「何もかも昔と変わらない故郷」で再会した3人の若者 どこか様子がおかしい“帰郷”を描く漫画に引き込まれる(1/2 ページ)
最後まで読んだ後、もう一度読み返したくなる作品。
友人と再会するために帰ってきた故郷は、あの頃と何もかも同じで――。漫画「帰郷」が、ノスタルジックなムードだけでは終わらない、スケールの大きい話で味わい深いです。
就職や結婚で離ればなれになっていた、学生時代の仲間たち3人組が久々に再会。懐かしい故郷の町で旧交を温めます。
「これから3年赴任」などと近況を話しながら歩いているうちに、かつて放課後にたむろした店を発見。ところが、店構えはそっくり昔のままなのに、店内は何やらおかしい様子です。のぞき込んでも中は真っ暗で、何も見えません。
さらに、昔よく利用した抜け道を通ろうとすると、突然「プレイエリアの外です」の文字が出現……。そう。3人がいる場所は、リアルなようで不完全な“仮想空間上のふるさと”だったのです。
街の様子が「記憶と何もかも同じ」なのもVRの中だから。友人曰く、先ほど訪れた店も現実では無くなっているようです。
「あのころはよく街の向こうを想像したよな」「夢が広がってたな」「いつでもどこでもつながれるようになって、世界は広くなったのか狭くなったのか」などと、哲学的な話をしているうちに、ふっと目の前から消す仲間たち。VRシステムからログオフした若者は、宇宙船の窓から“赴任先”の木星を眺めつつ、「あの湿気が恋しいぜ」とつぶやくのでした。
「そう遠くない未来、本当にありそう」「ラストのセリフが好き」と好評を博したこの漫画は、原作の清瀬順(@Jun_Kiyose)さんと、作画は山崎ハルタ(@harutan044)さんの共作。2人は以前にも「夜明けのコギト」で話題を呼んでいます(関連記事)。
作品提供:清瀬順(@Jun_Kiyose)さん/山崎ハルタ(@harutan044)さん
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