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30年前に「あのJR灰皿」を設計したレジェンドが突如降臨 「神か」「これは見たことなかった」ファン歓喜(2/3 ページ)

設計から30年、レジェンドに当時の思い出話を聞きました。

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強度とデザインを両立するようにこだわって設計「あの灰皿に思い入れがある人がいて……感動」

 永井さんに話を聞いてみると、この灰皿を設計した当時の思い出話をタップリ教えてくれました。


古めの鉄道車両内でたまに見られる「かつて灰皿が設置されていた」名残(注:永井さん設計の灰皿が設置されていた車両と同一ではありません)

── 懐かしがる人が続出しています! あらためて、この「JR東日本灰皿」はどんな経緯で設計することになったのでしょうか。

 当時、埼玉県にある建築金物会社の設計部に勤めていて、鉄道車両に使用する灰皿の製作依頼が会社に入りました。このとき設計部には上司と私しかおらず、上司がほかの仕事で手いっぱいだったため、「お前がやっておけ」と言われて設計を任されたのでした。

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こちらは別の、以前使われていた「JNR」のロゴが入った国鉄仕様の灰皿

── 当時の設計・開発時のご苦労、こだわりポイントがありましたら教えてください……!

 JR東日本灰皿は、従来の国鉄仕様灰皿を参考に改良版が欲しいとのことで、「ふた全体が開き、灰を掃除機で吸えること」「本体が回転し、灰や吸い殻を捨てられること」の仕様が求められました。

 可動部が多くなれば強度が弱くなりますし、構造も複雑になってコストもかかってしまいます。いかに部品点数を少なく作るかを考えました。

 自分はデザイナーではなく設計者ですが、やっぱりカッコいいものが好きなので、強度とデザインを両立できるようにこだわりました。自分なりには、フレーム枠と本体横の曲面がくっつくようにデザインしたこと、ぶつかってもなるべくケガがないように考えたことがこだわりです。

「本体と枠はアルミダイキャストで蓋は亜鉛ダイキャストでした」
「ぶつかった時になるべく怪我をしないようにと考えました」

 でもこの灰皿は完成して納品したら満足してしまい、タバコも吸っていなかったので、実はこれまであまり思い入れがなかったのですが……(笑)。

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 永井さんは最初に就職した会社で、営業先の町工場で働いている同じ歳くらいの若者を見て「これが働くってことだよ。今の俺は何してるんだ」と思ったことがモノづくりに携わるきっかけだったそうです。


(参考)昭和時代に製造された客車内の様子。このようなボックス席では両端、窓の下あたりに灰皿が備わっていた(写真:杉山淳一)

 Twitterを本格的に活用しはじめたのは、これまで通りの活動が思うようにできなくなった2020年3月ごろから。そこで製造業の若手やエンジニアの方たちとつながりができ、「誰でもいろいろな思いがある中、みんながんばっている。そして思うようにいかないこともたくさんあって悩んでいるんだ」と気が付いたといいます。

 ネットでも「国鉄(JNR)仕様は知っているが、“JR東日本仕様”なのは見たことなかった」「色で角ばったJNR版から色付きのJR東日本へと民営化で灰皿もずいぶんと変わったのですね」と共感した鉄道ファンをはじめ、「偉大な人がおった」「すごい職人さん見つけた」「あなたが神か」などと当時を思い出したり、モノづくりの姿勢に感動する人が多く見られました。

JR東日本灰皿はこのように付いていた「2005年12月のダイヤ改正で特急が全面禁煙になるまで現役でしたね」
イベントの部品即売会で入手し、自宅で保管しているという鉄道ファンも
「JR東日本灰皿」の使い方

 「自分が昔に設計したものが今でもファンの方たちで流通してるのをたまたま見かけて、衝動的に投稿してしまいました。あのころは自分も将来についていろいろ悩んでいた時期でした。仮にいま誰にも評価されていなくても、これは俺がやったんだという思いが大切だと思うんです」

 「やっぱり約30年が経過しても、いまだにあの灰皿に思い入れがある人がいて、大切に持っていらっしゃる方もいるのを知って感動しました。“スターウォーズに出てくるミレニアムファルコン号をいつか作れるモノづくりの会社にする”という当時の夢も思い出しました……。メガワークスは困ったときの街の加工屋さんです。(クルマ・バイク好きのプライベーター、DIYをする人なども、)加工や部材で困ったら気軽に問い合わせてくださいね」(永井さん)

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 鉄道の灰皿もかつては「あたり前」のモノでした。形あるモノには歴史や人それぞれの思い出が宿ったりもします。……そんなあの頃も思い出させてくれたレジェンドに感謝です。

大泉勝彦


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