「一週間後に車にひかれて死ぬ」 災難を予知して他人に移せる少女と死を予言された少年、2人の選択描いた漫画が刺さる(1/2 ページ)
誰かを身代わりにして災難を逃れられるとしたら?
他人の災難を予知でき、しかもその災難を別の人間に移せる――そんな不思議な力を持つ少女の漫画「ぷれぃ。」が、ぐっと心に刺さってきます。作者は中るさん。
クラスメイトの木下さんに呼び出された松永君。彼女は、松永君が1週間後に車にひかれて死ぬと告げます。彼女には、災難に遭う人を予知し、その災難を別の人に“飛ばす”力があるというのです。
そんな突拍子もない話をにわかには信じられない松永君。木下さんは、いじめられているのをただ一人かばってくれたのが松永君だから、助けたいのだと話します。信じてほしいという木下さんは、明日松永君の友達が熱中症で倒れると予言を残して去ります。
その予言が当たり、木下さんの力を信じ始める松永君。もし本当に事故に遭うなら、それをモノに飛ばせばいいのではと提案しますが、木下さんもそれは過去に実験済み。災難は人間にしか飛ばせないのです。自分が親に頼らず生きられれば、自分を殴る母親を代わりに殺して松永君を助けられるのに――そう言いつのる木下さんに、松永君は「決めた」と告げます。
死の運命を誰に飛ばすか、誰を殺すか。そう問われた彼の答えは「誰も殺さない」「自分の運命を受け入れる」。木下さんに「二度と親を……人を殺すなんて考えんなよ」と最後のお願いを伝えて、彼女と別れます。そして半信半疑で迎えた当日、松永君は――。
「松永くんが死んだら私も生きていけない」。学校ではいじめられ、親からは虐待されている木下さんにとって、松永君は唯一のよりどころだったのでしょう。彼を助けたいという必死の思いが彼女に下させた決断には、理解はできてもやるせない思いが残ります。松永君は彼女の願いを継いだようにも見え、囚われたようにも見え……そのどちらなのか、読み終わったあとも考えてしまいます。
作品提供:中るさん
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