「コロナで仕事ない」留学生(?)が手作りお菓子を路上販売する事案が全国で発生中 許可なき路上販売品は危険(1/4 ページ)
実際に購入した人、断った人を取材しました。
「私は留学生です。コロナウイルスの流行でアルバイトができません。生活費もなく困っているのでお菓子を売っています」――こうした声かけが全国各地で確認されています。「本当に困っているのでは?」「詐欺なのでは?」と意見が分かれる中、ねとらぼ編集部では声をかけられた人、実際にお菓子を購入した人にお話を聞きました。
どのような事案なのか
都市部の駅や大通りなどで、留学生を名乗る若者が声をかけてくる事案が、5月末ごろから東京、名古屋、大阪、兵庫、福岡など、全国各地で確認されています。
声かけのパターンはいくつか存在するものの、「すみません」と話しかけてから紙を見るように指示し、その紙には「留学生です。コロナウイルス仕事見つかりません。学費と生活のためにおやつを販売しています。ご協力ありがとうございます」「≪1個500円 2個1000円>」とつたない日本語が書いてある――という流れが基本。
こうした声掛けについてSNSなどでは、「何かの縁と思いいくつか買った」「こういう時はお互い様」「買ってあげた!頑張れ!!」といった報告が多数。中には詐欺を疑いながらも人助けの気持ちでお菓子を購入した人や、「お菓子はいらない」と断って現金だけを手渡している人もいるようです。
また同事案に遭遇したという人によると、自称留学生は「フィリピン」「ベトナム」「インドネシア」など様々な地域の出身を名乗っているものの、販売しているお菓子はほとんど同じ(ココアをまぶしたチョコレートの中にマシュマロが入っている)というのが特徴。
全国各地で様々な人種の人が前述の内容のメッセージカードを携帯しているということもあり、「『怪しい…』と思いその場は断って後で検索してみたら、同じ案件が出るわ出るわ。組織的な活動だろうね」「コロナを理解してるなら怪しい人から怪しい食物など受取れる訳ないと察して欲しい」「やっぱ詐欺なのかな」といった声も上がっています。
実際に買った人、断った人を取材
ねとらぼ編集部ではお菓子を購入した人、声を掛けられるも断った人、双方に取材し、当時の状況について詳しく聞きました。
――留学生に遭遇されたとのことですが、どういったシチュエーションで声をかけられましたか。
とろさん:関西地方の駅前で声をかけられました。大学や高校などが近くにある学生の多い街で、コンビニや飲食店、パチンコ店などが密集している場所です。
――当日の詳しい状況について教えてください。
とろさん:9月19日20時ごろ、駅の改札を出てすぐ、「すいません」と声をかけられました。振り向くと20代ぐらいの小柄で地味な印象の女性がいました。見た目は日本人と変わらない様子でしたが、イントネーションからアジア系の海外の方だと分かりました。
てっきり道でも聞かれるのだと思って目を合わせると、相手は無言で私にだけ見えるように厚紙で作ったカードを見せてきました。パソコン制作したカードで、内容は「私はベトナムからの留学生です。コロナウイルスの流行でアルバイトもできなくて生活費もなく困っているのでお菓子を売っています」というような内容で、黒い文字の周りには蛍光ペンでカラフルな縁取りなどがされていました。
――それからどうなりましたか。
とろさん:私が黙っていると彼女は「チョコレートです」と言って、持っていた紙袋の中から小袋を取り出しました。100均で売っているようなラッピング袋に、丸いものが数個入っているのが分かりました。少し考えてから「おいくらですか?」と尋ねると「500円です」とのことで、高いな……と思いましたが、値段まで聞いておいて買わないのは失礼だと思い、1つ購入しました。
――気になる点はありましたか。
とろさん:別れ際に「がんばってください」と声をかけると「ありがとうございます」と寂しげな笑顔で言われ、別の方向からも「ありがとうございます」と声が聞こえたのでそちらを向くと、少し離れた場所にもう一人女性がいました。その女性も同じく紙袋をさげていたのでこのときに初めて2人で売っていたことに気がつきました。
――お菓子はどのようなものでしたか。
とろさん:家に帰ってから袋を開けると、スーパーボール大のカラフルなアルミホイルで包まれた物が5個入っていました。中身は黒いテカテカしたボール状の濡れたお菓子で、「チョコレート」と聞いたはずなのに、チョコの茶色とはかけ離れた真っ黒の色で少し不気味に感じました。
でもあの留学生がなけなしのお金で材料を買って一生懸命作っている姿を想像し、最悪「食べてお腹を壊しても明日休みだからいいか……」と、勇気を出して一口かじってみました。ブラウニーの様な食感でナッツと白い何か(マシュマロ?)が入ったチョコ味のお菓子でした。
――召し上がってから体調は大丈夫でしたか。
とろさん:お菓子は一つ食べましたが今のところお腹は大丈夫です。ただ正直、おいしいとは言えないお味でしたし、あの暑い駅前でどれくらいの時間たっていたのかな……と考えると、衛生上怖くなり、残りは食べず「ごめんなさい」という気持ちでゴミ箱へ処分しました。
――その後、留学生を再び見かけたことなどはありますか。
とろさん:あの日以来、同じ駅前では彼女達に出会っていません。SNSを見てみると、私と同じように留学生からお菓子を買った方が他にも多くいる事を知りました。全国あちこちに、でもラッピングとお菓子が同じ……。詐欺ではないかと思いました。
同情心もありましたが、純粋な厚意の行いでした。私の働きの対価である給料の中から、「日本で頑張っている留学生の生活の足しになるなら」という想いで渡した500円でした。あの悲しげな笑顔も全部演技で嘘だったとしたら本当に悲しいです。人にはできるだけ親切にしようと心がけて生きてきましたが、ちょっと馬鹿らしく思えてきました。これからは道端で私に声をかけてくる知らない人は、全力で無視しようという位には心が荒んでいます。
続いてお話を伺ったのは声を掛けられるもお菓子の購入を断ったclearstreamさん。会話するうちに留学生の話す内容に違和感を覚えたといいます。
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