なぜ、「奈良県」にはJR定期特急列車が走らないのか（1/2 ページ）

　新幹線や特急列車は、旅行や出張、里帰り……普段とはちょっと違う日の特別感を華麗に演出し、思い出として残る、それは便利で楽しい乗りものです。これらの列車は全国を駆けめぐり、私たちの生活を豊かにしてくれています。

　しかし2021年8月現在、本州で新幹線ならびにJR定期特急列車が走らない都道府県が1つだけあります。それが奈良県です。今回は奈良県に特急列車が設定されない理由、背景と「その後の期待」をひもといていきましょう。

なぜ奈良県に定期特急列車が設定されないのか

　まずは奈良県を走るJR線を確認してみましょう。

　奈良の中心駅、奈良駅には「関西本線（大和路線）」「奈良線」「桜井線（万葉まほろば線）」が乗り入れます。関西本線（大和路線）は大阪と奈良を結ぶ主要路線の1つであり、「大和路快速」を中心に快速列車がたくさん運行しています。

　その一方で、奈良以東は本数が減り、加茂～亀山間の日中時間帯のダイヤは普通のみの1時間間隔になります（2021年8月現在、以下同）。

　JR奈良線はと木津駅（京都府木津川市）を起点、京都駅を終点とする路線です。この正式に定められた区間では「奈良線という路線名なのに、奈良県を通らない」といったトリビアもありますが、実利用においてはそうではありません。ほとんどの列車は木津駅の先の奈良駅まで乗り入れます。奈良線には「みやこ路快速」も設定され、京都～奈良間を約45分で結びます。

　桜井線（万葉まほろば線）は天理、桜井、高田方面へ向かう地域輸送がメインの路線です。高田駅から和歌山線へ乗り入れます。