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「悪役令嬢」の世界にようこそ! “入門”にぴったりなコミカライズ作品オススメ3選

「はめふら」で悪役令嬢の世界を知った人もぜひ!

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 女性向け小説・コミックで、「悪役令嬢」ものが存在感を放っています。悪役令嬢ジャンル入門にぴったりの、コミカライズ3作品を紹介します。

そもそも「悪役令嬢」って?(簡単に説明しよう!)

 「悪役令嬢」は、小説投稿サイト「小説家になろう」から生まれたジャンル。もともと主流だった「異世界転生」ものに、女性向け恋愛シミュレーションゲーム(乙女ゲーム)の世界観を合体したもので、2010年代前半に生まれ、2013年ごろから今にいたるまで根強い人気を誇っています。

 悪役令嬢もののお決まりは、(1)前世でプレイしていた乙女ゲームの世界に転生してしまう、(2)転生したキャラクターはゲーム内ヒロインに嫌がらせや恋路の妨害を行う「悪役令嬢」、(3)ゲームのストーリーでは悪役令嬢は破滅(死亡、失脚、没落)する運命にある、(4)前世の記憶をもとに破滅を回避する――というもの。

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 破滅を避けるための行動で、ゲームとはキャラクターの人間関係が変化したり、ゲームシナリオとは違った運命に直面したりします。その“違い”が物語のキモとなるのが悪役令嬢ものです。ちなみにここでいう「悪役令嬢」のようなキャラクターは実際は乙女ゲームにはあまりいないので、「なろう」独自のユニバースだと思っておいてください。

 ここ2~3年で、悪役令嬢ものの人気作のコミカライズ→書籍化が活発になっているため、小説だけではなくコミックでも悪役令嬢ものを目にする機会がぐっと増えました。筆者はコミカライズを読んでみて、気に入ったら原作小説の世界にそのまま突入する……ということを繰り返しています。

乙女ゲームの破滅フラグしかない悪役令嬢に転生してしまった…

悪役令嬢

 カタリナ・クラエス侯爵令嬢は8歳のとき、突如前世の記憶を思い出した。ここは前世でプレイしていた乙女ゲームの世界で、しかもカタリナは「主人公」と攻略対象の恋のライバル「悪役令嬢」だったのだ……! カタリナの運命は、主人公がハッピーエンドを迎えると国外追放、バッドエンドなら攻略対象に殺されるというもの。カタリナは次から次へとやってくる「破滅フラグ」を回避して、穏やかな老後を迎えることができるのか?――

 2020年にアニメ化され、悪役令嬢ものの知名度をぐーっと上げた作品。通称「はめふら」で、体感では男性のファンも多い印象です。シリーズ累計350万部突破、アニメは2期も決定しています。

 実は悪役令嬢ものでは珍しく、ヒーローがひとりに絞られていない(主人公が誰を選ぶのかわからない)ため、逆ハーレム的な読み味のある作品。カタリナは破滅フラグを回避する中で、攻略対象の男性キャラクターはもちろん、ゲーム内主人公などの女性キャラクターにもわりと重めの好意を寄せられていきます(カタリナは天然な上に破滅回避に必死なのでなかなか気づきませんが)。人間関係の全ての矢印がカタリナに集中! 筆者はこの作品をもとにした乙女ゲームをプレイしたいです。いつか出してくれ……。

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悪役令嬢なのでラスボスを飼ってみました

 皇太子から一方的に婚約破棄を告げられたアイリーンは、自分の世界が前世でプレイしていた乙女ゲーム「聖と魔と乙女のレガリア1」の世界だと思い出す。悪役令嬢であるアイリーンはこの先、ヒロインと魔王の戦いに巻き込まれてあっさり死亡してしまう運命。破滅を回避するためにアイリーンは、ゲームの「ラスボス」である「魔王」クロードに求婚しにいくことに!?

 美しくて頭がいい(ゆえにあまり色恋がうまくない)主人公アイリーンが、孤独な最強魔王クロードの心を溶かし、寵愛されていくお話。ゲームのストーリーもとい“運命”の力が非常に強く、アイリーンは何度も窮地に立つのですが、恋の力で何度だってはねのけていきます。ヒーローとヒロインのイチャイチャも多く、シリアス度と糖度は高め安定。

 悪役令嬢ものにおいて、ゲーム内ヒロイン(ゲーム内主人公)は、「実はこちらのほうがワルだった」パターンか、もしくは「小説主人公の親友や理解者になる」パターンがほとんどです(「はめふら」は後者)。ですが、『ラスボスを飼ってみました』のゲーム内ヒロイン・リリアはこのどちらでもあるというか、どちらでもないというか……とにかく強烈(誉め言葉)。巻を重ねるごとにアイリーンとリリアの関係が最高になっていくので、女性キャラクター同士の関係性が好きな人にもおすすめです。

アルバート家の令嬢は没落をご所望です

 貴族の令嬢メアリ・アルバートは始業式の最中、自分が前世でプレイしたゲーム「ドラ学」の「悪役」であることを思い出す。ゲームのメアリはゲーム内主人公への嫌がらせが原因で没落していく運命にある。メアリは従者のアディとともに没落を回避……しない! むしろ没落を目指して邁進(まいしん)していくのだが、事態は思わぬ方向に転がっていって……!?

 悪役令嬢もののお決まりである「破滅を回避」を逆手にとり、むしろ「没落を所望」するというストーリー。悪役令嬢ものは「なろう」内で生まれたジャンルで、「ランキング」という人気のバロメーターが存在するため、作品が相互に影響しあっています。「没落を回避する」方向の作品が“王道”になれば、そこからの意外性を狙うために今度は「あえて没落する(隠居する)」という方向性の作品が生まれてくるのです

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 メアリは行動こそ“悪役令嬢”ですが、実際はマイペースで風変わりで有能な縦ロールお嬢様。従者アディとのボケツッコミ会話を繰り広げながら、前世の記憶に従って没落を目指していきますが、むしろ「ヒロイン」に慕われてしまったり、糾弾してくるはずの「王子様」と信頼関係を築いてしまったり……と、どんどんゲームとは離れた展開になっていきます。基本はコメディ、時折ラブな香りが立ち上がるところにぐっときます。


 悪役令嬢ものの面白さは、「お決まり」があるからこそ、「そこからどう崩すか」に作家の個性が発揮されているところ。読めば読むほど「ほう、そう来ましたか……」と思わされます。

 そして「運命に立ち向かう」というベースや「前世の知識」といったアドバンテージがあるために、「かっこいいヒロイン(いわゆるイケメンヒロイン)」にたくさん出会えるのもよいです。ヒロインが行動を起こすたび、作中のキャラクターたちも、読者もヒロインに夢中になっていく。「おもしれー女じゃねーの」と言いたくなるようなヒロインがいっぱいです。

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