そもそも「列車」って何? 1両編成でもなぜ「列」車なのか、実は奥が深い単語です
ディーゼル車なのに「電車」というとシュバッと怒られちゃいますし。
「列車」と聞いて、皆さんは何を想像されるでしょうか。
ひょっとすると人によって列車の定義がバラバラかもしれません。今回は「列車の定義」をあらためて確かめていきましょう。
国土交通省令によると、列車は「停車場外の線路を運転させる目的で組成された車両をいう」と定義されています。
ここで大切なことは「車両」と「列車」は違うということです。簡単に書くと、人や物を載せるものは車両。車両を連結した上で停車場外の線路を走るのが列車ということになります。「停車場」もまた聞き慣れない言葉ですが、ここでは駅だと思ってOKです。
それでは車両を連結して線路を走れば一人前の列車なのかというと、そうではありません。定められたルールを守らないと半人前の列車です。
国土交通省令では列車の組成に関して、安全運転のために一定のルールを定めています。ざっくり書くと以下の通りです。
- 動力装置があること
- 列車の重量や長さは列車ごとに定められている値を超えてはいけない
- 運転士の操作により連結した全車両に一斉にブレーキがかかること
- 連結した車両が離れた場合は自動的にブレーキがかかる完全なブレーキ装置を持つこと
- 前照灯や尾灯といった列車標識があること
- 乗務員が乗っていること
- 運転台は最前部に設置すること
- 原則として運転時刻が事前に定められていること
例外はありますが、このルールを守ってはじめて「一人前の列車」になれます。ルールの範囲にあれば、1両編成であっても立派な列車です。
現在の列車は使命や輸送目的により4タイプに分類できます。
- 旅客列車:人の輸送を目的とする列車
- 貨物列車:貨物の輸送を目的とする列車
- 単行機関車列車:機関車の単独回送列車
- 特殊列車:営業用でない列車(試運転列車や工事列車)
ちなみに回送列車は何になるかというと「旅客列車」です。ともあれ「列車にもいろいろ種類がある」のですね。
電車と列車、微妙な言い換えなどもまた別の機会に。鉄道に限らず「知っているはず」という単語もあらためて調べるとなかなか興味深いものです。そこから意外な世界が広がるかもしれませんよ。
新田浩之(にったひろし)
1987年神戸市生まれ。関西大学文学部卒、神戸大学大学院国際文化学研究科修了。主に鉄道と中欧、東欧、ロシアの旅行に関する記事を執筆。2018年からチェコ政府観光局公認の「チェコ親善アンバサダー2018」を務める
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