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殺し屋女子2人vsヤクザ 日常系アサシン映画「ベイビーわるきゅーれ」レビュー(1/3 ページ)

アクションとだるっだるな日常のコントラストがすごい。

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 映画「ベイビーわるきゅーれ」が7月30日から公開されている。本作は「殺し屋の女の子2人の青春物語」としてとっても楽しく、かつ本格的かつスピーディーなアクション描写に圧倒される、アクションコメディーの快作だ。具体的な魅力についてレビューしていこう。

(C)2021「ベイビーわるきゅーれ」製作委員会
「ベイビーわるきゅーれ」予告編

「ジョン・ウィック」や「リベリオン」を思わせるハイスピードアクション!

 殺し屋の「ちさと」と「まひろ」は高校卒業を機に、オモテの顔として社会人をしなければならなくなる。2人は組織からルームシェアを命じられるが、人殺し以外は何もしてこなかった彼女たちはバイトもままならず、2人の仲も徐々に険悪になっていく。そんな中でも殺し屋の仕事は忙しく、ヤクザから恨みを買って面倒な事件に巻き込まれ……というのがあらすじだ。

(C)2021「ベイビーわるきゅーれ」製作委員会

 本作最大の見どころは、なんといっても日常描写とギャップのあるハイスピードアクションだ。「ジョン・ウィック」や「リベリオン」を思わせる格闘術と拳銃を組み合わせた見せ場の数々。それを一見きゃしゃな女の子2人が繰り出すので「すげえ!」と大興奮できることだろう。とぼけた会話から突発的に拳銃をぶっ放すのも緊張感へとつながっていた。

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 また、アクション監督の園村健介は、映画「GANTZ」や「図書館戦争」などのアクションコーディーネーターの他、ゲーム「メタルギア ライジング リベンジェンス」では殺陣師と監修を手掛ける超実力派だ。「すごい邦画アクションを見られた」満足感はきっと得られるだろう。

(C)2021「ベイビーわるきゅーれ」製作委員会

高石あかりと伊澤彩織という名前を覚えて帰ってね!

 とにかく、主人公2人を演じた、高石あかり伊澤彩織という名前を覚えて帰ってね! と訴えたい。

※高石あかりの高は、はしごだかが正式表記

 高石あかりは舞台版「鬼滅の刃」で竈門禰豆子を演じた後にも話題の舞台に続々と出演しており、伊澤彩織は上映中の映画「るろうに剣心 最終章 The Final/The Beginning」や10月22日公開予定の映画「G.I.ジョー:漆黒のスネークアイズ」でメインキャストのスタントダブルを担当した現役のスタントウーマンだ。

(C)2021「ベイビーわるきゅーれ」製作委員会

 実は2人とも映画初主演なのだが、2人ともそれぞれタイプの違う「普段はやる気がないがいざとなる殺(や)る気満々の女の子」を演じるに当たってベストを尽くしたことは間違いない。現実ではあり得ない役柄なのに、「この世のどこかに本当にいるかも」と思わせる実在感があったのだから。言うまでもなく、アクションがキレッキレなのも彼女たちの身体能力と努力のたまもの。この2人があってこその映画であり、見れば確実にファンになるだろう。

 その他、本宮泰風が「今の発言は女性差別だ。今の時代は多様性だ!」などと主張するキャラの濃すぎるヤクザの組長を楽しそうに演じていて、「メイド喫茶」のシーンはもはや脳にこびりつくほどのインパクトを与えてくれる。

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 そして、俳優であり殺陣師の三元雅芸と伊澤彩織のタイマンバトルは「瞬きするのも惜しい」ほどの本作の白眉となっていた。こうした実力派の俳優たちが、自分たちの持ち味を生かし、最高のハマり役として映画の中で息づいているのを見られるのもうれしいところだ。

(C)2021「ベイビーわるきゅーれ」製作委員会

2人の「だるっだる」な日常が楽しい

 アクションとのギャップでこれまた楽しいのが日常パートである。

 とにかく、オープニングである「コンビニでの面接」のシークエンスから面白い。具体的な展開は秘密にしておくが、ここの会話で主人公の1人であるまひろのコミュ障ぶり、いや社会不適合者っぷりがよく分かり、なおかつ予測不能の驚きの展開が訪れるからだ。キャラの特徴を描きつつも見せ場を用意する「ツカミ」としても秀逸だった。

 その後の内容と言えば、良い意味で「だるっだる」な殺し屋の女の子2人の日常を映していく。だが全く飽きることがないのは、会話の軽妙さのおかげだ。例えば「ああいうの(飲食店のアルバイト)やりたくないからさ、殺し屋やってんのにさー」だとか「殺し屋のこと、クルーって呼ぶのをやめてよ、マックのバイトみたい」だとか、殺人という最も重い罪を犯しているはずの彼女たちの、会話の端々に見えるやさぐれ感というか、気だるさが何とも言えないおかしみに満ちていて愛おしいのだ。

(C)2021「ベイビーわるきゅーれ」製作委員会

 「野原ひろしの名言(実はデマ)」「午後の紅茶を午前に飲んじゃったとか言いそう」「私が『ジョジョ』を好きだって前提で話してくるんだよ」など、サブカルネタが妙にあるのも楽しい。果ては「おでんを食べながらグチを言い合う」だけで面白いのだから、何だかズルい。

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「社会になじめない」人たちへのエールかも?

 これまで見てきたように、主人公2人はだるっだるの日常を過ごしているダメ人間だが、だからこそ感情移入ができるという人も多いだろう。

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