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今のゲーム内容が昭和だと言うなら昭和という時代に謝ってほしい 突如リリースされたスマホゲーム「カイジ 闇の黙示録」の衝撃にざわざわモバクソ畑でつかまえて

思わずTwitterもざわざわ。

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 1月20日に配信された「カイジ 闇の黙示録」公式サイト)というゲームがあまりの酷さでTwitterをざわざわさせていたため、思わずダウンロードしてしまいました。具体的に“これくらいひどい”という話を担当氏にお伝えしてみたところ「じゃあそれで原稿お願いします」と言われてしまったため、このひどさを皆さまにもおすそ分けする次第です。

見た瞬間嫌な予感しかしないタイトル画面

ライター:怪しい隣人

出来の良くないソーシャルゲームを勝手に「モバクソゲー」と名付けて収集、記録、紹介しています。モバクソ死亡リストは500件を超えました。年々ソーシャルゲームが複雑になり、ダメさを判定するのに時間がかかるのが最近の悩みです。本業はインフラエンジニア。そのためソーシャルゲームの臨時メンテは祭り半分胃痛半分な気分です。

 ゲームの元ネタはご存じの方も多いであろう漫画『カイジ』シリーズ。インストール前に確認できた企業名はNOA.TEC。App Storeでありがたいのはクリックするだけでこの会社が他に何のアプリを配信しているかが分かるところなのですが、まず目に飛び込んでくるのが「FAIRY TAIL ギルドマスターズ」公式サイト)というゲーム。2021年の春ごろに配信されたゲームなのですが、このゲーム、配信時にデバッグバージョンと思しきアプリを配信してしまい、プレイヤーが有償石1000万個と全キャラ全アイテムが実装された状態でゲームを開始してしまうというとんでもないやらかしをして話題になりました。

当時のツイート
NOA.TECの作品一覧 デバッグ騒ぎを聞いてFAIRY TAILをダウンロードしたのが分かります

 上記の情報を得て「どうりで……」と思いながらゲームを開始。なんとタイトル画面ではガビガビの解像度のロゴの元、河村隆一作詞作曲歌唱の新曲が流れます……新曲!? 公式サイトを見てみたところ本当に新曲らしいです。そしてゲーム内のBGMは小室哲哉らしいです。マジかと思いながらタイトル画面をクリックすると、利根川さんの主張が聞こえてくるのですが……CV白竜ではありません。なんだろうこの微妙な棒読み感。さらに不安を煽ってきます。

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一応ボイスはついています

 棒読みが終わった後は10年ぐらい前のモバゲーでもなかなかここまでものはない、という感じの画面が出てきました。メイン画面のピラミッド構造を見る限りは恐らくペリカを稼いで地上に出るのが目標なゲームだと想像できますが、インストール直後は何をしていいのかが全く分かりません。チュートリアル的なものはもちろんありません。

 取りあえず、バナーを見てクレーンゲームに手を出してみましたがあまりの出来の悪さに早速もん絶。1100ペリカ使って3Dのクレーンゲームを10回遊べるのですが、まともに景品がつかめるとは到底思えません。何度かアプリの再インストールを繰り返してようやく景品をゲットできたのですが、景品が「エーン」という謎の貨幣単位に変化します。これは一体……? 課金アイテムを使ってゲーム内マネーを稼ぐというのはなかなかえげつないシステムです。こんなところで元ネタらしさを出されても困るのですが。なお、この時点ではエーンを稼いで何をできるかは一切分かりませんでした。

 他のバナーにあるコインプッシャーも虚無感あふれる代物ですが、こちらも同様にペリカを使ってエーンを稼ぐ仕組み。この2つはペリカを消費して遊ぶものなため、あっという間に遊べなくなってしまいます。ですが、下のメニューにある「GAME」から行けるものはペリカを消費しなくても遊べることに気付き、こちらを遊んでみることに。

何をしていいのか分からないメイン画面
これでもこのゲームの中で一番凝ってるクレーンゲーム
あまりにも虚無的なコインプッシャー
コイン購入画面。価格はクレーンゲームもコインプッシャーも共通です

 「GAME」から選べるミニゲームは総じてシンプルなものです。いわゆる「箱入り娘」的な脱出ゲーム、マインスイーパ、ブラックジャック、ハイアンドローなどなど。一部はネットワーク対戦が実装予定らしいのですが、いつ実装なのかは未定です。これらを遊んでペリカを稼いで一発逆転だ! と思いハイアンドローをプレイした私の手にあるのはまたしてもエーン。ガチャ石は稼げないのか……とがっかりする私。トランプゲーム2つは比較的まともな出来なのですが、賭け金によって制限時間が変わる脱出ゲームは正気とは思えない難易度。到底クリアさせる気がなさそうです。

 そしてようやくここに来てカイジらしい要素が出てくるのですが、エーンはマイナスになってもプレイが可能。マイナスになると地位が「地下行き」になり、その状態でのみ遊べるミニゲームが増えます。具体的には班長とチンチロリンが遊べるようになったり。また、エーンがマイナスになった場合は黒服が無利子でお金を貸してくれます。カイジとは思えない優しさ!

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 ここまでミニゲームをプレイして、恐らくエーンを稼いでいけばピラミッドを登っていけるのではないか、とゲームのシステムをうっすらと理解した次第です。なおエーン稼ぎについてはミニゲームで負けたらお金を没収される前に終了すると賭け金のエーンが減らないというひどいバグが存在しており、ランキングももはや機能していない状態。そのうちに自分は何をやっているんだろうという虚無感に襲われてしまい、早々に投げ出してしまいました。

準備中が多いミニゲーム集
3秒~7秒以内にこれを全部動かすのはムリ
エーンがなくなり地下労働施設にいるらしいです
借金は無利子!
妙に重い3Dサイコロが回るチンチロリン

 とまあ、ぐったりしながらゲームを終えてしまったのですが、ここまでやっても到底面白いとは思えません。逆に「うわあひどいゲームだな」と笑えるわけでもなく、ただ虚無感だけが増していく。そんな感じの作品です。なお、ペリカはクレーンゲームやコインプッシャー以外にもガチャに使えてサポートキャラが手に入るとのことなのですが、そのサポートキャラが何をしてくれるのかがよく分かりません(※編注:一応、キャラごとに「負け金が1/5の確率で半分になる」などのスキルがある)。

 クレーンゲームやコインプッシャーでのエーン稼ぎよりもミニゲームの方が明らかに効率が良く、課金をすることに対する見返りが全く提示されていません。そもそもプレイして「面白い」という見返りがある作品ではないというのは最大のポイントです。現在製作中で説明が一切ないガイダンス画面には「バグ利用でお金を稼ぐなよ」という警告だけが出ており、そういうところの対応の速さだけは帝愛クオリティーだなと思わされます。注意文からは、このゲームにおいてこれらの行為は「システムの意図から外れた方法を利用して利益を得ること」ではなく「いたずらや荒らし」なのだなということが理解できてとても興味深いです。確かに不具合があるからといってそれを利用していいわけではないのですが、それを利用する側の心理が“いたずらや荒らし”だけだと思っているのでしょうか。この時点で運営はこのゲームをゲームとして運営する気がないのでは、とすら思わされます。

何の効果があるのか分からないガチャキャラ
説明がないのに注意だけあるガイダンス画面

 なんだかげっそりした気分で公式Twitterを見ると、リリースのあいさつがありました。「定期的なバージョンアップで昭和の時代から令和までを体感」とありますが、今のゲーム内容が昭和だというなら昭和という時代に謝ってほしいと思いました。

「定期的なバージョンアップで昭和の時代から令和までを体感」とは……?

 

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