不眠不休で人間に奉仕、その裏には…… “品種改良された”家事妖精さんの漫画が闇深(1/2 ページ)
後味がたまらなく苦い……だが、それがいい。
洗濯や部屋の片付けまで、かいがいしく世話を焼いてくれる妖精「ブラウニー」の漫画が、かわいくて夢があって、そしてダークです。いろんな感情がじわじわくる。
ブラウニーはスコットランドや北部イングランドの民間伝承で、家に住み着いて人間の手助けをするといわれる小さな妖精。そんな不思議な存在を輸入品店の棚で見つけて、主人公は驚きます。見た目は虫の羽が生えたヒヨコのようで、体型はコロコロのぷくぷく。
店員が言うには、本場のブラウニーは気難しいため、人の暮らしに寄り添うよう改良された品種が一般に流通しているのだとか。特に報酬をあげなくとも家事を手伝ってくれると聞いて、主人公は試しに自宅へお迎えしました。
ブラウニーはとても働き者で、掃除洗濯に靴磨き、アクセの修理に推しグッズの整理と、夜通し何でもやってくれます。その献身ぶりに感動した主人公は、無償でいいとは知りつつも何かあげたくなり――とそこで、ブラウニーに口がないと気付きます。
明くる日お店で確認すると、店員からは「口も胃袋もないよ? 使い捨てだもん」と衝撃的な返事が。丸々太った身体は、食事抜きで活動させるため、そして飛んで逃げられないようにするためだったのです。「人の生活に寄り添うような品種改良」は、言い換えれば「人間に都合良く作られた命」……。
非情な現実を知った主人公は、すぐさま会社を辞めて渡英。「不幸な子を産まないように」と、原種のブラウニーの飼育訓練に取り組むのでした。
作者の駒津ゆはり(@Kuchibasi_comic)さんが、一部はカイコをモデルに描いたというこの漫画。「現代社会の寓話って感じが好き」「ブラウニーのかわいい見た目と、人間の業の不愉快さに心が揺さぶられる」と好評を博しています。
駒津さんはほかにも、現実とファンタジーが交差するような短編をTwitterで公開。長編の「奇妙な街の鳥たち」シリーズは、Kindleでも無料公開されています。
作品提供:駒津ゆはり(@Kuchibasi_comic)さん
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