インタビュー

「飼育放棄の約7割が“飼い主の高齢化”」「保護犬・猫を悪用したビジネスも」 ペットブームに潜む犬猫たちの現実(2/3 ページ)

ペットを取り巻く現状を取材しました。

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保護猫・保護犬たちの“里親制度”を悪用する団体に注意

――最近は、「保護猫、保護犬を迎えよう」という風潮も高まっていますが。

 それはすごくよいことだと思っています。一部のペットショップなどとつながるパピーミル(無理な繁殖を行う業者)が認知されるようになり、悪質なペットショップでの不買運動が行われた結果ではないでしょうか。ただ、最近は里親を募集している団体にもいろいろなところがあるので、注意して選んでもらいたいですね。

――どういうことでしょうか?

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 保護した犬猫の里親募集をしているように見せて、実は無理な繁殖を行うブリーダーや業者と繋がっているところがあると私どもでは認識しています。商品にならない犬猫や、引退させた繁殖犬・猫を業者やブリーダーから引き取り、「保護しました、里親募集しています」と掲載します。そして里親希望者に有料で譲渡するんです。

 業者やブリーダーは商品にならない犬猫を引き取ってもらえて、団体は業者やブリーダーから支払われた引き取り料と、里親からもらった譲渡料が手に入る。「保護犬、保護猫を引き取りたい」という人の善意を利用したビジネスになっている団体が見受けられます。

――悪質ですね……。どうやってそのような団体を見分ければいいでしょうか?

 そうですね……。一概には言えませんが、里親になる際に「このフードをこの値段で3年間定期購入してください」「ペット保険は必ずこれに入ってください」という不思議な縛りがあって、額面もおかしいぞ、というところは要注意です。

 また、「子犬を保護しました」とwebサイトに掲載された際に、同じ犬種で同じ年齢、家族と思われる似たような顔の子たちが何匹も並んでいるところは要注意ですね。ブリーダーとつながっている団体は、犬種を絞ってブリーダーから兄弟や家族をいっぺんに引き取るところが多い傾向です。

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 サイトに堂々と「ブリーダー募集」と掲載しているようなところも注意が必要です。1つの命を救う、という意味では同じかもしれませんが、そういう団体と関わることは動物虐待への加担にもつながりますので、気を付けていただきたいですね。

8歳以上は里親希望が激減。最も里親が必要なのはシニアの犬猫たち

――みなしご救援隊の犬猫たちは、どれぐらいの割合で里親が決まるのでしょうか?

 1歳未満の子犬・子猫でしたら100%決まります。ここ1年はコロナ禍で「寂しくてペットを飼ったけど、飼い続けることができない」という人が多いので子犬や子猫の引き取り保護がうちでも増えていますが、里親希望者も増えており、子犬・子猫1匹に40~50人の応募者がいる状態です。

 ただ、8歳以上になると里親が決まる確率ががくんと下がります。8歳、10歳、12歳、15歳で壁がありますね。12歳でも特に人懐っこい子でしつけがしっかりされていると決まることもありますが、15歳以上だとほぼ決まることなく、センターで一生を終えていく子たちがほとんどです。

 金銭的負担がとても大きいので、「シニア犬猫は引き取りません」という団体もありますが……団体が立ち行かなくなっては犬猫たちも保護できなくなるので、それも仕方がないと思います。うちは諦めたくないので、シニア犬猫も引き取り、ボランティアさんにも協力してもらって里親募集をしています。

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保護直後、「元飼い主の家に帰りたい」と入口に座り込んでいたシェリーちゃん
8歳のフレンチブルドック、ブーくん。飼い主が行方不明で保護。下半身不随。虐待が原因で人間不信だが、最近はカラーをとって遊べるようになってきた。里親募集中(東京支部)

――シニアの犬猫たちがもっとも里親を必要としているんですね。

 シニアの犬猫たちは環境の変化に弱く、センターでストレスを抱えて過ごすことは体にも心にもよくありません。一番ケアと愛情を必要としていることを、知ってほしいですね。日本ではどうしても「子犬・子猫を飼いたい」という固定概念が強いですが、シニア犬猫は人間にとってもメリットがあるんです。「お留守番が上手」「体力が子犬ほどないので無駄吠えしない(犬)」「お散歩が少なくてよい(犬)」「寝ていることが多いため静か」など、そういった子たちの方が自分のライフスタイルに合っているという人も多いのではないでしょうか?

 特に、うちにいる子たちは一般家庭から保護された子たちなので、人慣れしていてしつけもきちんとされている子がほとんどです。ぜひ「シニア犬猫の里親に」という人が増えてほしいですね。

東京支部にいた15歳のマリさんは、梅沢富美男さんが里親に

――8歳以上は里親決定が厳しいとなると、団体の運営は大変なのではないでしょうか。

 広島・東京の3拠点で現在150匹前後の犬猫を保護していて、毎月最低限の諸経費で220万円~250万円かかっています。実は毎月50万円ほどの赤字なんですが、役員たちが個人で寄付して補填している状況です。行政からの補助金などは無いため、引き取り保護する際の寄付や、支援者の方々の寄付でなんとかやっております。

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 悲しいですが、お金がないと、犬猫の命を守る活動はできません。賛同していただける方にはぜひご寄付や物品の援助、ボランティアでの参加をお願いしたいです。

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