「指定席特急券で自由席に座る」実はダメ　えー？　では乗り遅れた場合はどうすればいいの？

　新幹線や特急列車の指定席は、指定席特急料金を払って指定席特急券を買うことで利用できます。

　それでは、気分が変わった、友達と車内で偶然に会ったなどの理由により、指定席特急券で指定された列車において自由席に座ることはできるのでしょうか。指定席の料金は支払った上で、指定席料金のかからない空いている自由席へ移るのは別にいいでしょ、と思ってしまいます。

　実は、原則はできません。例えばJR東日本 旅客営業規則第172条「急行券の効力」で定められています。

旅客営業規則第172条「急行券の効力」：指定急行券を所持する旅客は、その券面に指定された乗車日、急行列車（未指定特急券にあっては、券面に指定された列車群に含まれる1個の特別急行列車）、旅客車、座席及び乗車区間（営業キロ地帯が表示されているときは、当該営業キロ地帯内の最遠の停車駅まで）に限って乗車することができる。（JR東日本 旅客営業規則より）

旅客営業規則第182条の4「座席指定券の効力」：座席指定券を所持する旅客は、その券面に指定された列車、旅客車若しくは座席に限って乗車することができる。（JR東日本 旅客営業規則より）

　では、指定席特急券を買ったけれど、指定の列車に「乗り遅れてしまった」ときはどうなるのでしょう。結構多いシーンだと思います。

　このような場合に備えて、JR各社は「特例」を定めています。例えば、JR西日本のWebサイト「きっぷのルール／指定の列車の乗り遅れた場合」に書かれています。

指定席特急券については、乗り遅れた場合でも指定された列車の乗車日と同じ日のうちなら普通車自由席に限ってご利用になれます。（「きっぷのルール／指定の列車の乗り遅れた場合」より）

　具体的には、「のぞみ23号東京→新大阪間の指定席を予約したものの、乗り遅れた」けれど、「同日21分後に発車するのぞみ25号の自由席に乗る」のはOKです。

　ただし、この特例にはいくつか注意点もあります。

　まず“全車指定席の列車（自由席がない列車）”では上記の特例が適用できません。

　ご安心を。JR東日本はこの救いの特例も用意しています。新幹線「はやぶさ」「こまち」「はやて」「かがやき」は、立席（デッキに立って乗車する）ならばOK。特急「あずさ」「踊り子」などでは、空席があれば指定席に座ってもOKとしています。ちなみに、はやぶさなどは煩忙期で指定席が満席になったときに販売される「立席特急券」も存在します。

全車指定席の〔はやぶさ〕〔こまち〕〔はやて〕〔つばさ〕〔かがやき〕の指定席特急券については、指定された列車の乗車日と同じ日のうちなら後続の特急列車を立席でご利用になれます（〔はやぶさ〕〔こまち〕については、〔はやぶさ〕〔こまち〕の指定席特急券を所持している場合に限ります）。（「きっぷのルール／指定の列車の乗り遅れた場合」より）

　しかし、「指定された列車の乗車日と同じ日」という条件には注意です。最終列車の指定席を予約していたら、これに乗り遅れると特例は適用できなくなってしまいます。

　指定席特急券は、利用する列車の乗車駅発車前まで変更できます。近年は「スマートEX」などのネット予約サービスによって手元のスマホでも変更できるので、「遅れそう」なのが分かった時点で手続きをするとよいでしょう。

　いずれにせよ、列車ごとにルールが異なるので実は少し注意が必要です。乗り遅れてしまった場合は駅係員などに確認するとよいでしょう。乗り遅れないよう、時間に余裕を持って計画・行動するのもおすすめします。