返すような人物。えりたさんが求人広告の原稿を送ると、「ダサすぎるし地味だしセンスがない」などと、キツいダメ出しを電話で延々と聞かされたといいます。

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 それでも求人広告の効果はあったようで、取引先には応募者が現れるものの、会社の求める水準が高いのか、なかなか採用には至りません。時にはえりたさんに怒りの矛先が向くこともありました。かつては他の広告会社との取引もあったようですが、いつのまにか彼女とやりとりする求人広告営業はえりたさんだけに……まあ、そりゃあそうなりますよね。

 その調子で取引は続き、約1年後にえりたさんは諸事情で退職することに。このやっかいな取引先は、先輩のYさんが引き継ぐことになりました。申し訳なさそうに「1社だけクセの強いお客様が……」と説明するえりたさんに対し、Yさんは「まぁ大丈夫っしょ!」と頼もしい様子です。

 えりたさんはYさんとともに、引き継ぎのあいさつのため取引先を訪ねました。するとここでもモラハラっぷりがさく裂。ハキハキと自己紹介するYさんに対し、「私ね、自信たっぷりの営業マン嫌いなのよ。みんな偉そうでさ。帰ってくれる?」と、取り付く島もない様子です。そんなこと口に出すかなあ普通……。

 最悪なファーストコンタクトにえりたさんがうろたえていると、黙って相手の言い分を聞いていたYさんが、冷静に口を開きました。「ずいぶん……ほかの営業とのやりとりで嫌な思いをされたんですね。ご心労お察しします」と、相手を尊重したうえで、「ですが私も今、お客様の言葉で嫌な思いをしました」と、ストレートに切り返したのです。

 自分は営業の仕事に誇りがあり、お客様も自身の仕事に誇りがあるはず。誇りを持つ者同士が力を合わせれば求人広告で良い人材を採用することは可能――。Yさんはそう説くと、「あとはお客様次第です」と述べて、あいさつを済ませていきました。

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 その帰り道、Yさんはえりたさんに、発言の意図を説明しました。彼女が高圧的な態度をとることで得られるメリットは何もなく、社員も業者も求職者もどんどん離れていくでしょう。取引先がそのように道を誤っていたら、諭すのも営業としての優しさで、それが受け入れられずに取引が終わるようであれば、見切りを付けて別の客を探せばいいというのです。

 「営業も客を選ぶ勇気を持つべき」とするこの考え方は、えりたさんにとって目からウロコが落ちるような教えとなりました。「受注をもらう側の営業は、相手より立場が下」というそれまでの認識が、「取引が始まれば、両者は利益を提供し合うパートナーであり、主従関係はない」と、改まったのです。

 えりたさんの退職後、Yさんからは「あのお客様とはなんだかんだで取引が続いている」と連絡が。互いに伝えるべきことをはっきりと伝え、関係性を改善できている様子を聞いて、「本当の意味でお客様のためになる営業になろう」と、えりたさんは新天地で決意するのでした。

 漫画は「Yさんのバランス感覚がすごい」「普通なら取引を切るだけだけど、ちゃんと口にしてくれる先輩はいい人」と反響を呼びました。「売上が小さくとも訪問しやすい客を複数持つほうがプラス」「社内の上司や、夫婦の関係性にもいえる」など、参考になる意見も寄せられています。

 えりたさんは以前にも、取引先が悪徳商法をしていたエピソードを漫画化し話題に(関連記事)。営業職時代のさまざまな出来事をまとめ、『地元で広告代理店の営業女子はじめました』として書籍化しています。

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作品提供:えりた(@erita_enikki)さん

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