「気持ちが死んだら死ぬんだ」 山崎賢人×土屋太鳳、過酷な芸能界で“生き残る”ということ 「今際の国のアリス」インタビュー(1/2 ページ)
「生き残ってきたね」「また生き残って会おうね」。
芸能界という1つの世界を生き残ってきた――。5年ぶり4度目の共演という縁に恵まれ、再び同じ世界線で生きた山崎賢人さんと土屋太鳳さん。再会を“生き残った”という言葉で言い表す2人からは、めまぐるしい日々の中で孤独に戦い続けてきたことをうかがわせ、同時に、生き残ったが故の芯の強さが凝縮されているかのようです。
そんな2人がW主演を務めたのが、Netflixオリジナルシリーズ「今際の国のアリス」(12月10日から全世界同時配信)。麻生羽呂さんの人気コミックを原作とし、2019年公開の映画「キングダム」以来再び山崎さんとタッグを組んだ佐藤信介監督がメガホンを取った作品です。
同作は、人生に夢や生きがいを見いだせずあいまいに生きてきたアリス(山崎さん)と、どんな苦境でも生きる意味を探し続けるウサギ(土屋さん)が、突然放り込まれた謎の世界“今際の国”で信頼を築きながら、生き延びるために理不尽な現実に挑む姿を描いたもの。
“げぇむ”に勝たなければ生き残れない世界で、一人一人の生と死や人生といった部分の輪郭がくっきりと浮き出た作品ですが、2人は“生きる”こととどのように向き合ったのか。話を聞きました。
――「サバイバルゲーム」という題材で、“生”と“死”と対峙(たいじ)し葛藤する、アリスとウサギ。それぞれのキャラクターをどのように解釈して、演じるように心掛けましたか。
山崎: 最初は、「自分が生き残りたい」だったり、「友達を裏切ってでも生き残りたい」のような人間の本能に近い素直な感情を出すよう心掛けていました。それがだんだん周りに生かされる経験をしていくことで「自分よりも周りに生きてほしい、友達に生きてほしい」という感情がアリスの中に芽生えていく。
周りの人の命が失われた後で「もう二度と失いたくない」という感情になったときに、ウサギという大切な人と出会う。そこで「誰にも死んでほしくない」という気持ちを強く抱くようになっていって。そういう感情が成長していく変化を意識して演じていました。
そんな風にアリスを演じることで、自分自身も「極限状態に追い込まれたら、どういう風になるんだろう」とその都度考えて、それぞれの“げぇむ”に挑んでいましたね。
土屋: 「今際の国」という世界は、フィクションではあるけどリアル。私たちもオーディションを経てこうやってお仕事をさせていただいていますし、例えば、学生さんなら、受験のような受かるか落ちるかで人生を左右するような選択がありますよね。誰しもが、何かしらそういった2つの選択に翻弄(ほんろう)されながら、今ここにいるじゃないですか。そういった意味で、この世界は生きるか死ぬか、勝つか負けるか。その世界観には共感しながら撮影をしていました。
ウサギは父親を亡くしてから、生きる意味を見失っています。端から見たらすごく心が強い人のように見えますが、実際は自分の心の傷を隠しているだけで“折れやすい強さ”だと思うんです。
でも、アリスと出会って心がストレッチされて「やっぱり人と生きていくって大事なんだ、人を思うことって大事なんだ」という愛情にも似た感情にどんどん気が付いていく。そして、クライマーの父親から遺伝している、高い身体能力という“生きるスペック”を生かしていくところで、“愛情”と“スペック”が備わった姿で走っていけたらいいなと思いながら演じました。
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