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静岡駅「幕の内弁当」(880円)~静岡の幕の内が“今川義元”掛け紙にリニューアル!

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【ライター望月の駅弁膝栗毛】(初出:2020年9月8日)


373系電車・特急「ふじかわ」、東海道本線・清水~興津間

静岡を発った特急「ふじかわ」号が、清見寺(せいけんじ)を横目に甲府を目指します。

清見寺は戦国大名・今川義元の軍師、太原雪斎が復興させた今川家ゆかりのお寺。

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雪斎は、義元と共に甲斐の武田信玄、相模の北条氏康との甲相駿三国同盟を提案し、戦国時代における、富士山周辺の和平に貢献しました。

静岡と甲府を結ぶ「ふじかわ」の旅では、最初のハイライトと言ってもいいでしょう。

(参考)静岡市ホームページほか、


駿府城公園(2019年撮影)

室町将軍家・足利氏の一門だった今川氏は暦応元(1338)年、駿河国守護に任じられた初代・範国から10代氏真まで、駿河に加え、最盛期は遠江、三河も領国としました。

拠点としていた今川館は、現在の駿府城公園の周辺にあったと考えられており、近年行われた駿府城公園の発掘調査でも、今川時代のものが見つかっています。

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昨年(2019年)には、今川義元公生誕500年に合わせ、今川復権まつりも行われました。


幕の内弁当

幕の内弁当

この「今川義元公生誕500年」の取り組みに合わせて、静岡駅弁「東海軒」の名物「幕の内弁当」(880円)の掛け紙が、令和2(2020)年4月3日から変わっています。

にらみを利かせた「今川義元公」のデザインを提供したのは、「駿河凧 凧八」。

伝統ある「駿河凧」は、義元公の勝ち戦を祝い、家臣たちがつくって凧を揚げたのが始まりと伝えられており、より静岡らしい駅弁の掛け紙となりました。


幕の内弁当

【おしながき】

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  • ご飯
  • 鯖の塩焼き
  • 蒲鉾
  • 玉子焼き
  • チキンカツ
  • 海老フライ
  • 煮物(鶏肉団子、筍、豚肉ほか)
  • 中華煮
  • うぐいす豆
  • わさび漬け
  • 桜漬け

幕の内弁当

10種以上のおかずをたっぷり楽しめる東海軒の「幕の内弁当」。

鯖の塩焼き、蒲鉾、玉子焼きの幕の内「三種の神器」が入った基本に忠実なつくりです。

中年以上なら、昔の“大垣夜行”で、深夜の静岡駅で買い求めた記憶も大きいですね。

とくに脂がのった鯖の塩焼きは白いご飯とよく合いますし、静岡らしい「わさび漬け」を少しずつおかずに付けてアレンジしながら、大人の味を楽しめるのも嬉しいものです。


以前の幕の内弁当(2018年撮影)

さて、リニューアルまで約30年にわたって使われた以前の掛け紙はというと……?

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菱の家紋が見えることからもわかる通り、何と! 武田信玄公でした。

東海軒によると、信玄公を選んだのは、当時大河ドラマで人気を集めており、担当者の方が清水市(現・清水区)出身で、清水は信玄公ともゆかりが深いことによるそう。

駿河・甲斐の隣接する地域では、今川・武田の双方の影響を受けたことが伺えます。


373系電車・特急「ふじかわ」、身延線・稲子~十島間

身延線に入った特急「ふじかわ」が、静岡県から山梨県に入って来ました。

富士川対岸の集落には、いまも「塩出(しょで)」という地名が残る、かつての甲駿国境。

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海が当たり前の駿河と海を渇望する甲斐の間には、江戸時代に富士川水運が開かれ、人やものの交流が盛んに行われることが、地域に穏やかな暮らしをもたらしてきました。

水運に取って代わった身延線を走る373系電車は、10月1日でデビュー25年。

この秋は、富士川を眺めながら、今川・武田の戦国武将に思いを馳せて、掛け紙がリニューアルされた静岡の幕の内弁当をいただいてみてはいかがでしょうか。

連載情報

ライター望月の駅弁膝栗毛

「駅弁」食べ歩き15年の放送作家が「1日1駅弁」ひたすら紹介!

著者:望月崇史

昭和50(1975)年、静岡県生まれ。早稲田大学在学中から、放送作家に。ラジオ番組をきっかけに始めた全国の駅弁食べ歩きは15年以上、およそ5000個!放送の合間に、ひたすら鉄道に乗り、駅弁を食して温泉に入る生活を送る。ニッポン放送「ライター望月の駅弁膝栗毛」における1日1駅弁のウェブサイト連載をはじめ、「鉄道のある旅」をテーマとした記事の連載を行っている。日本旅のペンクラブ理事。

駅弁ブログ・ライター望月の駅弁いい気分 https://ameblo.jp/ekiben-e-kibun/

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