西九州新幹線の最高速度、開通後の時短効果は? もしかして料金が高くなってしまうのでは……?:月刊乗り鉄話題(2021年8月版) 「西九州新幹線」の素朴な疑問11選(2)(1/2 ページ)
開通でどのくらい時短効果がありそう? 料金は高くなってしまうのでは……?。2022年秋開業、西九州新幹線の「?」を解消する素朴な疑問まとめ、2回目です。
2022年秋に開業する「西九州新幹線」。楽しみですが、いろいろ「?」なこともあります。前回は西九州新幹線が通る場所、路線名・列車名についての疑問を解説しました。今回は「最高速度」「時短効果」「料金」の疑問を解説します。
目次
- 【疑問 1】 西九州新幹線はどこにできるの? どこを通るの?
- 【疑問 2】 「長崎新幹線」じゃダメだったの?
- 【疑問 3】 どんな電車が走るの?
- 【疑問 4】 列車名は何になるの?
- 【疑問 5】 最高速度は?
- 【疑問 6】 開通で所要時間はどれだけ短縮される?
- 【疑問 7】 料金は高くなる?
- 【疑問 8】 沿線の見どころは?
- 【疑問 9】 周辺の鉄道はどうなるの?
- 【疑問 10】 ところで西九州新幹線って「開業区間が中途半端」じゃないですか?
- 【疑問 11】 もし、新鳥栖~武雄温泉間もフル規格で開通したらどうなる?
【疑問 5】西九州新幹線の最高速度は?
2021年8月現在、西九州新幹線の最高速度における正式な発表はありません。
N700Sは最高運転速度として時速300キロ超で走行できます。しかし、いまのところ西九州新幹線は「時速260キロ」と考えられます。理由は、全国新幹線鉄道整備法で取り決められているからです。路線の最高速度は車両の性能だけでは決まりません。
時速260キロの根拠は騒音問題です。西九州新幹線はトンネル区間が多い路線。トンネルの出入り口を通過するときの衝撃波や走行時の騒音が沿線の基準値を下回る必要があります。この騒音対策にはお金がかかります。そこで、建設費を抑制するため、時速260キロを前提とした設備で建設予算が組まれます。西九州新幹線も同様です。
もちろん、将来的にはもっと速度が上がる可能性はあります。北海道新幹線で建設中の新函館北斗~札幌間では、JR北海道が追加の防音設備対策費を負担する条件で「最高時速320キロに変更したい」と要請しています。国土交通大臣は「2019年度と2020年度の経営改善の成果を見て検討する」と回答しており、こちらはそろそろ何らかの動きがありそうです。
東北新幹線の盛岡~新青森間も「整備新幹線規格」で設計されていますが、JR東日本は既に「最高速度を時速320キロに引き上げる」ための高速化工事に着手しています(関連記事)。こちらも追加の防音設備工事費用をJR東日本が負担。最高速度は時速260キロから時速320キロになる予定です。
西九州新幹線も、JR九州が追加の防音設備工事費を負担すれば最高速度を上げられます。しかし、路線距離が約67キロと短く、最高速度で走行できる距離も短くなります。追加工事費と所要時間短縮のバランスを考えると時速260キロのままでしょう。
【疑問 6】西九州新幹線の開通で所要時間はどれだけ短縮される?
西九州新幹線、武雄温泉~長崎間の所要時間は「約30分」と試算されています。
この区間は2021年現在、肥前山口駅で特急を乗り継いで約1時間30分、各駅停車などを2回乗り換えて約1時間50分かかります。西九州新幹線の開業で「所要時間は3分の1」と大幅な短縮になります。武雄温泉駅は現在の特急「かもめ」のルート上ではないため、武雄温泉~長崎間は乗り換えが必要で、乗り継ぎはかなり不便でした。
博多~長崎間の所要時間は武雄温泉駅の対面乗り換えで「約1時間22分」です。
現在は「特急かもめ」で博多~長崎間の乗り換えなしだと1時間50分~2時間。博多~新鳥栖間を「九州新幹線」、新鳥栖で「特急かもめ」に乗り換えても所要時間はほぼ同じです。所要時間は「約30分~40分の短縮」となります。
新大阪~長崎間は最短で「4時間」です。
現在は山陽新幹線から博多乗り換えで「特急かもめ」に乗り継いで約4時間50分。新大阪~新鳥栖まで新幹線に乗り、新鳥栖で「特急かもめ」に乗り換えてもほぼ同じです。所要時間は「約50分の短縮」となります。
新幹線に置き換わる区間は同じですが、新ルートは最短時間。現行ルートは時刻表通りですから、乗り継ぎ時間の長さが影響しているようです。スピードだけではなく、乗り継ぎも改善されると期待できます。
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