日本・サウジアラビア合作のアニメ映画「ジャーニー」レビュー バーフバリ的な大戦闘と古谷徹と神谷浩史の関係性でご飯何杯でもいけた(1/3 ページ)
これがアラブのエンターテインメントか。
6月25日から、日本・サウジアラビア合作のアニメ映画「ジャーニー 太古アラビア半島での奇跡と戦いの物語」が新宿バルト9と梅田ブルク7で公開されている。
どこかのアメコミ映画で見たような「日本人よ、これがアラブのエンターテインメントだ」(予告編は黒田崇矢ボイス)という挑発的なキャッチコピーが付けられているが、本編を鑑賞してみれば、その自信のほどにも納得できた。
作画や物語の質は高く、なおかつ独自の要素も盛りだくさんの、圧倒的な娯楽性を誇る内容に仕上がっていたのだ。具体的な作品の魅力を記していこう。
古谷徹と神谷浩史の関係性で飯がどんぶりで食える
本作の大筋は「戦士たちが侵略者に立ち向う」というシンプルなものだ。大勢の軍隊がぶつかり合い、お互いの軍勢の中から強者を選び戦うという「代表戦」も展開し、かわいいゾウさんまでもがバトルに参加する。このスケールの大きさと娯楽性の高さは、日本でも熱狂的な支持を得たインド映画「バーフバリ」を思い出す方も多いのではないだろうか。
もちろん、ヒロイックな主人公も活躍する。日本の観客にとって大きな目玉となるのは、その声を務めているのが「名探偵コナン」の安室透役などでおなじみの古谷徹ということ。元より特徴のある声が、確かな信念を持ち戦いに挑む一方で、その内面には迷いや弱さをも見せる複雑な役柄にとても合っていた。
そして、その古谷徹ボイスの実直な青年の、ライバル的存在のニヒルな傭兵を演じるのが神谷浩史である。彼はキレイゴトが嫌いであり、初めは思想を巡って主人公と対立する。しかし、実は共に過酷な少年時代を過ごした過去があることも分かり、ツンツンしているように見えて「コイツ……本当は久しぶりに幼馴染の親友に再会できて喜んでいるんだろう……!」とジワジワと思えるようになっているのだ。
筆者はここで「ライバルキャラがなんだかんだ言っても共闘して、肝心な時に助けてくれるやつだ」と思い始め、さらに物語が進むと「これをおかずにしてご飯何杯でもいけるな」となり、心の中で炊飯器のスイッチを押した。その予想は完全に当たっていた。「バーフバリ」的要素だけでもお腹いっぱいになれたのに、別腹で「どんぶりでいける! 何十杯でもいけるぞ!」という展開が雨あられのように待ち受けていたのである。
古谷徹と神谷浩史のファンが必見なのは言うまでもなく、「お互いに憎からず思っている」関係性に萌えられる人は明日地球が終わろうとも見るべき1本だ。
また、主人公は表向きは「愚直」なまでに真っすぐでブレないキャラだ。彼を批判するライバルキャラがいなければ、その複雑な内面の多くは伝わらなかっただろう。関係性萌えだけに止まらない、作劇上も重要なキャラクターを作り上げていることを称賛したい。
超豪華キャストと最強レベルのスタッフたちのタッグ
古谷徹と神谷浩史の他のキャストも、中村悠一、中井和哉、三石琴乃、麦人など、日本の声優界のアベンジャーズじゃないかと思うほどの豪華さで、耳が幸せK点越えである。特に黒田崇矢の悪役はカリスマ性がありすぎて秒で服従したくなる。公式サイトでの掲載はないが、小太りで親しみやすいキャラに川田紳司がバッチリハマっているのもうれしい。各声優のファンが見ても、きっと満腹になれるだろう。
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