徘徊する老母を追って息子は“昔の母”と再会する 親子愛を思い出す漫画が涙なしには読めない(1/2 ページ)
母の探し物とは……?
迷子の老母を探す男が不思議なトンネルに迷い込み、若き日の母に巡り会う――。創作漫画「トンネルの中で昔の母さんに会えた話」が、切なくて心に刺さります。漫画家の電気こうたろう(@gurigurisun)さんが、短編集『これからくる痛みについて』に寄せた一編。
何かを探して徘徊する母を、やっとのことで見つけた主人公。母の手を引いて知らない道を帰るうち、不思議なことに親子は若いころの姿に変わっていました。
トンネルの中で手を引いているのは、いつの間にか母のほう。しかられながら歩くうちに、主人公は幼少時迷子になった自分を、母が必死になって見つけてくれたことを思い出します。そしてこのトンネルは、2人で歩いた思い出の帰り道。当時の様子を切り取ったかのように再現しています。
きっとトンネルを抜けたら、この不思議な現象は終わってしまうのだろう――そう考えた主人公は、帰りたくないと涙をこぼします。また日常に戻ったら、世話を焼かせる母に怒ってしまうから――。
泣きじゃくる息子に、母は「そんなことであんたをきらいになんかならんよ」とぽつり。「いつだってあんたを見つけられるぐらい、大事に大事に思っているよ」と、優しく声をかけ、また手を引いて帰途に就くのでした。
母親はやみくもに徘徊していたのではなく、ただありし日の息子を探していた――。記憶が混濁しようと息子を思う愛情に、Twitterでは「病気で亡くなった母と認知症の祖母を思い出して泣きました」「心がギュッてなる」「もっと家族を大事にしなきゃなと教えてくれる漫画」と、感動の声が寄せられています。
作品提供:電気こうたろう(@gurigurisun)さん
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不思議でもの悲しくて、いろんなことを考えたくなる話。
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