越後湯沢駅「いくらたらこめし」(1100円)~駅弁屋さんの厨房ですよ!(vol.23「川岳軒」編(1))(1/12 ページ)
毎日1品、全国各地の名物駅弁を紹介! きょうは越後湯沢駅「いくらたらこめし」(1100円)です。
【ライター望月の駅弁膝栗毛】(初出:2020年12月28日)
上越国境の長い新清水トンネルを抜けて、上越線・長岡行の普通列車がやって来ました。
これぞ、正真正銘の“雪国”の世界!
小説の冒頭の“トンネル”は、左奥に見える「清水トンネル」で、現在は上り専用。
当時の技術の粋を集めて造られたこれらのトンネルは、平成29(2017)年度に「土木遺産」として認められ、小説では“信号所”として登場した土樽駅に記念のプレートがあります。
小説「雪國」の舞台となった新潟・湯沢。
その玄関口・越後湯沢駅が、いよいよスキーシーズンを迎えました。
駅弁ライター・望月崇史が全国の駅弁屋さんを訪問、駅弁の製造に密着し、トップの方にお話を伺う「駅弁屋さんの厨房ですよ!」、約10ヵ月ぶりの第23弾をお届けします。
今回は、越後湯沢駅の駅弁を手掛ける「川岳軒(せんがくけん)」です。
「川岳軒」は、越後湯沢から上越線の普通列車で1駅・石打(いしうち)駅前にあります。
コチラのウリは、何と言っても、ご飯にご当地・魚沼産コシヒカリを使った駅弁。
さっそく、私も越後湯沢に立ち寄る度にいただいてしまう、川岳軒の名物「いくらたらこめし」(1100円)の仕上げを見せていただきました。
まずは、わっぱ型容器にぎっしり詰まった、魚沼産コシヒカリがキラキラと輝いています。
ご飯の上にたらこ、いくらの順に、手際よく手作業で盛り付けていきます。
真ん中に、刻み海苔をパラパラっと振りかけたら、「いくらたらこめし」の出来上がり!
スグに紙蓋をして、風味をわっぱのなかに閉じ込めていきます。
越後湯沢の海鮮系駅弁のなかでは、随一の人気を誇るというコチラの駅弁。
「魚沼産コシヒカリ」との相性を第一に考えた構成なんだそうです。
蓋が閉じられたら、スリーブ式の包装を施し、割箸袋を挟んで完成。
石打駅前から国道17号を川岳軒のクルマで輸送し、越後湯沢駅の売店に陳列します。
越後湯沢駅の駅弁売り場は、改札を抜けた先に広がる「がんぎどおり」の正面ケースと、その隣にある駅そば・うどん店の「湯沢庵」で、どちらもSuica対応。
「湯沢庵」では、駅そばの食券販売機で購入するのが、チョット珍しいですね。
平成9(1997)年から平成27(2015)年までの18年間、上越新幹線と接続して、北陸へ向かう特急列車「はくたか」の始発駅としてにぎわった越後湯沢駅。
この乗り換えの際に、きっと手にした方も多いであろう「いくらたらこめし」。
2010年代に入って、掛け紙を紐で綴じるタイプから、スリーブ式の包装となりました。
いくらとたらこの写真が使われ、稲穂と鮭が描かれた鮮やかなパッケージとなっています。
【おしながき】
- 白飯(南魚沼塩沢産コシヒカリ)
- 秋鮭のいくら
- たらこ
- 椎茸煮
- 錦糸玉子
- 刻み海苔
- 香の物
ふたを開けた瞬間から、魚卵の赤と錦糸玉子の黄色の彩りのよさが目に入ってくる一方、フワッと刻み海苔の磯の香りが広がって、食欲をそそります。
うま味がぎっしり詰まった魚沼産コシヒカリの白いご飯と一緒にいただけば、いくらが大きくプチッ、たらこが小さくプチッと、口のなかではじけて、絶妙な味のハーモニー。
椎茸煮などでアクセントを付けて、最後のお米1粒まで残さずにいただきたい駅弁です。
冬場は越後湯沢で新幹線と接続して、越後中里~六日町間などでスキー利用者向けの臨時列車「スキーリレー号」も運行されている上越線。
この冬、アウトドアのスキー場は、“密になりにくい”レジャーとしても注目されています。
「駅弁屋さんの厨房ですよ!」第23弾・川岳軒編、次回からは、川岳軒の牧野晶社長に、上越線と共に歩んできた川岳軒の歴史やお米の話などを伺っていきます。
連載情報
ライター望月の駅弁膝栗毛
「駅弁」食べ歩き15年の放送作家が「1日1駅弁」ひたすら紹介!
著者:望月崇史
昭和50(1975)年、静岡県生まれ。早稲田大学在学中から、放送作家に。ラジオ番組をきっかけに始めた全国の駅弁食べ歩きは15年以上、およそ5000個!放送の合間に、ひたすら鉄道に乗り、駅弁を食して温泉に入る生活を送る。ニッポン放送「ライター望月の駅弁膝栗毛」における1日1駅弁のウェブサイト連載をはじめ、「鉄道のある旅」をテーマとした記事の連載を行っている。日本旅のペンクラブ理事。
駅弁ブログ・ライター望月の駅弁いい気分 https://ameblo.jp/ekiben-e-kibun/
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