持ち家と賃貸、結局どっちがいいの? それぞれのメリット・デメリットをFPが解説します(1/2 ページ)
お得さだけではない、選ぶのに大切な基準を知ることが大切です。
家を買うことは、人生の中でも大きな決断が伴うもの。その時に切っても切れないのが、自分だけの家を購入するか、それとも、このまま賃貸に住み続けるのがいいのか、という疑問です。ファイナンシャルプランナー資格を持つ筆者が解説します。
大城祐子(FPゆーこ)
マレーシア在住のバイリンガルFP。大学卒業後、NZ大手銀行に融資・保険担当として勤務後、金融リテラシー向上のため活動中。海外生活19年目で、2人の娘を持つ。好きな言葉は「なんくるないさ」。公式サイト/Twitter/YouTube
持ち家派、賃貸派、どっちが多い?
多様化する現代日本でも「持ち家で子育てをして老後を迎えたい」と希望する人は少なくありません。一方で、ライフスタイル、転勤や転職の可能性があるなどの理由で、同じ場所に縛られたくないという人も増えてきています。
2019年9月発表の総務省統計局のデータでは、日本の総住宅数は6240万7000戸。このうち、持ち家は61.2%、そして賃貸の割合は35.6%です。日本では長年、持ち家派の割合が大幅に賃貸派を大幅に上回っています。
持ち家と賃貸のメリット・デメリットは?
「持ち家と賃貸暮らし、結局どちらがいいのか?」。誰もが一度は考えたことがあるだろうこの疑問を、“お金”の部分から検証してみましょう。
まず、持ち家の1番のメリットは、住宅ローン完済後は資産になり、相続又は現金化する事が可能であること。このほか、住宅ローンの控除が受けられることも、長期的に見ればお得です。
1番のデメリットは、住み替えがしにくいこと。 また、ローン完済後も固定資産税などの維持費を払い続ける必要があるので、これらがかさんだ結果、「お金を払ってでも空き家を売りたい」という人も少なくないようです。
対して、賃貸の1番のメリットは、いつでも引っ越しができること。生活レベルにあった家賃の物件を選択できるため、急に生活状況が変化しても、ある程度の対応が可能です。
デメリットは、大家さんの都合で引っ越しを強いられたり、高齢などを理由に契約更新ができなかったりと、物件が気に入っていてもずっと住み続けらないことが挙げられます。
持ち家と賃貸、どっちがお得?
では、持ち家と賃貸、実際にかかる費用はどちらの方が大きいのでしょうか。
個人の生活水準、物件の立地・条件なども考慮に入れると、簡単に試算できない部分もありますが、以下のケースで想定してみましょう。
3930万円の中古マンションがあるとします。購入する場合は、35年フルローン、金利は1%です。同じ物件を賃貸で借りた場合、家賃は月14.6万円となります。この条件で50年間生活する場合の費用を、持ち家・賃貸でそれぞれ計算してみます。
持ち家の場合は、住宅ローン総額が約7174万円。固定資産税などの諸費用は、約1800万円になります。これらを合わせた支払い総額は、約8974万円です。
賃貸の場合の家賃総額は約8876万円。保険料などの諸費用は約450万円と成ります。 こちらの合計金額は、約9326万円です。
持ち家と賃貸を比較すると、賃貸が+約351万円で、「持ち家の方がお得」という結果になりました。
金額だけで見ると、「持ち家の方がいいんだ!」と考える人が多いかもしれませんが、この差額をどう感じるかは、「持ち家、賃貸のメリットデメリットをあなたがどう捉えるか」によって異なります。
財産としての持ち家に魅力を感じるのか、賃貸での自由さに重きを置くのか。人生における優先順位をしっかりと吟味することが大切です。
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