連載

プリキュアが歌い出した日 Perfumeの振付師MIKIKO先生が手掛けた「ドキドキ!プリキュアEDダンス」の衝撃サラリーマン、プリキュアを語る(2/4 ページ)

個人的には「ハピネスチャージプリキュア!」の前期ED「プリキュア・メモリ」も大好きなエンディングです。

advertisement
※本記事はアフィリエイトプログラムによる収益を得ています

プリキュアエンディングダンスの歴史

 プリキュアエンディングダンスは、今やプリキュアの代名詞ともいえる存在となりました。少しその歴史を見てみます。

 プリキュアのエンディングダンスが3DCGとなったのは2009年「フレッシュプリキュア!」から。当時はまだCGで動かすのは「ロボットなど無機質なもの」が主流で「女の子をかわいくCGで動かす」のは難しいといわれていた時代です(プリキュアのエンディングダンスもそれまでは「手描き」でした)。

 そんな中「フレッシュプリキュア!」のエンディングは世界に衝撃を与えました。3DCGのプリキュアがテレビの中でまさに「踊り出した」のです。

advertisement

プリキュア3DCGダンスエンディングは「フレッシュプリキュア!」から始まった(画像はAmazon.co.jpから)

 そのセルルックCG表現の完成度とかわいさ、ダンスのキュートさは子どもだけでなく大人さらには3DCG業界にも大きな影響を与えます。

 なんと前期EDの「You make me happy!」はモデリング開始から納品まで1カ月半というタイトな製作期間だったそうです。(出典:『プリキュア10周年公式アニバーサリーブック』東映アニメーション)。髪などの「揺れ物」も手作業で付けられていたとのことです。

 初期のプリキュアエンディングダンスは、前田健さんが振り付けを担当されました。モンキーダンスを取り入れるなど「子どもにも踊りやすいキャッチーな動き」を意識していた、と言います。

 このプリキュアエンディングダンスはキャラクターショーなどでも定番となり、子どもたちとプリキュアを近づける大きな発明にもなったのです。イベントではニッコニコで踊る子どもたちの姿が見られました。

 前田さんは「フレッシュプリキュア!」「ハートキャッチプリキュア!」「スイートプリキュア♪」「スマイルプリキュア!」の4シリーズ8作品の振り付けを手掛け「プリキュアエンディングダンスといえば、前田健」を定着させます。

advertisement

前田健さんの代表作の1つスマイルプリキュア!「イェイ!イェイ!イェイ!」(画像はAmazon.co.jpから)

 その「プリキュアエンディングダンス」に新しい風を吹き込んだのがMIKIKO先生です。MIKIKO先生の「曲の世界観を可視化する振り付け」が、急速に進化するCG表現と融合します。「指先の表現」や「歌う表情」までもがCGで表現され一気にリッチな絵作りとなり、より精度の高いダンスが表現されました。

 2010年代後半になると、プリキュアに加え「アイカツ!」や「プリパラ」といった女児向けアニメ、「ラブライブ!」などのアイドルアニメ、アイドルマスターといったゲームなどでも3DCG技術の競い合いが起こります。加速度的に「かわいい女の子が躍るCGダンス」の表現の幅が広がっていた時代でもありました。


年々進化し続けるプリキュアの3DCG(画像はYouTubeから)

 MIKIKO先生へと受け継がれたプリキュアエンディングダンスの振り付けは、原ななえさん、振付稼業air:man、CRE8BOYといったアイドル、アーティストの振り付けの第一線で活躍する振付師が担当し、プリキュアダンスの表現の幅が広がっていきます。その根底には「小さな子どもたちにも踊りやすいダンス」が徹底されているのです。

 そのダンス表現を支える3DCGも、毎回のように新しい技術が導入されます。

 「魔法つかいプリキュア!」の後期エンディング「魔法アラ・ドーモ」ではゲームエンジン「Unity」が活用されたり、「ヒーリングっど プリキュア」の後期ED「エビバディ☆ヒーリングッデイ!」ではシリーズ初のUnreal Engine 4によるリアルタイムCGによって仕上げられるなど、日々その表現方法も進化しているのです。

advertisement

 ただ、プリキュアのエンディングダンスは3DCGだからといって手描きアニメより楽に動かせる訳ではなく、(近年では髪の揺れなどはある程度自動化されているとはいえ)最終的には人間の手による地道な調整作業により仕上げられていることも忘れてはいけません。


CG専門誌でも取り上げられるプリキュアの3DCG(画像はAmazon.co.jpから)

 大学や専門学校の講義などで「3DCG進化の歴史」を教えるときにも「プリキュアエンディングダンス」が利用されているとも言われています。

 楽曲、振り付け、3DCGが融合し進化し続けるプリキュアエンディングダンス。

 この先、僕たちにどんな世界をみせてくれるのでしょうか。楽しみですよね。

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

記事ランキング

  1. 猫だと思って保護→2年後…… すっかり“別の生き物”に成長した元ボス猫に「フォルムが本当に可愛い」「抱きしめたい」
  2. 「やはり……」 MVP受賞の大谷翔平、会見中の“仕草”に心配の声も 「真美子さんの視線」「動かしてない」
  3. 海で“謎の白い漂流物”を発見、すくいあげてみると…… 2億1000万再生された結末に「本当によかった」「ありがとう」【チュニジア】
  4. スーパーで売っていた半額のひん死カニを水槽に入れて半年後…… 愛情を感じる結末に「不覚にも泣いてしまいました」
  5. 難問の積分計算をホワイトボードに書き置きしておいたら……? 理系大学での出来事に「かっこいい」「数字でつながる感じいいな」の声 投稿者にその後を聞いた
  6. 「うおおおおお懐かしい!!」 ハードオフに3300円で売っていた“驚きの商品”が140万表示 「ガチのレアモンや……」
  7. 夫妻が41年ぶりに東京ディズニーランドへ→“同じ場所”での写真撮影時に「キャストの粋なサポート」明かす
  8. ワゴンに積まれていた“980円の激安デジカメ”→使ってみると…… まさかの仕上がりに「お得感がすごい」
  9. 「大企業の本気を見た」 明治のアイスにSNSで“改善点”指摘→8カ月後まさかの展開に “神対応”の理由を聞いた
  10. カマキリを操る寄生虫「ハリガネムシ」食べてみた 未知すぎる“衝撃的な内容”に震撼 「正気を疑う」「鳥肌立ったわ」